フォークソノミ(ふぉーくそのみ)情報マネジメント用語辞典

folksonomy

» 2010年04月26日 00時00分 公開
[@IT情報マネジメント編集部,@IT]

 インターネット上にあるWebページなどの情報に、不特定多数の閲覧者がフリーワードでメタデータ(キーワード)を付け加えていくことでファインダビリティ(見つけやすさ)を高めようという情報分類法のこと。

 21世紀に入って、写真・映像の共有サイトやソーシャルブックマークなどが広がると、ユーザーが自由に定義した語を使って情報を整理する方法が登場した。フォークソノミは、このような形で作られる“ボトムアップ型の分類体系”を指す用語として、米国の情報アーキテクト トーマス・ヴァンダー・ワル(Thomas Vander Wal)が2004年に造語したものである。folks(民衆)とtaxonomy(タクソノミ)を合わせたものだが、folk wisdomが「世間の知恵」程度の意味なので「世間の分類」とでもいえるだろうか。

 フォークソノミ型のタグ付け(メタデータ付与)は自由かつ気まぐれに行われるので不完全な分類にしかならないが、精密な分類体系としてタクソノミや統制語彙を作るのに対して安価かつ簡便に始められるので、“とりあえず”行う人為インデキシングとして大きなメリットがある。また、さまざまな人々が勝手に付けたキーワードが大量に集まることで、人気度や注目度といった従来の“分類”にはなかった新しい情報整理ができるという点も特徴の1つである。

 米国の情報アーキテクトであるピーター・モービル(Peter Morville)は、変化の早い分野についてフォークソノミ、変化の遅い分野についてはタクソノミやオントロジが向くとして、情報ライフサイクルに応じてフォークソノミとタクソノミを使い分ける進化型の情報アーキテクチャを推奨している。

参考文献

▼『アンビエント・ファインダビリティ――ウェブ、検索、そしてコミュニケーションをめぐる旅』 ピーター・モービル=著/浅野紀予=訳/オライリー・ジャパン/2006年4月(『Ambient Findability: What We Find Changes Who We Become』の邦訳)

▼『IA 100――ユーザーエクスペリエンスデザインのための情報アーキテクチャ設計』 長谷川敦士=著/ビー・エヌ・エヌ新社/2009年11月


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ