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@IT[FYI] 企画:アットマーク・アイティ 営業企画局
制作:アットマーク・アイティ 編集局
掲載内容有効期限:2004年10月29日

 

 

ユーザー座談会
中堅・中小企業の基幹システムの「現状と課題」
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   中小企業にとってのERP

──皆さんに共通しているのが、個々の業務システムが単独で構築されていて、それが連動していないため、データの有効活用がなされていないという点のようですね。業務システムのデータを統合し、有効活用するものとしてERPがあるわけですが、ERPにどんなイメージをお持ちでしょうか。

■導入している基幹業務アプリケーションの種類は何ですか?(N=416)
@ITアンケートより>>調査概要

渡辺氏 社内のスタッフがERPを必要としているのか、難しいところです。そもそも、業務データの統合を望んでいるのかといえば、「そんなことは望んでいない」というスタッフも存在します。むしろ、「当社はメーカーとしてお客様に商品を販売しているので、お客様の声をもっと反映させることができるよう、システムを活用していくことの方が先決だ」という声があがっています。当社がERP導入をするのは、まだ先のことでしょう。

長谷川氏 社内で利用しているのは、古いパッケージソフトが多いので、すべて新しいものに入れ替えができればそれなりにメリットはあると思います。しかし、ERPを導入したからといって、それを日々利用するスタッフがちゃんと理解した上で利用しなければ、何を導入しても結果は一緒ということになりかねません。

株式会社飯田 加藤氏
藤氏 当社がERPを導入するとなると、もしかして私自身が最もネックになってしまうかもしれません(笑)。もともとSEの仕事をしてきましたので、パッケージを利用するのではなく、自分でシステムが組めないかと考えてしまうんですね。ただ、それほど規模の大きな会社ではありませんし、パッケージの利用やアウトソーシングなどをうまく利用した方がいいのかなと思うこともあるんですが。

 経理部門では市販の会計パッケージのLAN対応製品を導入していることから、同じ会社の上位版の製品を全社的に導入できないか検討しました。が、先ほどからお話ししている、東京ガスのシステムとのデータ連携をするにしても、接続システムを新たに開発しなければならないため、何百万円ものカスタマイズ費用がかかる。それを聞いて、とても導入は難しいという話しになりました。ERPを導入できるのは、ある程度お金に余裕があるところだというのがそのとき、社内であがった声でした。

基幹業務システムの構築形態(内円:従業員規模1000人以上 N=146、外円:同200人未満 N=161)
@ITアンケートより>>調査概要

公江氏 私の受け止め方として、日本企業のERP導入には3つのパターンがあると思います。

  1つは、文字通りのERP(エンタープライズリソース・プランニング)。例えば、会計、販売、物流など業務システムを統合し、「ここに在庫が余っているのに、ほかでは足りないといっている」とか、「注文が入っている商品は在庫がない状態であるにもかかわらず、在庫がある商品の生産ばかりしていた」といった事態が起こらないよう、データの統合によって業務全体の効率化をはかっていくもの(経営者やマネージャが、このような経営管理をしたいというニーズを、具体的に持っていることが前提です。この場合にERPは強力な必須の武器になります)。日本の中小企業では、残念ながらまだ少ないのが実状だと思いますが、これから必要性が増して行くように思います。

 2番目は、IT部門主導でERPパッケージを導入するパターンです。経営上のニーズというより、 アプリケーションシステムを手作りにするか、出来合いプログラムで進めるかといったシステム開発方法の選択結果です。開発や運用のコスト、開発スピードなどで評価する問題です。パッケージに合わせて業務を変えられるか、業務にあわせてパッケージ機能を追加・修正するかという問題の切り分けをうまくやったところが成功しているようです。

 3番目は、「ERPによって、業務改革をしよう!」と考えて、ERPを導入するパターンです。パッケージにあわせて会社の業務を変えていこうとするわけですが、それでうまくいく会社もあるし、どうしてもうまくいかないケースもあります。最近のパッケージは機能が充実し、現場の割り切りも進んでいるため、少ない手直しによるパッケージ利用が増えてきています。業務の目的にさかのぼって、「最良のやり方は?」「パッケージの機能でも運用できるか」についての十分な分析と、「ある部分ではこのパッケージのやり方は70点だが、ほかの面もあわせて考えると総合点で合格」などといった大局的な見極めが大切です。

 また、ERPで業務のやり方を変えようと提案しても、現場の担当者からは、「いまのやり方がいい」と反発が起こるケースが普通にあります。システム構築の側から業務改善を考えるのではなく、業務のやり方を変えていくという中でコンピュータ活用をどうするかと考えた方がうまくいくようです。

 また、変えることによるリスクを、現場の担当者から取り除いてやる 仕掛けがぜひとも必要です。現場の担当者が真面目に努力してきているほど、現状への思い入れが強いものです。経営者から、「1つの現場の利便性だけでなく、全体を俯瞰(ふかん)して最適な方法を考えよう」などとアドバイスがあるとうまくいくようです。

 特にトップの主導権が強い中小企業では、トップ自らが「変えよう」といわない限り進まないというのが現実だと思います。業務改革に取り組む企業と取り残される企業の2極分化が始まっています。業務改革は成功すれば、その効果は大変大きなものになります。

渡辺氏 確かに、「リソース・プランニング」なんていう会社全体で考えていくべきことは、トップダウンでなければ、決定しようがないでしょうね。

   システム化の手順

──現場からシステム化や業務改善の設計図のようなものをあげて、ここを変えていって欲しいと、トップにリクエストする方法はどうでしょう?

公江氏 トップダウンとはいえ、細かい問題までトップが理解しているわけではありません。細かい部分については、現場から「こうして欲しい、こうしたい」と声を上げないと駄目ですね。

 また、導入されたシステムがうまく活用されていない場合、なぜ現場の担当者がうまく利用をしていないのか、考えてみる必要があります。システムの問題ではなく、システムを利用するための動機付けがうまくなされていないケースも多いのです。「これを使うと、営業成績があがるよ」というように、メリットをもっと強調してあげる必要があります。例えば、営業成績を何としても上げなければならないという状況を営業の担当者が理解し、そのために「ITでこんなことはできないか?」とその担当者自身が提案する形になれば理想的です。

──皆さんの会社では、アプリケーションを導入する際、どなたが意志決定をしていますか。

加藤氏 私がインターネットやセミナーなどで聞いた情報と、現場からの「こんなことができないか」、「こういう管理は出来ないのか」といったリクエストを組み合わせて導入するアプリケーションを決定しています。ただ、実態としてはリクエストは少ないです。

 先ほどお話ししたモバイルシステムは、展示会で見つけたものですが、できたものを入れただけなので、管理も楽ではありません。

長谷川氏
長谷川氏 経営陣が現体制となってからは、システム投資を行う余裕がないため実際に新規システム導入を行ったことはありませんが、以前は完全にトップダウンでした。ただ、現場の担当者が出入りするシステムインテグレーターと仲がいいということで導入がきまったものもあります。さらに、現場の担当者の意向で導入したものもありますが、これはシステム全体としての連携は実現していません。

渡辺氏 リプレース時期にあわせ、優先すべき課題を決めて導入する仕組みとなっています。前回のリプレースの際には、ハードが優先されて、アプリケーションについては議論されませんでした。

 社内の効率化のために、アプリケーションを導入するとなると、やはりトップダウンでなければ実現は難しいと思います。ハードの方は、「そろそろリプレース時期だから」という理由で、予算がとられることはありますが。

 データ統合ができるアプリケーションを見せてもらうと、「やっぱりいいなあ」とは思います。ただ、導入になるとそのまま利用するのは難しいでしょう。

 実際の利用状況を見ると、最初は使いにくいシステムだと思って使っていても、使い続けるうちに慣れてしまって、現場では「これでいいや」と思うようになってくるようです。展示会などで新しいシステムを見ると、いま使っているものよりも使いやすいものあるし、社内の効率アップにつながるのにと私は思いますが、現場にはそれがうまく伝わらないようです。私も情報システムの専任担当ではありませんから、現場を説得して新しいものに入れ替えるまでには至っていないのが現状です。

加藤氏 やっぱり、統合パッケージを導入するからには、業務分析をきちんとしてもらって、その上で導入すべきではないかと思います。ただ、社風もありますから、社内にいる人間だけで分析するのは難しいと感じます。やはり、第三者の目で公正に業務分析してもらうことが導入成功の秘訣なのではないかと思います。

公江氏 やはり根幹にあるのは、「自分の会社をどうしたいのか」「最初に会社を作ったときと現在では何が変わっているのか」「そしてこれから会社をどうしたいのか」、経営者はそれについて考えがあるはずなんです。

 そうはいっても、会社としてのビジョンを具体的なITの仕組みにブレークダウンするのは、簡単ではありません。会社のビジョンを考えてITを導入するのではなく、周りにあおられて導入したというケースが結構多いんじゃないでしょうか。

 パソコンが1人1台環境になったために、やる気のある人はどんどん使いこなしています。その合理化の対象となる“仕事”にも会社としてトータルに使い方を考えた方がよいものと、個人がどんどん工夫していくべきものの両方があります。その中身は会社の状況や経営者の考え方によって異なっています。しかし、現実には成果がよく見えないIT化をして、困っているところも多いというのが現状のように思います。

渡辺氏 「過去に比べて現状はどれくらい違うのか」がはっきり見えるようにしないと、何も進まないというのが実感です。入力されていないデータを入力して、データとして残す習慣をつけないと、ERPを導入してもうまく活用できないのは自明の理です。

加藤氏 標準化という点では、うちの社内も全然進んでいません。グループ単位では、情報の共有という話が出ていますが。本来、ITのツールを使えばもっとうまく情報共有ができるはずなので、なんとか生かす方法を考えたいと思います。

   中堅・中小向けERPパッケージ「SAP Business One」

──ここまで基幹系システム/ERPについて話し合ってきたわけですが、ERPのトップベンダであるSAPが最近、中堅・中小企業に特化した新製品「SAP Business One」をリリースしました。みなさんからご覧になって、SAPというブランドにどのような印象をお持ちですか?

加藤氏 名前はもちろん知っていました。ただ、当社には関係のない会社だと思ってきました。ただ今日、製品説明などのお話をうかがって、中小企業向けに真剣に頑張っているんだということを実感できました。

渡辺氏 SAPさんのシステムを導入して業務効率を上げていくためには、自社のビジョンをはっきりさせないと効果は出ないなというのが今日、お話をうかがった実感です。自分1人がお話を聞いただけでは宝の持ち腐れになってしまうので、なんとか社内にフィードバックすることができないか考えてみたいと思います。

SAP Business Oneの特徴で有効と思われる項目があれば、いくつでもお選びください(企業規模別)
@ITアンケートより>>調査概要

SAP Business Oneの特徴で有効と思われる項目があれば、いくつでもお選びください(開発形態別)
@ITアンケートより>>調査概要

 次回は、「SAP Business One」の特徴と機能について詳しく説明していく。

 

中小企業に新たな成長力を! SAP Business Oneがサポート

基幹業務アプリケーションについてのアンケート[調査概要]

  • 調査方法 :Webによる自記式アンケート
  • 調査対象 :基幹業務アプリケーションの導入/運用/利用に携わる@IT読者
  • 調査期間 :2004年8月18日〜8月30日
  • 有効回答数:416件
  • 調査実施機関:株式会社 アットマーク・アイティ

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