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@IT[FYI] 企画:アットマーク・アイティ 営業企画局
制作:アットマーク・アイティ 編集局
掲載内容有効期限:2004年10月29日

 

ユーザー座談会
中堅・中小企業の基幹システムの「現状と課題」
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■出席者
●ユーザー
  株式会社飯田(ガスサービス)
総務部 次長 加藤幸信氏
  機械製造業A社
技術部 長谷川志野夫氏
  通信機器製造業B社
開発技術部 IP技術グループ 渡辺公有氏
コンサルタント
  ITコーディネータ、情報処理技術者(特種)、情報システムコンサルタント
公江 義隆氏
 かつて大企業のみの課題であった“コンピュータ導入”“業務のシステム化”は、「IT化」「情報化」という呼び名になったころから、規模に関係なくすべての企業にとっての課題となってきた。

 しかし、中堅・中小企業の基幹システムはさまざまな面で大企業とは異なる課題を抱えている。今回は、そうした規模のユーザー企業の方々に集まっていただき、その具体的な“生の声”“現場の課題”を大いに語ってもらった。

 @ITで行ったアンケート結果とあわせて、ご紹介していこう。(>>基幹業務アプリケーションについてのアンケート[調査概要]

   中小企業のシステム課題

──本日は、中小企業の基幹業務システムに関する座談会ということで、実際に中小企業で情報システムにかかわっている方に集まっていただききました。最初に、自己紹介を兼ねて、自分の会社の業務システムの現状についてお話ください。

 
加藤幸信氏

株式会社飯田
総務部
次長


株式会社飯田
神奈川県横須賀市三春町3-9-11
ガス工事・設計・施工、ガス器具販売・修理、リフォームなど
従業員数 210名
Webサイト
   
藤氏 株式会社飯田の加藤です。当社はガスの開栓、ガス機器の修理のほか、ガス機器の販売・取り付け・工事、ガス機器まわりのリフォームまで請け負っております。東京ガスの販売協力店なので、東京ガスの販売管理システムを利用しており、市販のものを活用している会計システムとは、データ統合をしたくてもなかなかうまくできないのが悩みです。来年には東京ガスのシステムもオープン化され、Web系に変わるので、社内システムとの統合がしやすくなるのではないかと期待はしています。

 私は一応、総務所属ですが、もともとシステム系の仕事をしていて現在の職場に転職したものですから、7対3でコンピュータ系の仕事中心に作業をしています。情報システムに関わるスタッフは、私のほかに女性がいるのですが、実質的には私1人で担当しているような状況です。

長谷川志野夫

A社
技術部

機械製造
A社
厨房設備・機械開発製造、販売、メンテナンス
従業員数 50名未満
 
   
長谷川氏 私の勤務している会社は、厨房設備の開発、販売、そしてメンテナンスを手掛けています。かなり早い時期からパソコンを導入し、私が入社する前から1人1台の環境で利用はしていたのですが、早い時期にパソコンを導入した弊害が出てきてしまっています。例えば見積もりについては、何年も前から、個々の社員が自分のパソコンを作ってお客様に出すというやり方で、そのプリントアウトを紙ベースで管理しています。ある程度のコンピュータ活用はできていると思うのですが、データを集計してリアルタイムに活用するといったようなネットワークを活かした使い方への進化という意味では止まってしまっているのが現状です。

 その一方で、経理では給与、会計に市販のパッケージソフトを利用しているものの、複写伝票に手書きがいまだに残っています。また、大手の企業と取引をする場合には、指定の伝票を使わなければならなりません。そのため、いまだにPC-9801シリーズのDOS上にdBaseで独自開発したシステムなど、レガシーのシステムが現役です。

 5年ほど前に、新規に業務システムを導入して社内に散らばっているデータの統合をしようという試みはあったのですが、結局うまくいかず、そのときに導入したシステムは販売管理のみ使っているにとどまっています。

 5年前のプロジェクトでは、見積もりがどのくらい契約に至ったのかをトレースする、見積書発行を自動化するなどいくつかの目的・機能があったのですが、導入されたものの使われていないシステムも多いです。CTIなどは導入したものの、コンピュータ端末の電源を入れることすらされていないというのが実情です。システムそのものにも問題を感じていますが、社内スタッフの意識や利用スキルにも問題があると感じています。

 
渡辺公有氏

B社
開発技術部
IP技術グループ


通信機器製造
B社
通信機器メーカー
従業員数 220名
   
渡辺氏 当社は通信機器の開発・販売を行っている会社です。実は私は機器の開発を担当している者でシステムの担当者ではありません。ただ小さい会社ですから社内の情報システム部門も陣容が十分ではなく、逆に私の仕事はIP関係の知識が不可欠で、メーカーさんとの接点もあり、やり取りにも慣れているということもあり、いろいろと情報システム部門の手伝いをしているのです。

 業務システムとしては、1995年に3000万円程度の予算をかけて業務ソフトパッケージを導入しました。販売管理は、このパッケージを利用していますが、見積もりや受注伝票はExcelで作成しています。

 2003年の8月には、3000万円のコストをかけてシステムのリニューアルを行いました。Arcstar(NTTコミュニケーションズ)で国内の7拠点をネットワーク化し、引き込み回線はメガデータネッツ(NTT東日本・西日本)、社内の情報システムにはMicrosoft Exchangeを使っています。既存の業務システムやExcelも依然として使い続けたままで、システムは緩やかな連携状態といえばいいでしょうか。

 経理部門が利用しているのは、市販のパッケージシステムでオフラインのままなんです。オンライン化できるシステムがあるんだと説明をしても、使い勝手のためか、慣れのためか、別なものに変えることには抵抗があるようです。また、経理部門として、どんなシステムが欲しいのかを具体的に表現して、こちらに伝えることも難しいようです。

公江 義隆氏

ITコーディネータ
情報処理技術者(特種)
情報システムコンサルタント


元武田薬品情報システム部長、1999年12月定年退職後、ITSSP事業(経済産業省)、沖縄型産業振興プロジェクト(内閣府沖縄総合事務局経済産業部)、コンサルティング活動などを通じて中小企業のIT課題にかかわる。
@IT情報マネジメントにて、「何かがおかしいIT化の進め方」を連載中
 
   
公江氏 中小企業向けのITコンサルタントをしております、公江と言います。私は2年ほど前に定年退職をし、現職をしておりますが、それ以前は武田薬品の情報システム部門におりました。だから、皆さんと同様、ユーザーの立場でしか情報システムを考えられない人間です。ただ、退職後は、経済産業省が中小企業を元気にすることが重要だということでプロジェクトを作られて、それをお手伝いするようになっていまに至っております。

   全社最適のためのIT化とは

江氏 お三方のお話を聞いて気になったのが、経営者の方はIT化についてどうお考えになっているのかということです。経営者から見て、何のためにIT化をされているのかが明確になっているのだろうかという点です。IT化をすることが目的ではなく、IT化することによって売り上げを伸ばすとか、在庫を減らすとか、そういう目的があるはずなんですが。

加藤氏 当社の経営者はIT化には積極的に取り組んでいるというか、決して否定はしません。ただ、何をIT化することによって、会社の利益が上がるのかといった点は明確になっていないように思います。ただし、IT化はかなり以前から取り組んでいまして、DOSどころか、いまだにメーカーの固有OSによるコンピュータがいまだに残っていて、給与計算、仕入れ業務に使っています。

 販売管理システムは、先ほどお話ししたように東京ガスのシステムです。当社の業務からいえば、いかにお客様にガス機器を売るかがポイントとなってくるので、重要なシステムなのですが、簡単に現場のスタッフがデータを見ることすらできない。元データはあるのですが、それを使いやすく取り出してくるということもできず、データは貯まっていく一方です。ちょうど東京ガスのシステムもオープン化されるし、当社のシステムも刷新しなければならないという話しは出ているのですが、全体の見直しをしなければ、単発のシステム改善をしても意味がないと思います。

長谷川氏 古くからコンピュータを導入したという点では、先進的だったといえるのかもしれません。しかし、問題はコンピュータではなく、使い方です。コンピュータを導入するだけでは意味がありませんから、導入されたコンピュータをどう使うのかが問題となってきます。在庫データがあっても、「ここにデータがあって、各人の席から見ることができる。これで当社のIT化は完了した」という意識の人間が大半です。IT化によって、どう業務効率が変わっていくのか、はっきりしたビジョンがあるわけではありません。ただ、「部品の管理もしたい」とか、「バーコードでデータの管理ができないのか」とか、単発の要望があがってくるだけです。

 社員の電子化に対する意識も、社内に蓄積されたデータをどう生かしていくのかよりも、各自のパソコンに入っているExcelやWordを使えるようになることがIT化だととらえてしまっているように思います。

渡辺氏 当社の場合は、トップダウンでシステムを変えているわけではありません。そこで現場の声を積み上げて情報システム部門に渡すということになるのですが、トータルなグランドデザインがあってシステムを構築しているわけではないため、システム全体が有効活用されていない部分も出てきます。

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