ABC(えいびーしー)情報システム用語事典

activity-based costing / 活動基準原価計算

» 2005年09月04日 00時00分 公開
[@IT情報マネジメント編集部,@IT]

 コスト計算法の1つで、製品やサービスを顧客に提供するまでに行われる活動(アクティビティ)を基準・指標として、それに要した資源(時間や労力など)に応じて、製品・サービスに間接費配賦を行う方法。

 ABCは「活動が資源を消費し、製品が活動を消費する」という考え方を背景に、2段階の配賦を行う。まず資源(原価)を各活動に割り当て、この活動別原価(コストプール)を活動内容に沿って原価計算対象(製品など)に割り当てる。割り当ての基準は資源から活動へは資源作用因、活動から製品へは活動作用因と呼ばれ、併せて原価作用因(コストドライバー)と総称される。

 伝統的な原価計算では、生産量や操業度などを基準に間接費配賦を行うが、これは必ずしも正確なコスト配分ができず、しばしば間違った評価につながるものだった。大量生産時代は原価の中で間接費の比率が小さく、間接費の計算は重要ではなかったが、多品種少量生産の時代になると、伝統的原価計算の問題点が浮き彫りになってきた。

 そうした中、1980年代にハーバード・ビジネススクールのロバート・S・キャプラン(Robert S. Kaplan)とロビン・クーパー(Robin Cooper)が新しいコスト計算手法を取り入れている企業をケーススタディで取り上げ、体系化した手法がABCである。

 初期のABCは、製造における正確な製造原価の算定手段として位置付けられていたが、ABCを計算する過程で作られる各種のコスト情報(ABC情報とも呼ばれる)は、原価算定以外にも有用であると考えられ、ABMやABBへと発展している。

 伝統的な原価計算は、サービス産業に当てはめることが困難だったが、ABCはサービスでもアクティビティに分解・適用できることから、従来原価管理とは無縁とされていた銀行、病院、自治体などでも取り入れられている。

参考文献

▼『コスト戦略と業績管理の統合システム』 ロバート・S・キャプラン、ロビン・クーパー=著/櫻井通晴=訳/ダイヤモンド社/1998年10月(『Cost & Effect: Using Integrated Cost Systems to Drive Profitability and Performance』の邦訳)


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