コスト(こすと)情報システム用語事典

cost / 原価 / 費用

» 2010年02月14日 00時00分 公開
[@IT情報マネジメント編集部,@IT]

 何らかの経済活動・意思決定に伴って費される経済的価値のこと。付加価値活動のインプットとアウトプットのうち、インプットに当たるヒト・モノ・カネの投入量を金額で表わしたものをいう。

 経済学でいうコスト(費用)は機会費用の考え方に基礎付けられる。ある経済主体が意思決定を行ったとき、選択しなかった選択肢から得られたであろう収益は元の意思決定を行うことによって失われた価値である。これが限界革命以降の経済学におけるコスト概念の起点となる。機会費用は主観的価値に基づくことも多く数値測定は困難だが、複数の代替案からの選択を考える場合には重要なモデルを提出する。

 また経済学で費用について考える場合は、意思決定時点での追加的費用(限界費用)が中心となる。すでに投じてしまった費用(埋没費用)については取り返すことができないものと考え、これを除外して経済的意思決定を行うことが有効であると考える。

 経済学ではcostを費用と訳すことが多いが、会計学/原価計算ではcostに原価の訳語を当て、費用はexpenseの意味で用いる。費用は簿記の基本5勘定科目の1つで、会計上の企業価値減少を意味する。

 原価計算は生産や販売などの経済活動における効率性を測るために元手がどれだけ掛かったを計算するものなので、その活動で正常かつ不可避的に消費される経済価値はすべて原価である。原価計算基準では「経営における一定の給付にかかわらせて、把握された財貨又は用役の消費を、貨幣価値的にあらわしたもの」と定義される。製造業の製造原価が典型で、一般にその三要素として「材料費」「労務費」「経費」が挙げられる。

 原価計算では材料費は原価だが、財務会計では原材料を取得(購入)した時点では資産計上し、加工後に製品が売れた時点で費用として計上するという操作を行う。このように原価概念と費用概念は異なる。ほかにも費用だが原価とは扱われない費目に、投資資産の減価、遊休資産によって発生する費用、寄付金・支払利息・有価証券の評価損などによる費用、減損や棚卸減損耗による損失、事故による損失、臨時償却、固定資産売却損・除去損、異常な貸倒損失、価格変動準備金繰入額、租税特別措置法が認める特別償却、税法上損金に算入できない税金、利益処分による配当金、役員賞与などがある。

参考文献

▼『管理会計の基礎』 溝口一雄=編著/中央経済社/1993年3月

▼『原価計算〈6訂版〉』 岡本清=著/国元書房/2000年4月

▼『管理会計発達史論〈改訂増補〉』 辻厚生=著/有斐閣/1988年9月


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