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システムによる自動化が難しい
“人間系の作業”をどう確実化するか?

株式会社ミントウェーブに聞く、
Navigation Platformを使って見えてきた
業務の効率・品質アップの秘訣とは?

2012/8/27


あらゆる業種において、ITツールによる作業の自動化、効率化が進んでいる。だが、全ての作業をITツールに任せられるわけではない。ほとんどの業務には、人の手が必要なフローが介在する。そして業務の効率・品質に問題がある場合、この“人の手が介在する”部分が原因であることが多い。効率・品質が揺らぎやすい“人間系の作業”を確実化する方法はないのだろうか?――日立製作所のミドルウェア「Navigation Platform」をサーバルームのチェック業務に適用し、この課題の解決に成功したミントウェーブに話を聞いた。

ITによる効率化の手がなかなか及ばない“人間系の作業”

 ITによる業務の自動化は、人件費の圧縮や業務品質の向上・均一化など、さまざまなメリットを企業にもたらしてきた。だが一方で、ITを使って業務を遂行するのが当たり前になった今日、“ITによる効用の限界”もあらわになりつつある。

 というのも、ITで自動化・効率化できるのは、業務データの入力や参照、帳票の出力といった、1つの業務を構成する「個々の作業」だ。しかし業務とは、「個々の作業」をつなぎ合わせるだけで完遂できるものではない。そこには必ず人間同士による検討や調整、あるいは判断といった、いわゆる“人間系の作業”が介在する。従って、その品質や手順がばらばらのままでは、高価なITシステムを導入しても、業務品質の向上・均一化というメリットは享受できないのである。

 こうした傾向が特に顕著なのが、ITシステムの運用管理業務だ。稼働監視ツールや運用自動化ツールなど、業務支援ツールが豊富に存在するものの、依然として技術者個人のスキルや判断に頼る部分が大きく、関係者との調整や連絡といった人間系の作業が極めて重要となる。事実、深刻なシステム障害の多くは人的ミスに起因するとも言われている。

 今回話を聞いたミントウェーブも、そうした課題を抱えていた企業の一つだ。同社はシンクライアントをはじめとする先進的なITソリューションの提供で知られるITソリューションベンダ。親会社である高岳製作所のシステム子会社としての顔も持ち、東京都と栃木県小山市にある高岳製作所のサーバルームの運用管理を一手に担っている。

 しかし2年ほど前から、このサーバルームの運用管理業務に深刻な課題が持ち上がってきたのだという。ミントウェーブ ビジネスソリューション事業部 ERPシステムグループ グループマネージャーの青木浩氏は次のように説明する。

ミントウェーブ ビジネスソリューション事業部
ERPシステムグループ グループマネージャー
青木浩氏

 「2010年夏の記録的な猛暑の折、サーバトラブルが頻発したのです。すぐに原因を調べたところ、サーバルームの空調設備のチェックが不十分だったことが分かりました。そこで東京と小山、それぞれのサーバルームのチェック作業を標準化し、管理体制を強化することにしたのですが、これがなかなか一筋縄ではいかない問題だったのです」

 管理体制強化のために、同社は日立製作所(以下、日立)の統合システム運用管理ツール「JP1」を導入し、サーバの状態を自動的に監視できる仕組みを築いた。しかし先にも述べた通り、業務には“ITツールではカバーできない人間系の作業”も存在する。その品質担保の問題が残ってしまったのである。

 「サーバルームをチェックする際には、温度や湿度、空調設備や加湿器の稼働状態などを人が目視でチェックしなければなりません。こうした作業はITツールで自動化することができないため、きちんと手順に沿って作業が行われたかどうか、正確にチェックすることが難しいのです。これを何とかシステムで確実に管理できる方法はないかと考えていました」(青木氏)

「Navigation Platform」でサーバルームのチェック作業を標準化

 そこで同社が目を付けたのが、日立が提供するミドルウェア製品「uCosminexus Navigation Platform」(以下、Navigation Platform)だった。Navigation Platformは、作業手順をフローチャートとして定義し、その実行を制御するとともに、業務フローの中に含まれる個々の作業内容をビジュアルなコンテンツとしてユーザーに提示する製品だ。

 こう書くと、いわゆる「ワークフローツール」のことを連想する向きも多いかもしれない。しかしNavigation Platformはそうしたツールとはまったく異なり、外部システムと柔軟に連携できる点を大きな特徴としている。つまり、単に業務フローを提示するだけではなく、個々の作業を行う上で必要なシステムを呼び出し、Navigation Platformの画面上で直接実行できるのである。

 加えて、個々の作業内容をビジュアルなコンテンツとして詳細に記述できる。これにより、システムではカバーできない人間系の作業についても正確に定義し、正しい手順を踏んで確実に実行できるよう、ユーザーをナビゲートすることができるのだ。つまり、「システムを使った作業」と「人間系の作業」の両方を含んだ業務フロー全体を、1つのツールで網羅できるのである。

 実はミントウェーブでは、ユーザーのサポート業務を行うコールセンターも運営しているのだが、その顧客対応業務にNavigation Platformを導入し、業務の標準化に高い効果を挙げた実績があった。そこで、サーバルームチェック作業にも同様の仕組みを導入しようと考えたのである。

図1 Navigation Platformに実装した「サーバルームチェック」作業のシンプルで分かりやすいUI。Navigation Platformのナビゲートにより、人的ミスが大幅に減った(クリックで拡大
図2 iPadにリモートでPCのInternet Explorerの画面を表示させ、Navigation Platformに直接チェック項目を入力するようにした

 具体的には、次のような業務フローをNavigation Platform上で定義した。まず担当者がサーバルームに入室すると、真っ先に温度や湿度、空調設備や加湿器の稼働状態などを目視でチェックし、チェックシートに記入する。従来はこれをExcelシートを使って手書きで行っていたが、Navigation Platformの導入後は、iPadからNavigation Platformの画面を呼び出し、直接チェック項目を入力するようにした。

 次に、各サーバのディスクの空き容量をチェックする。この作業は従来、担当者がサーバ1台1台にログインし、コマンドを入力してチェックしていたが、Navigation Platform導入後は、JP1と連携させることでこの作業をほぼ完全に自動化した。毎朝JP1が自動取得する空き容量の情報をデータベースに蓄積し、Navigation Platformからその情報を取得して画面上に表示するようにしたのだ。さらには、JP1の管理対象外となっているごく一部のサーバについては、従来通り担当者が人手で空き容量をチェックし、その値をNavigation Platformの画面上から入力できるようにした。

図3 Navigation Platformを使ったサーバルームチェックの概要図。“人間系の作業”を含んだ業務フローを確実化した

 その後は、気になった点などの連絡事項をメモ欄に入力する。こうして担当者が入力したチェック結果を最後に上長が承認し、サーバルームチェックの作業は完了となる。すなわち、サーバルームのチェックという「システムを使った作業」と「人間系の作業」の両方を含んだ業務フロー全体を、全てNavigation Platform上に実装したのである。

 ミントウェーブでは、この体制によるサーバルームのチェック業務を2012年2月から開始した。その結果、ディスクの空き容量チェックの作業が大幅に省力化され、サーバルームのチェック作業時間がおよそ3分の1に短縮。目視チェック作業も、システム化によって抜けや漏れが大幅に減少したという。

システム連携のためのプラグインもサンプルを基に容易に開発

 こうした一連の仕組みを構築する作業も極めてスムーズに運んだ。Navigation Platformは簡単なドラッグ&ドロップ操作で、業務フローを迅速に定義できる。そのため、現場の担当者からヒアリングした業務内容を、即座にフローに落とし込めたという。

ミントウェーブ ビジネスソリューション事業部
ERPシステムグループ サブマネージャー
中島健氏

 また、作業内容を説明するコンテンツも、既存の作業手順書の内容を使うことによって短期間で作成できた。

 そうした中で唯一、技術的にハードルが高いと思われたのが、サーバのディスク空き容量データをデータベースから自動取得する機能の実装だった。しかし、Navigation Platformには、追加機能や他システムとの連携インタフェースなどを、Javaを使ってプラグインとして開発できる「プラグイン機能」が備わっている。これを使うことで、わずか1週間ほどでデータベースとの連携インタフェースを開発できたという。

 実際にこのプラグインの開発に携わったミントウェーブ ビジネスソリューション事業部 ERPシステムグループ サブマネージャー 中島健氏は、その開発生産性を高く評価する。

 「日立からプラグインのサンプルプログラムを提供してもらったので、それを基に効率良く開発を進めることができました。また、Javaの標準的な開発環境であるEclipseを使って作業できる点も、Java開発を行う立場としては非常にありがたかったですね」

 また、実際に開発作業を始める前に、日立が提供するハンズオントレーニングを受講できたことも大いに役立った。

図4 プラグインの開発方法は、分かりやすい資料を使ったハンズオントレーニングでしっかりと学べる

 「半日ほどのトレーニングで、フローチャートやガイド画面の作成方法、さらにはプラグインの開発手順までひと通り教えていただきました。特にNavigation Platformについての予備知識があったわけではないのですが、違和感なく理解でき、スムーズに実作業に入れましたね。開発の途中で分からない点が出てきた際も、日立に問い合わせればその場で対応いただけたので、滞りなく作業を進めることができました」(中島氏)

Navigation Platformで属人化したノウハウも共有できる

 ミントウェーブでは、こうしたプラグインによる容易かつ柔軟なシステム連携という特性を生かして、今後はさまざまな社内システムをNavigation Platform上に集約させていく予定だという。

 すでに現在も、高岳製作所の工場における製造作業の着手と完了の確認をNavigation Platformを使って行うべく準備を進めているという。特にNavigation Platformの最新バージョンは、業務フローの実行ログを自動取得する機能を装備している。そのため「これを活用すれば、製造作業の着手から完了までに要した時間のデータを取得し、製造現場の作業改善が狙えます」と、青木氏は期待を寄せる。

 また、同社ではさまざまなWebシステムが稼働しているが、これらに入力されるデータの品質がユーザーによってまちまちという課題もあるという。しかしシステムを使い慣れていないユーザーの視点で考えると、入力スペースがたくさん並んでいるだけの画面を見ても、どの項目が重要で、どのようなデータを入れればいいのか、分かりにくいという問題がある。そこでNavigation Platformを使ってデータ入力をナビゲートすることで、データの品質を均一化するとともに、そうした高品質なデータを戦略的に活用することも考えているという。

 青木氏は、「このように情報システム部門が主体となって、業務改善をリードできる点に、Navigation Platformの大きな可能性を感じます」とまとめる。

 「Navigation Platformを業務に適用するためには、業務部門と密接にやりとりして業務の実態をヒアリングする必要がありますが、意思の疎通を容易にできるのが大きなメリットです。Navigation Platformなら、必要な作業の手順を簡単にフローとして作れるので、それを基にしてお互いに完成形をイメージしながら、作業手順の設計ができます。その過程で現状業務の問題点や、属人化の実態が明らかになることがあり、そうして発見した“可視化されていなかった業務ノウハウ”をNavigation Platform上にベストプラクティスとして載せれば、さらなる業務効率化が期待できるのです。今後もNavigation Platformのメリットを、さまざまな業務に適用していきたいと思います」


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uCosminexus Navigation Platform


提供:株式会社日立製作所
アイティメディア営業企画
制作:@IT情報マネジメント編集部
掲載内容有効期限:2012年9月26日




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