EDI(いーでぃーあい)情報マネジメント用語辞典

electronic data interchange / イーディーアイ / 電子データ交換 / 電子情報交換

» 2003年08月12日 00時00分 公開
[@IT情報マネジメント編集部,@IT]

 標準化された規約に基づいて電子化されたビジネス文書(注文書や請求書など)をやり取りすること、またこうした受発注情報を利用して企業間取引を行うこと。電子化されたデータそのものを指す場合もある。経済産業省では「異なる組識間で、取引のためのメッセージを、通信回線を介して標準的な規約を用いて、コンピュータ間で交換すること」と定義している。

 EDIは、複数の企業間での取引や精算を広域かつリアルタイムに行うことを可能にする。同時に企業内における交換書類の作成のための事務量削減、ひいては業務コスト削減も目的となる。それを実現するためには取引企業間での交換データの形式の統一や機密保持が必要となる。これらについては、実験的な試行経験から知識が蓄積され、データ形式の標準化が進行しつつある。

 EDIの規格は、4つのレベルからなり、下位の規約から順に標準化されている。第3レベルより上位はごく一部を除き、まだ標準化されていない。

 国際的なEDIの進展に伴って、1987年、ISO(国際標準化機構)では、ビジネスプロトコルEDIFACTを国際規格として承認しており、日本もこれに合わせて標準化を図り、1992年に(財)日本情報処理開発協会の産業情報化推進センター(CII)により、CII標準(CIIシンタックスルール)が国内標準としてリリースされた。

レベル分類 内容 ISO規格 米国の規格 日本の実態
レベル4
取引基本規約
EDIにおける取引の法的有効性を確立するための契約書 当事者間による個別契約 VAN業務一括契約
レベル3
業務運用規約
業務やシステムの運用に関する取り決め 国連で検討中 当事者間による取決め
EIAJ運用ルール
業界VAN統一運用規約
レベル2
情報表現規約
標準メッセージなど、対象となる情報データをお互いのコンピュータで理解できるようにするための取り決め ISO 9735(UN/EDIFACT)
ISO7372(国連EDI)
ANSI X.12 シンタックスルール
CIIシンタックスルール EIAJシンタックスルール
標準メッセージ
レベル1
情報伝達規約
ネットワーク回線の種類や伝送手順などに関する取り決め OSI 7階層+α 全銀手順JCA手順
プライベート手順
日本情報処理開発協会・産業情報化推進センターの文書などを参照

 EDI標準化作業は、1960年代に北米で運送業を中心として開始された。やがて、全産業を包含する統一標準が必要とされ、ASC(Accredited Standards Committee) X12が設立、1979年にANSI(American National Standards Institute)によって認可された。ASC X12によって、一般にX12と呼ばれるEDI標準が作成され、これは当初は米国内の取引で使用された。一方、欧州共同体では、GTDI(Guidelines on Trade Data Interchange)と呼ばれる独自のEDI 標準が開発された。その後、国連の欧州経済委員会において、X12とGTDIをベースにEDIFACT(Electronic Data Interchange for Administration, Commerce, and Transport)と呼ばれる新しい標準が開発された。EDIFACTは、1987にISO(International Organization for Standardization)によって「ISO 9735」として採択。ASC X12メンバーは、1992年にEDIFACTの採択を承認したが、北米では依然としてX12がEDI標準として広く使用されている。

 EDIFACTの開発は欧州経済委員会の管理下で行われ、その一部は国際規格となっている。1998年からはEDI用の国際シンタックスルール「EDIFACT(EDI for administration, commerce and transport) V4」が順次ISO登録され、これがデファクト・スタンダードとなっている。ちなみに米国では「ANSI.X12」、日本では銀行業界の標準である「全銀手順」、各種業界で使われている「CII標準」、流通業界の「JCA手順」、物流業界の「JTRN」などがある。

 従来、EDIシステムを構築するには専用線と汎用大型機が不可欠だったが、PCとインターネットを利用した「Web EDI」の登場により、安価かつ手軽にEDIを導入できるようになっている。

参考文献

▼『OSIの利用とEDIの標準化動向――「EDI・OSIを中心とした標準化懇談会」での紹介事例を中心として』 金融情報システムセンター/1992年4月

▼『流通業における電子化取引標準化調査研究報告書』 流通システム開発センター、OBN情報センター/2000年3月

▼『物流EDI標準集――JTRN(2D版)』 物流EDI推進委員会/2001年9月


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