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クラウド対応型次世代ERPパッケージ「Biz∫」

IFRS対応機能を加速させる会計モジュールが登場、その注目機能は

企業のIFRS対応でポイントになるERP。その中でもコアとなる会計モジュールで新製品が登場する。次世代ERP「Biz∫」の会計モジュール、そしてそのIT基盤は企業のIFRS対応やそのほかの法制度対応をどう効率化するのか。

2010/7/26

[PR/IFRSフォーラム]

「Biz∫会計」が10月以降登場

 これまで第1回第2回とIFRSの基礎、そして必要なIT基盤の整備について解説してきた。そこから見えてきたのは旧来のERPを補うような次世代ERPの必要性だ。NTTデータ ビズインテグラル「Biz∫」(ビズインテグラル)はそのような期待を受けて誕生した。

 IFRSへのスムーズな適用を図るうえで欠かせないBiz∫の会計モジュールである「Biz∫会計」が2010年10月以降に登場する。NTTデータ ビズインテグラルの代表取締役常務 開発本部長の吉崎正英氏は「Biz∫会計によってBiz∫のIFRS対応を加速する」と意気込んでいる。

 Biz∫のIFRS対応機能を確認する前に、Biz∫の特徴や基盤機能を知っておいてほしい。会計モジュールはこれらの特徴や基盤機能をベースにすることで、よりパワーアップしているからだ。

SOAでプロセスの組み替えを容易に

 Biz∫は大きく分けて3つのレイヤで構成されている。基盤となるのはNTTデータ イントラマートのWebシステム構築基盤「Biz∫intra-mart」。Biz∫intra-martには第2回で説明したようなBPM基盤やワークフロー基盤がある。このワークフロー基盤はBiz∫の各モジュールで相互に呼び出して利用可能。内部統制の整備などにも利用できるという。Biz∫intra-martの上には、開発環境・実行基盤である「Biz∫APF」(アプリケーションプラットフォーム)があり、さらにその上に各アプリケーションが乗る仕組みだ。

Biz∫シリーズの品揃え ※図版をクリックすると拡大表示

 このアプリケーションは、例えば会計関係では、「会計コア」と呼ぶマスタ管理などを行う中心機能と各モジュールで構成する。各モジュールは会計コアとは密に連結しているが、モジュール間は疎結合となっている。吉崎氏は「SOAを意識している」と話す。これによって大規模な開発を行うことなく、モジュールを柔軟に組み合わせることが可能になり、業務プロセスの変更や法制度の改正にも素早く対応できるという。

 吉崎氏はBiz∫APFの特徴として3つを挙げた。「マルチテナント対応」「シェアードサービス対応」「グローバル対応」の3つだ。1つずつ見ていこう。

 マルチテナント対応では、Biz∫は「シングルインスタンス・マルチテナント」の構成が可能だ。つまり、同一バージョンで、同一コードベースのプログラムや動作環境を維持しながら、同一のデータベースをレコード単位に論理分割するなどのマルチテナント運用ができる。これによって、IFRS適用で重要になると見られるグループ子会社のインフラ統合をプライベートクラウド上で実現できる。グループがすべて同じIT環境を共有することで、IFRS対応は効率的になる。一方、データベースは会社コードをキーとしているので取引先などのコードはグループで統一しないままの運用もできる。吉崎氏は「Biz∫はグループ子会社のそれぞれの独立性を維持しながらクラウド上で統合できる」と説明した。

NTTデータ ビズインテグラルの代表取締役常務 開発本部長の吉崎正英氏

 グループ会社などの共通の業務を一個所に統合して処理するシェアードサービスにもBiz∫は標準で対応している。これによってグループの業務プロセスを標準化でき、大きなコスト削減や効率化のメリットを得られる。将来的にBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)を行うことも容易になる。Biz∫のシェアードサービス向け機能では1人のユーザーがBiz∫の上で稼働する複数の会社にまたがった業務処理を一括して実行することが可能。適切な権限設定が実行され、セキュリティも確保されるという。

 グローバル対応は「言語」「通貨」「時間」の3つの観点から対応する。言語についてはログインしたユーザーに合わせてロケール情報を変更し、適切なマスタデータ、トランザクションデータ、帳票が設定される。マスタデータではデータベース上は同一のデータでもその名称を変更可能。帳票はロケールごとに使用する帳票のレイアウトが変更される。通貨は複数の通貨、そして通貨レートに対応。時間についてはユーザーが指定するタイムゾーンに合わせて日付や時刻を表示する機能を搭載する予定だ。

IFRSで求められる業務要件をカバー

 上記のようなBiz∫のアーキテクチャや特徴をベースに、会計モジュールである「Biz∫会計」が登場する。Biz∫会計の基盤となっているのは国内で900社以上の導入実績がある「SCAW 財務会計システム」。IFRS適用で求められる業務要件をカバーし、同時にBiz∫が備える、変化に柔軟な開発・運用基盤を持つことで、グループ経営へのサポート力を向上させている。

 Biz∫会計は経済産業省の「経理・財務サービススキルスタンダード」に準拠し、一般的な経理業務をカバーする。「一般会計」「管理会計」「債権管理」「債務管理」「固定資産」「資金管理」「グループ会計」など豊富な機能を備えている。

Biz∫会計の主な機能

 

 IFRS対応についてBiz∫会計は「仕訳入力」「複数元帳管理」「帳票作成」の各業務でIFRSに対応する。仕訳入力では、取引別に元帳を選択して仕訳結果を入力可能。これによって日本基準とIFRSなど複数の仕訳基準に対応した取引結果の入力が可能になる。固定資産管理、棚卸資産の管理など日本基準とIFRSで違いが大きい業務についても対応できる。

 複数元帳管理では、日本基準とIFRSなど複数の会計基準に基づく元帳を同時に保有できる。これによって会計処理や業務プロセスを大幅に変更することなく、IFRSを適用できるだろう。また、帳票作成では日本基準だけでなく、IFRSの「財政状態計算書」「包括利益計算書」などの財務諸表を出力可能だ。NTTデータ ビズインテグラルはIFRS適用を支援するコンサルティングサービスなどもパートナーと協力して提供していて、Biz∫会計の機能と合わせて包括的に顧客企業を支援するとしている。

 また、Biz∫のモジュールである「Biz∫販売」と連携し、日本企業のIFRS対応で関心が高い収益認識についても対応をしている。連結会計についてもパートナー企業と協力することで、強化をする方針だ。

法改正に迅速に対応できる仕組みを採用

 会計モジュールにとってはその機能と同時に、変化への柔軟性が重要だ。Biz∫はJavaで開発し、ERPの画面とビジネスロジックを明確に分け、またビジネスロジックを細分化する開発方針を採用している。また、DI/AOP ※1,2の採用により、追加開発の生産性を向上させている。これによってビジネスロジックの追加や差し替えをきめ細かく行うことができ、会計の法制度変更などに柔軟、迅速に対応できる。IFRSは今後もその基準内容が頻繁に変更されるとみられる。ERPにとって変化への対応力は欠かせない要素になるだろう。

 吉崎氏は「他社のERPでは画面とマッピング設定、ビジネスロジックが一体となっていて、柔軟な変更が難しい。Biz∫は顧客の業務要件にある程度合わせることができる」とそのメリットを説明する。この仕組みを採用することで、Biz∫はモジュールのバージョンアップも容易にしている。パッケージ本体を変更せずに、ビジネスロジックの一部だけを追加・差替できるため、ほかの標準機能に対する影響を最小限にできるのだ。

 そのビジネスロジックについてもBiz∫は標準のBPM機能で制御するので、ビジネスの視点でITシステムを可視化できるという特徴がある。SOAの考えに則り、「サービス」としてアプリケーションを開発し、さまざまなインターフェイスから実行することができる。

 また、Webブラウザで操作するBiz∫はAJAX技術を採用し、Webアプリケーションでありながら高い操作性を実現している。例えばファンクションキーによる操作やエンターキーによる入力項目の遷移、マウスレスの操作など、クライアント・サーバ型のアプリケーションのような操作性がある。クライアントアプリケーションの配布やメンテナンスという手間を省きながらも、操作性を犠牲にしないのがBiz∫の特徴だ。

IFRS適用を見越してERPを再考する時期

 ERPのIFRS対応で難しいのは、日本企業の多くが適用をすると見られる2015年、もしくは2016年の時点でIFRSがどのような内容になっているか分からないことだ。企業は不透明な中でIFRS対応を進めないといけない。そのため、ERPについては変化への迅速な対応力が不可欠になる。また、販売管理や固定資産などERPのほかの機能との連携も必須だろう。いまのERPをこのまま使い続けていいのか。企業は判断するタイミングに来ている。

※1 DI(Dependency Injection) : 部品のコンポーネント化、再利用を容易にするテクノロジ。
※2 AOP(Aspect Oriented Programming) : アプリケーション内に散在する処理(横断的関心事)を分離し、共通化を可能とするテクノロジ。