ABC管理(えいびーしーかんり)情報システム用語事典

ABC control

» 2005年03月22日 00時00分 公開
[@IT情報マネジメント編集部,@IT]

 部品在庫や商品在庫、顧客などを管理するに当たり、管理対象をその重要性に応じて3つのクラスを設定し、そのクラスごとに対応を変えるなどして効果的な管理を行う方法。

 もともとは1950年代に米国GEのH・F・ディッキー(H. Ford Dickie)が在庫管理(資材発注)の方法として考案したもので、在庫品目をA・B・Cの3つのクラスに分けて、それぞれに保管方法や在庫水準、補充方式などを変えることで適切な在庫管理を行うというもの。

 在庫品目の区分は、ABC分析によって行う。全品目(種類)のうち重要度の高い上位20%程度(Aクラス)の品目群を重点的に管理強化すれば、80%の改善効果が得られるという一般的な傾向(パレートの法則)に基づいている。ただし、品目と改善効果の関係を示すパレート曲線(パレート図に示される曲線)は、業界や品目によって異なるのできちんと確認する必要がある。

 要素項目の重要度を測る指標とその改善策は、適用分野と目的によってさまざまなものが考えられる。

 例えば在庫管理であれば、指標として年間の「取引金額」や「使用金額」が使われることが多いが、「単位当たりコスト」「在庫回転率」「発注リードタイム」「所要保管コスト」「使用可能性」「欠品が発生した場合に必要となるコスト」などがある。また、「絶対に欠品を出してはいけない部品」「荷姿が大きく、管理に手間が掛かる部品」のようなものは、ABC分析による数値分析とは関係なく、人為的にAクラスにしておくことも考慮する必要がある。

 こうしてABCクラス分けを行ったら、それに応じた管理方法を選択する。例えば重要アイテムであるAクラスの品目に対しては定期発注方式を適用して、期間ごとに所要量を正確に把握して発注したり、棚卸をB・Cクラスよりも頻繁に行い、正確な数量をきちんと把握するなどが考えられる。それに対して、Bクラスには定量発注方式を取り、安全在庫水準を下回った時点で定量発注し、Cクラスに対しては管理コストのかからない現品管理などの簡易な管理方式にするといった対策を取る。

 物流でも、倉庫・物流センターの運営やレイアウト、輸配送体制の検討に利用できる。例えばAクラスのアイテムは利用地に近い場所に在庫を持ち、B・Cクラスのアイテムは都度配送にしたり、逆にAクラスはメーカー直送にしてB・Cクラスは流通センターを利用するなどといったことが考えられる。

 販売・マーケティングでは、商品別、得意先別、部門別、担当者別、曜日や曜日別、時間帯別の売上高、客数、客単価などを指標に、売り上げ貢献度を分析し、売り場構成や販売方法、販売促進、発注方法に反映させるといったことが考えられる。

 ただし、マーチャンダイジングのやり方としては、Cクラス商品(死に筋商品)だからといってカットすることが必ずしも正しいとは限らない。品揃えが悪いために客足が遠のくといった可能性を考慮する必要がある。

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