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@IT > “ユーザー環境はAdobe Readerだけ”で実現する無限の可能性 |
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●持っている機能の一部しか知られていない「Adobe Reader」
また、従来のAdobe Readerの印象として「起動に時間が掛かる場合が多く、ストレスがあった」と指摘。1月11日よりダウンロード提供が開始した「Adobe Reader 7.0日本語版」では最大4分の1に起動時間が短縮されており、「試しに使ってみてください。その速さに感動するはずです」と聴講者に訴えかける一幕も見られた。また、こうした使い勝手の向上だけでなく、サーバ製品群「Adobe LiveCycle」と連携することで「電子フォーム機能を拡張」したほか、「セキュリティ機能の強化」などを実現している。 ●Adobe Reader上での、セキュリティや電子署名などの各種機能を追加可能 Adobe LiveCycle製品からは、PDFフォームの設計ツール「LiveCycle Designer」や、PDFの暗号化・電子署名付与が可能な「LiveCycle Document Security」、アクセスコントロールを動的に管理できる「LiveCycle Policy Server」、PDFの利用機能を拡張できる「LiveCycle Reader Extensions」を紹介。これらLiveCycle製品を利用するメリットの1つとして「PDFへのセキュリティ付与」を挙げた。
これは、LiveCycle製品を介してPDFファイルを配信することで、動的に電子透かしを挿入したり、編集不可や印刷不可などのプロパティ設定、改ざん防止用の暗号化や電子署名、アクセスコントロールなどを付与することができるというもの。アクセスコントロールは配布完了後に変更することもできるので、「社員に配布したPDF資料を、閲覧期間終了後や退職後に閲覧不能な設定に変更する」といった管理もできる。このような動的なアクセスコントロールは、4月から本格施行される個人情報保護法にも有効だと訴えた。 また、LiveCycle Reader Extensionsを利用することで、利用ユーザーがAdobe Readerしか持っていない場合でも、2次元バーコードの処理を許可することや、PDFフォームへの入力内容の保存、電子署名の付与、ファイルの添付など、通常はReader上で利用できないインテリジェントな機能を使えるように設定することが可能だ。特に2次元バーコードはPDFフォームへの入力状況をリアルタイムで反映するため、押印や自筆署名などで、1度「紙」になってしまう業務の再入力プロセスを劇的に改善できる。印刷された2次元バーコードをバーコードスキャナで読み込むだけで、入力内容を再び電子的に取り込むことが可能になるため、従来のプロセスにあった入力時間や入力ミス、エラーチェックの手間を大幅に削減可能だ。 ●企業の既存システムを拡張するPDFソリューション小島氏はこれらのPDFソリューションは、企業の持つ既存システムを、従来のWebアプリケーション以上に拡張するものであると説明。そのポイントとして、「Adobe Readerを業務システムの課題を解決するリッチクライアントとして活用」「LiveCycle製品との連動で、PDFをインテリジェントかつセキュアに利用可能」「2次元バーコードの活用で、紙と電子のプロセスを統合」の3点を挙げ、従来のWebベースのシステムとの違いを説明した。 続いて【B-2】テクニカルセッションでは、引き続き小島氏が「最新のAdobe Reader 7.0で実現!最新事例に見る顧客サービスから社内ポータル/ワークフローまで」と題した講演を行った。 小島氏はまず、PDFフォームの利用ステップを「印刷のみ」のStep.1から、「入力支援」「保存」「電子署名」なども利用できるStep.5まで5段階で表示。「いきなり多大な投資を必要としない点に注目してほしい。段階を踏んで必要なだけ、機能を追加すればよい」と強調した。実際に「印刷」と「入力支援」のStep.2まで導入している企業が増えていると説明した。 ●銀行や役所も採用した、紙メディアのデジタル化技術 同氏はあわせてみずほ銀行や東京三菱銀行など、大手メガバンクで実際に採用されているPDFフォームのデモ実演を行った。一般にPDFは「静的」なドキュメントフォーマットと思われているが、このデモでは入力状況に応じてインタラクティブに記入支援を行えることが紹介され、来場者の多くのPDFに対するイメージを塗り替えた。実際、これらのメガバンクでは、こうしたインタラクティブな入力環境をWebアプリケーションを開発することなく、かつエンドユーザーがオフラインの状態でも利用できることを評価して利用しているとのことで、まさにWebブラウザを超える、リッチクライアント環境の活用の好例といえよう。
さらに、より高度な利用形態として、埼玉県庁などにも採用されている電子署名との連動による事例を紹介した。埼玉県庁では、課題として公的個人認証基盤(JPKI)への対応に加え、申請者の利便性を高めるため、「オフラインでの利用」や「不特定多数の申請者が利用できるエンドユーザー環境」などを必要条件として挙げていた。オフライン運用のできない「Pure HTML」や、Java VMのバージョン間で問題のある「Java」、Windowsでしか利用できない「Active X」なども検討されたが却下された背景があるという。Adobe Readerは、これらの課題をクリアしつつ、プラグインを活用することで公的個人認証基盤へも対応。小島氏は「何と言っても、全世界で5億5000万本以上を配布している普及率が有効だったのではないか」と分析している。 ●オンラインからオフライン、定型や非定型も問わずに利用できるPDFフォーム 続いて小島氏はPDFフォームを利用した、アドビシステムズの社内ワークフローシステムである「Adobe Forms」を紹介。同社では、社内決済や出張申請、経理清算といった承認業務の多くをAdobe Formsで電子化しており、SAP R/3と連携したプロセスも実装している。Adobe Forms導入前には起票時の誤入力による差し戻しが多い点や、「SAPへのデータ入力は業務担当者が手入力」している点などが課題として挙げられていた。そこでSAP R/3とのデータ連携を実現するとともに、PDFフォームを入力環境とすることで、起票時の誤入力や記入漏れを削減し、データの正確性とプロセスの効率化を実現。これにより、SAPへの投資対効果を高めることができたほか、利用者の利便性も大幅に向上したことを紹介した。リッチクライアントとSAPのような基幹業務システムの連携モデルとして注目すべき事例といえよう。 最後に同氏はPDFソリューションの利点として、「利用環境がオンラインやオフラインか、プロセスが定型か非定型を問わず、導入可能」であること、また「エンドユーザー環境は無償配布のAdobe Readerだけで利用可能」であることを挙げ、現時点で最も普及し、かつ最も適用範囲の広いリッチクライアント環境であると説明。「今までのPDFへの先入観をなくし、ぜひ業務インフラとしてPDFとAdobe Readerを捉えてほしい」と講演を締めくくった。 提供:アドビ システムズ株式会社
企画:アイティメディア 営業局 制作:@IT編集局 掲載内容有効期限:2005年3月10日 |
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