@IT編集部で実施したデータ管理に関する読者アンケートでは、「事業継続・災害対策」に関する読者の悩みが浮き彫りとなった。
ここでは「事業継続・災害対策」に関する課題を前後編の2回に分け、@IT編集部が掘り下げる。
前編:@IT編集部が解説 ITの災害対策、 「コストを圧縮せよ」に応えるための手段はある 2012/09/11 |
@ITでは、事業継続計画のITにかかわる側面や、ITの災害対策について読者アンケートを実施してきました。このアンケートでいただいた回答でもっとも目立ったのは、災害対策などの必要性は十分感じているものの、予算がとれないというご意見でした。
たしかにIT災害対策にかかるコストは、「攻めの投資」ではなく「守りの経費」であり、さらに手法によっては高額になる可能性があるため、予算が取りにくいものです。しかも、初期導入コストだけでなく、運用コストがかかります。これは大きな悩みの種です。しかし戦略的に考えることで、コストの圧縮は図れるはずです。ここでは2つのポイントをご紹介します。
1. 災害対策を単体で考えるのではなく、日常の障害対策との共通化・統合化を可能なかぎり進める
以前は、災害対策に専用のシステムが必要とされていたことから、災害対策専用の製品やサービスをお探しになるかたもいらっしゃるでしょう。しかし、コストを圧縮するためには専用の仕組みをできるだけ避け、通常の障害対策を見直し、これを生かして拡張することを考えるべきです。
重要な業務システムや電子メールシステムなどのアプリケーションに関しては、定期的なバックアップをすでに行っていることでしょう。これを災害時にどう使えるようにするかを考えて、従来のバックアップ手順を改善することが、コスト効率がよく実効的な災害対策への第1歩です。
バックアップソフトウェアも最近は大きく進化してきました。以前は差分バックアップとフルバックアップを組み合わせるのがバックアップの鉄則とされていましたが、差分バックアップだけを行うことで、復旧時にはバックアップソフトがデータを再構築してくれるような製品も出てきました。これはバックアップ所要時間の短縮にもつながります。
また、IAサーバではシステムイメージバックアップの技術が進化しています。これはデータだけでなく、OSやアプリケーションを含めて、サーバ上のソフトウェアを「まるごと」バックアップするというものです。さらに一歩進めて、システムのバックアップを「仮想マシン」の形式で保存してくれる製品が増えてきました。これは災害対策に、非常に便利です。いったん仮想マシンの形になれば、保護対象のサーバが仮想化されているかどうかにかかわらず、仮想化ソフトを導入した異機種のサーバの上で、アプリケーションを容易に再起動できるからです。サーバのハードウェア構成が異なるサーバにアプリケーションを復旧することは、以前は非常に難しい、時間のかかる作業でした。しかしサーバ仮想化という技術が生まれたことで、「復旧」が不要になりました。仮想的なシステムの形式でバックアップしておいたデータを、「起動」すればよくなりました。
上記のような新技術を使い、迅速なバックアップと復旧を行うには、テープではなくハードディスクへのバックアップが必要です。ディスクがテープよりもはるかに高価であるという時代は終わりを告げています。バックアップ作業や復旧作業の簡素化という観点からも、ディスクバックアップへの移行をお勧めします。
2. アプリケーション単位のばらばらなバックアップから、統一的なバックアップ手法に移行する
災害対策のコストを圧縮するには、もう1つ考えなければならないことがあります。それは、従来のようなアプリケーションごとに構築されていたバックアップ手法を統合、あるいは統一することです。「そんなことはできない、バックアップを含めてアプリケーションオーナーの責任範囲なのだから」という反論が聞こえてきそうです。しかし、各アプリケーションの運用管理が完全に独立しているかぎり、そもそも横断的なIT災害対策など考えられません。
また、データ保護に統一的な手法を適用することにより、アプリケーション単位でDR対応を行う必要がなくなり、コストは大きく低減できます。バックアップ先を共通にすることも、メリットを生み出します。共通のストレージ装置をバックアップ先として、重複排除機能を使えば、ディスクバックアップのコスト効率は大きく向上できます。
ここで1つの提案があります。利用するバックアップ製品やバックアップポリシーはばらばらでもいいので、上述のように仮想マシンとしてそれぞれのアプリケーションを保存できるようにしておくことです。そして、災害時にも保護したいシステムとデータのバックアップは、1カ所に保存できるようにしておくことです。
過去10年あまりのITの世界で目立つのは、ストレージ装置関連の技術進化です。その技術進化のおかげで、ディスクへのバックアップをコスト効率よく行えるようになってきました。いったんバックアップストレージ装置にまとめられた重要なシステムやアプリケーションのデータは、これもコスト効率よくWAN経由で別拠点に転送することができるようになっています。
こうした技術進化をふまえて、ITの障害対策と災害対策を統合的に進め、総体的なコストの圧縮に努めていただきたいと考えます。
“最新技術を活用した 簡単、確実、低コストな災害復旧を考える”
事業継続/災害対策、結局何をすべきなのか
―― 富士通の回答(@IT Special)
「データ管理のお悩み解決コーナー 〜事業継続/災害対策編〜」では、前編と後編の2回に分けて、@IT編集部が事業継続対策(IT関連)および災害対策につき、検討の際の指針としてのヒントを提示している。これはベンダ中立的な立場で、一般的に十分認識されていないと思われる重要な点を述べたものだ。では、実際に製品やサービスを提供している富士通のような企業はどう考えているのか。富士通におけるストレージ関連ソリューションのキーマンである、プラットフォーム技術本部 プロダクトソリューション技術統括部シニアディレクターの荒木純隆氏に聞いた。
爆発的に増加するデータ量、ますます重要となる事業継続、急務となっているコンプライアンスとセキュリティ。そして深刻化する環境問題への取り組み―。
これら、時代が要請するさまざまな課題に対応していくなかで、どのようなシステムが求められ、ストレージに何が期待できるのでしょうか。富士通のストレージソリューションがその課題にお応えします。
事業継続(バックアップ/リカバリー)
ストレージシステムは、事業継続に欠かせないICT基盤「データ保護」「災害からのデータ復旧」の2つの視点で、事業継続を支援します。
セキュリティ/コンプライアンス
外部からの攻撃と内部からの持ち出しに対処。情報の信頼性を確保し、長期間にわたって情報を保持します。
情報ライフサイクル・マネジメント(ILM)
情報の生成、活用、保管という利用周期の観点から情報を管理。ライフサイクルを通してICT投資への最適化を実現します。
情報連携
ソフトウェアベンダーとの密接な連携。スマートなストレージ運用とパフォーマンス向上を推進します。
グリーン
環境に配慮した人にやさしいグリーン製品の開発。環境問題へ積極的に取り組んでいます。
クラウド基盤
クラウド・コンピューティングを支える最適なストレージ仮想化の提供により、柔軟なICT環境を提供します。
提供:富士通株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部
掲載内容有効期限:2012年12月31日
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