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Webアプリケーション・プラットフォームとしてWindowsを選択する理由

〜@IT読者アンケート & SIerインタビューからシステム開発の実際を探る〜

 

 本企画では、これまで前後編と2回にわたって、中小規模のWebアプリケーション・プラットフォームとして、Linux+フリーJavaではなく、Windows+.NET Frameworkを選択する7つの理由を紹介してきた。開発生産性、統合開発環境、堅牢性、パフォーマンス、信頼性、運用レベル、障害対応、セキュリティ…と、ポイントは多岐にわたるが、実際のシステム開発現場の要求は非常に複雑だ。システム開発の現場は、技術的な要因以外にも、歴史的、社会的、組織的、政治的な要因など、さまざまな要因が複雑に関係し、常に流動的であるからだ。

 そこで本企画の総まとめとして今回は、現場でシステム開発に携わっている方々から「ITプラットフォーム選択」に関する生の声を集めてみた。前半では、まず@IT読者761名にお答えいただいたアンケート結果から、ITプラットフォームを選択するポイントを分析する。そして後半では、ASP.NETやJava、PHPなどを利用して多くのシステム開発を手がけている株式会社エコスの最高技術責任者 杉本晋吾氏へのインタビューから、Windows+.NET FrameworkとLinux+フリーJava選択のポイントを紹介する。

   

アンケート調査に見るITプラットフォーム選択へのユーザー意識

 @ITでは、2004年12月13日から20日にかけ、@IT読者(@ITクラブ・メンバー*)を対象とした「ITプラットフォーム選択に関するWebアンケート調査」を実施した。本稿の前半では、まず本アンケート結果から、現場でシステム開発に携わる方々の現在の状況や意識状況などを図表を交えつつ考察する。本稿では、アンケートの回答総数827名から、システム関連業務にかかわる761名分を有効回答として集計した。

* 今回の調査は、@ITクラブ・メンバーの中のアンケート協力意向者を対象に行ったものです。
 
   

現在の主要ITプラットフォーム

 現在かかわっている情報システムが採用しているITプラットフォームを読者に確認したところ、Microsoft .NETが38.8%と、オープンソースJava(フリーJava)の20.6%に大きく水をあける結果となった。オープンソースJavaに商用Javaを加えても44.1%と、ほぼMicrosoft .NETの38.8%と拮抗している現状である。Javaに比較するとMicrosoft .NETは後発だが、着々とITプラットフォームとしての地歩を固めている様子がうかがえる。

現在の主な利用プラットフォーム

 しかし、ここで本当に注目していただきたいのは、前記の結果をドリルダウンしてシステム規模別に主利用プラットフォームを見たときに、対象ユーザーが100人未満の小規模システムでは、Microsoft .NETの割合が半数にものぼるという点だ。大規模システムでは、開発/運用ノウハウが蓄積されたJavaがまだまだ強いとはいうものの、小規模システム開発では、Microsoft .NETが支持を集めている。

システム規模別 主利用プラットフォーム

 それでは、Microsoft .NETが評価されているポイントとは何だろうか。以下、Microsoft .NETとフリーJava、商用Javaに対するイメージの比較から見ていこう。

   

イメージ比較から見るITプラットフォームの差

 システム関連の業務に携わる人間は、Microsoft .NET、Javaに対して、どのようなイメージを抱いているのだろうか。Microsoft .NET、フリーJava、商用Javaそれぞれに対して、読者が感じているイメージをあてはまるものすべてについて選択してもらった。その結果が以下のグラフである。

ITプラットフォーム:イメージ比較

 これを見ると、Java陣営に対するMicrosoft .NETのイメージ上の優位性は、生産性(「開発生産性が高い」「エンドユーザーの業務生産性が高い」)や管理性(「サーバ管理やユーザー管理がしやすい」「その技術に習熟した人材が確保しやすい」)などのポイントにあることが分かる。実際、選択回答に加えて自由回答欄を設けて自由な意見を募った結果、開発生産性と運用性の側面から以下のような好評価が目立った。

Microsoft .NETに対するポジティブなイメージ(自由回答より)
  • サード・パーティ製コンポーネントを利用することなく、フレームワークでほとんどの機能が実装できる。(大規模受託ソフト開発)
  • エンド・ユーザーに対して、従来と変わらない操作性や環境を提供できる。(中規模システム・インテグレーション)
  • ユーザー自身で、ある程度のトラブルに対処できる。(社内システム開発)
  • サポート力が信用できる。日本語の情報が豊富。(大規模システム・インテグレーション)
  • 社内人材の再活用(Visual Basicよりの移行)が図りやすい。(中規模受託ソフト開発)
 
Microsoft .NETに対するネガティブなイメージ(自由回答)
  • ユーザーは初期導入コストに目を付けやすく、「無料」という言葉に弱い。(中規模受託ソフト開発)
  • バージョンアップのタイミングが早すぎる。(社内システム開発)
  • とりあえず動く設定は簡単だが、安易な導入により、その後の運用に対処できない場合がある。(小規模受託ソフト開発)

 半面、フリーJavaのデメリットとしては以下のような指摘が目立ち、Windows+.NET Frameworkのそれとは対照的な結果となった。

フリーJavaのポジティブなイメージ(自由回答)
  • 初期コストが安い。(小規模コンサルティング)
  • パフォーマンス面を心配していたが、問題なくコストを削減できた。(小規模システム・インテグレーション)
  • さまざまなテクノロジを融合させながらシステム構築ができた。(小規模IT製品ベンダ)
 
フリーJavaのネガティブなイメージ(自由回答)
  • 関連サブ・プロジェクトが多く存在し、多くの機能を使う場合は検証に大変なコストを要する。(小規模システム・インテグレーション)
  • バージョンアップが頻繁。商品として提供する場合、どこまで追跡し検証するかの取り決めなどが面倒。(小規模受託ソフト開発)
  • どのベンダも模索を続けているようで、安心・信頼してプラットフォームを利用できない。(中規模システム・インテグレーション)
  • 障害や問題が起きたときには、自分自身で調べて解決しなければならない。(社内情報企画)
  • 開発メンバーの大半が技術を学びながら作業に携わっており、小企業では人材確保など難しい。(小規模IT製品ベンダ)

 「オールインワン」タイプのプラットフォームであるWindows+.NET Frameworkの敷居の低さは本連載でも繰り返し紹介してきたとおりであるが、この点が、システム開発の現場でも共通認識として受け入れられているようだ。特に短期の小規模システム開発では、Visual Basicプログラミングなどの既存スキルを活かしやすいWindows+.NET Frameworkが高く評価されているものと思われる。

   

ITプラットフォームの利用満足度

 では、実際にシステムを導入したユーザーが、現在のプラットフォームについてどのように評価しているのだろうか。システム開発者、管理者、エンドユーザなどからの満足度を聞いたところ、すべてのプラットフォームにおいて「期待どおり/期待を上回る評価」を選択した回答者は20〜30%程度に留まった。多くのユーザーは「ある程度評価」しつつも、「課題も指摘される」といったところに落ち着くようだ。

ITプラットフォームの利用満足度(プラットフォーム別)

 では、Windows +.NET Framework、フリーJavaを導入した利用者は、どのような点を課題・問題点と考えているのだろうか。以下のグラフは、現在のITプラットフォームを選択する際に最も決め手となったポイントを1つと、現在の課題を複数回答で選択してもらったものだ。

運用の決め手×利用課題ギャップ(フリーJava利用者)
 
運用の決め手×利用課題ギャップ(Windows+.NET Framework利用者)

 その結果、Windows+.NET Framework利用者からは、「特定ベンダ依存」「導入費用」「セキュリティ・ホールが多い」という点が課題として指摘された。

 ただし、これらの回答の数値だけですべてを判断するのは危険だ。例えば、「特定ベンダ依存」については、具体的な課題というよりも、将来的な漠然とした不安が目立つようである。以下に、自由回答欄での回答をいくつか挙げておく。

Windows+.NET Frameworkに対する課題(自由回答)
  • 特定のベンダに肩入れすることになり、将来どうなるかが不安である。(小規模受託ソフト開発)
  • 将来にわたって根幹のコンセプトが維持・発展し続けるのかが不明。(属性不明)

 これらの不安に対する答えは、本連載の「[その4]長期にわたる安定的なサポートと信頼性」でも紹介したとおりである。しかしユーザーの多くがこのような不安を抱いている以上、マイクロソフトもより一層の情報公開に努めていかなければならないだろう。

 「導入費用」の問題については、以下の意見がユーザーの声を代表しているように思われる。

Windows+.NET Frameworkに対する課題(自由回答)
  • ユーザーは初期導入コストに目を奪われやすい。無料という言葉に弱く、説得は容易ではない。

 本企画でも何度か紹介してきたように、システムにかかるコストはイニシャル・コストばかりではない。開発コストや技術者の学習コスト、カットオーバ後の運用/保守コストなど多岐にわたる。これらを総合的に評価して、システム開発/運用コストを算出する必要があるのだが、現実のユーザーの視点としては、なかなかそこまでは思いが至らないというのが実情のようだ。フリーJava利用者では「導入費用」面の満足度が高い半面で、「サポート」「障害対応」「人材確保」という点が課題に挙げられている。本来はこれらもコストと見なされなければならない。今後は、ユーザ側としてもよりトータルな視点でコストを捉えていく必要があるだろう。

 最後に、「セキュリティ・ホールが多い」という点については、本企画でも「[その7]「Windowsはセキュリティに弱い」のウソ」で考察したとおりだが、現場ではなかなか悪印象が払拭できないというのも現実であるようだ。

Windows+.NET Frameworkに対する課題(自由回答)
  • パッチ情報が速くなったので技術者は安心感があるが、ユーザーにとっては逆に心配の種になっている。(中規模受託ソフト開発)

 これは、自由回答欄からの引用であるが、まさにこのような言葉にユーザーの思いが集約されているのではないだろうか。

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<バックナンバー>Webアプリケーション・プラットフォームとしてWindowsを選択する7つの理由
<前編>
<後編>
<@IT読者アンケート編>
<開発者インタビュー編>

提供:マイクロソフト株式会社
企画:アイティメディア 営業局
制作:デジタル・アドバンテージ
掲載内容有効期限:2005年3月31日
 
「Linuxの真実、Windowsの真実」
「Linuxの真実、Windowsの真実」indexページ
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第1回 ファイル/プリント・サーバの基本機能比較
第2回 ネットワーク管理に不可欠なディレクトリ・サービス
第3回 Linuxの本当のTCOを考える
第4回 LinuxはWindowsより安全か?
第5回 Office互換ソフトの実力とリスク
第6回 Webサーバ・プラットフォームとしてのLinuxとWindows
第7回 大規模Webホスティング・サービスでシェアを広げるWindows+IIS
第8回 Webアプリ開発プラットフォームとしてのLinux+フリーJavaとWindows+.NET
第9回 可用性、スケーラビリティを備えたシステム開発
第10回 座談会:システム・インテグレータから見たLinuxとWindows(前編)
第11回 座談会:システム・インテグレータから見たLinuxとWindows(後編)
 
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TechNet:Windows 2000 Server

TechNet:Windows Server 2003



 
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