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@IT > 無償ソフトウェアで始める、お手軽ASP.NETサイト構築 |
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Community Serverは、Telligent Systems社から提供されるASP.NETベースの無償ソフトウェア・アプリケーション。Blogやフォーラム、ギャラリーやサイト維持のための管理機能を備えるポータル・サイト構築用アプリケーションだ。
Community Serverは、非商用利用に限って無償で利用することができる(商用利用は有償で、条件により179ドル〜の料金がかかる)。初の正式リリース版が公開されたのが2005年2月と新しいソフトウェアでこそあるが、心配することはない。開発元のTalligent Systemsは、.TextやASP.NET Forumといった、多くのサイトですでに利用実績があるアプリケーションの開発者が設立した会社で、当然ながらCSの主要なモジュールはこれら既存アプリケーションの流れを汲んでおり、安定性にも信頼がおける。また、そのほかのアプリケーションと比べると、圧倒的にインストール手順が簡素化されており、その作業のほとんどをブラウザ上で完結できる点もうれしいところだろう(これについては、既存アプリケーションの経験と反省が生きているものと思われる)。 それではさっそく、具体的なインストール手順を見ていくことにしよう。なお、Community Serverのインストールに当たっては、あらかじめ以下のソフトウェアを環境上にインストールしておく必要がある。誌面の都合上、本稿ではこれらソフトウェアのインストール手順については紹介しない。
これらのインストール手順の詳細については、次のサイトの「サーバサイド環境構築設定」などを参照していただきたい。
Community Serverをダウンロードするには、まず以下のURLからユーザー登録やライセンス条項の確認を行う必要がある。
ユーザー登録を完了すると、数分ほどで折り返し登録完了メールが届くので、このメールに書かれたURLにアクセスしてみよう。インストール・ファイル(cs_1.0.zip)をダウンロードすることができる。ダウンロードしたcs_1.0.zipは、任意のフォルダ(本稿では「d:\」)に展開する。
cs_1.0.zipを展開すると、以下のようなフォルダが作成されるはずだ。
「/CS_1/Web」フォルダがCommunity Serverの本体を格納したフォルダだ。次はこの「/CS_1/Web」フォルダに対して、以下の要領で仮想ディレクトリを設定する。
これで、Community Serverを以下のURLから呼び出すことができるようになった(ローカル環境の場合)。
Community Serverは、MSDE(または、SQL Server)上で必要な一連のデータを管理する。必要なテーブルやストアド・プロシージャなどは後述するインストール・ウィザードが自動生成してくれるが、ウィザード起動に先立って、データベースを生成しておく必要がある。データベース名も自由に決めて構わないが、本稿では「CommunityServer」としておこう。もちろん、ほかの用途で利用中の既存のデータベースを利用することも可能だ。 データベースの作成には、osqlコマンドから以下のようなコマンドを入力すればよい。
悪意の有無にかかわらず、エンドユーザーが自由にインストール・ウィザードを起動できてしまうのは、(当然)セキュリティの観点からも好ましくない。そのため、Community Serverでも、デフォルト状態ではインストーラ機能が無効に設定されている。インストール・ウィザードを起動するには、インストーラの有効化という作業が必要になる。 作業としては、メモ帳などのテキスト・エディタから「/CS_1/Web/Installer/default.aspx」を開き、15行目付近の1行を以下のように書き換えるだけでよい。
編集が済んだら、上書き保存したうえでテキスト・エディタを閉じる。
前述したとおり、Community Serverはほぼすべてのインストール作業をブラウザの画面上だけで行うことができる。インストール・ウィザードを起動するには、ブラウザから以下の画面にアクセスするだけでよい。
途中、いくつか入力/選択が必要な項目が登場するが、以下表の要領で入力していけばよい。
ただし、当然のことながら、データベースやコミュニティのパスワードなどは、第三者に類推されにくいものを設定する必要がある。また、そのほかの設定項目についても、自分の環境に従って読み替えていただきたい。 ウイザードの最後の[Create new Community]画面で[Next]ボタンをクリックすると、インストールが開始される。環境にもよるが、インストールにはおよそ数分程度で完了するはずだ。 インストール完了後、以下のような画面が表示されれば成功だ。
インストール後は、先ほどの手順4.と逆の手順を踏み、インストール・ウィザードを無効にしておく必要がある。もちろん、「/CS_1/Web/Installer」フォルダをフォルダごと削除しても構わない。
Community Server上で画像ファイルのアップロードを行う場合には、「/CS_1/Web/blogs」「/CS_1/Web/photos」フォルダ上、[Network Service]ユーザー(あるいは[ASPNET]ユーザー)に対して書き込み権限を付与する必要がある(逆に、アップロード機能を使わない場合には本設定は不要)。セキュリティ権限の変更は、エクスプローラの該当フォルダからプロパティ・シートを開き、[セキュリティ]タブから行える。 ただし、ホスティング・サービス上では、エンドユーザー側にこの手続きを公開していない場合が多い。この手順を行うには、適宜、サービス管理者に依頼を行っていただきたい。
Community Serverはインストール直後のデフォルト状態で英語環境になっているはずだ。もちろん、このままの状態でも利用には差し支えないが(日本語を扱うことも可能だが)、多くの場合は日本語環境にするための設定を行っておくのが好ましいだろう。 日本語化には、大きく以下の2つの手順を経る必要がある。 ■7−1.communityserver.configを編集する
■7−2.日本語リソースを該当のフォルダに展開する
なお、日本語リソースについては、今後も随時更新されると思われる。最新情報については、Users GroupフォーラムのCommunity Serverのフォーラムをチェックしていただきたい。
以上で、Community Serverのインストール作業は完了だ。ブラウザから以下のURLを起動し、Community Serverが正しくインストールできたことを確認してみよう。
上記のURLにアクセスして、以下のような画面が表示されれば成功だ。なお、あくまで日本語化されるのはメニューやボタンなどだけで、トップ・ページの文章などは英語のままである点に注意していただきたい。
Community Serverには、デフォルトで以下の3つのモジュールが組み込まれている。
これらのモジュールに対して、新規のフォーラムやブログ・グループ、ギャラリーを追加するには、トップ・ページのメニューから[管理]を選択する。このほかにも管理メニューからは、スキンの切り替えやユーザー承認の要・不要、サイト構成の管理、ログ情報の確認など、Community Serverの設定全般を変更/参照することができる。このように、Community Serverでは基本としてサイトの管理をブラウザ上で完結して行えるのが特徴だ。
さらに、2005年3月時点でベータ版であるとはいうものの、Community Server:: NNTP Server、Community Server :: FTP Serverのようなアドオン・モジュールや、Community Server :: MetaBlog APIのようなBlogs投稿用のプログラミング・インターフェイスも公開されている。これらを組み込むことで、よりCommunity Serverを便利に活用できるはずだ。これらのアドオン類は今後さらに拡充していくであろうし、時には、ユーザーである我々自身が必要なアドオンを開発して、追加する局面があってもよいはずだ。Community Serverには、それだけの可能性が秘められている。
Community Serverは無償ソフトウェアというだけではなく、以下のページからソースコードを入手可能だ。もしも標準機能に不足がある場合には、自分でコードを修正、追加するという選択肢もあるだろう。
以下は、入手したソース・コードを展開し、統合開発環境Web Matrix上で開いたところだ。例えば、Blogsモジュールで使われているカスタム・コントロールのソース・コードであれば、「/CS/src/Blogs/Controls」フォルダに保存されている。
■ 以上、駆け足ではあったが、Community Serverの導入から設定までの流れを簡単にたどってみた。もちろん、Community Serverの機能は極めて多岐にわたるし、実運用するうえでは、ただ「手軽」というだけでは済まないことも多い。 たとえば、Community Serverのデフォルトでは、エンドユーザーが無条件に新規ユーザーを追加することができるが、クローズドなサイトではこの機能を無効にしたり、管理者による承認を有効にしたりするなどの処置を採るべきだろう。また、当然のことながら、ユーザーに応じて適切なアクセス権限を与えることは重要だ。運用上の理由からフォーラムやブログ上で可能な操作を制限する必要があるかもしれない。 はたまた、業務の中で24時間365日きっちりと使い込んでいきたいならば、また、重要な業務リソースを管理していきたいならば、データベース・サーバ運用のための基本的な知識は理解しておく必要がある。本稿では詳細は割愛するが、例えば以下のサイトが参考になるだろう。
以上はほんの一例にすぎないが、これらの設定や運用知識を適切に押さえれば、無償ソフトウェア・アプリケーションであっても、高価な開発費を費やして構築したアプリケーションに勝るとも劣らない重要なツールになり得るはずだ。本稿が、無償ソフトウェア・アプリケーション導入のきっかけとなれば幸いである。 <前のページへ> 提供:マイクロソフト株式会社
企画:アイティメディア 営業局 制作:デジタル・アドバンテージ 掲載内容有効期限:2005年4月30日 |
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