CPFR(しーぴーえふあーる)情報システム用語事典

collaborative planning, forecasting and replenishment / シーパー / 製販協働計画予測補充

» 2010年01月18日 00時00分 公開
[@IT情報マネジメント編集部,@IT]

 小売事業者と製造事業者、中間卸業者が相互に協力して、「商品の企画・販売計画」「需要予測」「在庫補充」を協働して行い、欠品防止と在庫削減を両立させることを目指す取り組みをいう。

 CPFRを推進する米国のサプライチェーン標準化の任意団体であるVICSでは、「インターネット技術とEDI技術を活用してサプライチェーン間のコストを劇的に削減し、かつ消費者へのサービスレベルを大幅に向上させることを目的としたビジネスモデルである」と規定している。

 基本的な考え方は、小売事業者が販売実績や販売促進策(特売時期や売り場の作り方)などの情報を事前に製造事業者に提供することで、製造側は独自に行う場合よりも精度の高い需要予測に基づく生産計画が立てられるようになるというものである。需要予測/販売予測は小売・製造の双方が行い、その値を付き合わせて設定する。値にズレがある場合には相互協力の下、見直しや再計算を行う。情報の共有や値の突き合わせは、EDIやインターネットを活用して行われる(これらのデータ交換時の標準化もCPFRに含まれる)。こうした意思決定(発注数量の決定)をできる限り、自動化することを目指すというのも特徴の1つである。

 VICSが定める標準プロセスは次の9ステップである。

  1. 基本合意書の作成
  2. 業務計画の協働策定
  3. 販売予測の作成
  4. 販売予測の例外事項(特売や価格変更、売り場の改装など)の明確化
  5. 販売予測の例外事項の協働解決
  6. 発注・在庫補充手配予測の作成
  7. 発注予測の例外事項の協働解決
  8. 発注予測に差異がある場合の協働解決
  9. 発注書の作成、在庫補充

 このプロセスは単一ものではなく状況に応じて、複数のプロセスモデルの中から選択できるように定義されている。

 直接的な元型は1995年末からウォールマートストアーズとワーナーランバート(現ファイザー)の間で実施されたCFARである。これは製販が協働して需要予測(forecasting)と在庫補充(replenishment)に取り組むというものだが、ここにカテゴリマネジメント=商品企画や販売促進計画(planning)を加えたプロセスがCPFRである。

 CFARに“P”を加えてCPFRとして打ち出したが、前述のVICSである。VICSは1996年末にCPFR委員会を設立して標準プロセスの策定に乗り出し、1997年末に素案を完成させ、翌年6月に「CPFRガイドライン」を公開した。これに基づいていくつかのパイロットプロジェクトが実施され、その成果は「CPFRロードマップ」にまとめられている。

 ウォルマートをはじめとする実験的な取り組みの成果を受けて米国以外の欧州企業でも、日本でも2000年にP&G、マイカル(イオングループ)、三井物産が実証実験を行った。2001年には国際取引に関する標準化団体GCIにCPFR委員会が設置され、国際標準化が進められて、グローバルな取り引きにもCPFRに基づいて行われるようになってきている。

参考文献

▼『図解 次世代SCM――CPFRがわかる本』 ジョセフ・アンドラスキー、舟本秀男=著/日本能率協会マネジメントセンター/2002年2月

▼『コラボレーティブコマース――先進企業にみる流通連携戦略』 舟本秀男=著/同友館/2005年6月

▼『P&Gに見るECR革命――経営改革への決断』 山崎康司=著/ダイヤモンド社/1998年9月


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