ファームバンキング(ふぁーむばんきんぐ)情報マネジメント用語辞典

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» 2009年05月26日 00時00分 公開
[@IT情報マネジメント編集部,@IT]

 銀行などの金融機関が法人向けに提供するエレクトロニックバンキングで、企業の経理担当者が銀行店舗に出向くことなく銀行機能を利用し、事務効率化に活用できるサービスをいう。

 ファームバンキングは、金融機関のホストコンピュータと企業(=firm)のホストやオフコン、端末機を専用線/公衆電話回線で接続し、各種の銀行取引をオンラインで行えるようにしたものである。事前の設定により、銀行側システムが毎月決まった額を指定の口座に自動送金するような機能も含まれる。

 提供される機能としては、入出金明細・預金残高の照会、振込・振替などの基本サービスに加え、複数銀行への総合振込や一括データ転送による給与振込、即時の入金通知、個人住民税納付・外国為替送金、金融・経済情報の提供などがあるが、個別具体的なサービス内容は銀行によって異なる。

 利用端末は初期のころは専用機を前提するものもあったが、後に多機能電話機・ファックスを使うもの、パソコン通信を利用するものが登場し、現在ではパソコンに専用ソフトをインストールするタイプが主流である。会計ソフトや給与管理ソフトの中にはファームバンキングを連動して動作するものもある。

 ファームバンキングは和製英語で、欧米の銀行では法人向けサービスをCMS(cash management service)と呼んでいる。一方、邦銀ではファームバンキングが始まった当初、海外銀行のサービスの方が進んでいたこともあって、CMSを「さらに付加価値の高いサービス」と位置付けていた。2000年以降、邦銀でもCMSに取り組むところが増えてきたが、従来型のファームバンキングとは別サービスになっている場合が多い。

 ファームバンキングは、1982年10月の第2次電気通信法改正による企業間の通信回線接続の自由化、1983年4月の大蔵省(当時)通達によって実現されたもので、現在でも電話回線経由で接続するサービスを指す。1990年代になってインターネットが普及すると、Webブラウザで利用できる「インターネットバンキング」が登場するが、これとファームバンキングは区別される。初期のインターネットバンキングはセキュリティ面での不安もあって利用が広がらなかったが、近年はインターネットセキュリティの充実もあって、ファームバンキングからの乗り換えが進んでいる。

参考文献

▼『エレクトロバンキング』 金融財政事情研究会=編/金融財政事情研究会/1982年12月

▼『金融革命最前線――動き始めたファーム・バンキング』 土肥一忠、大平宗=著/ダイヤモンド社/1984年12月


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