ILM(あいえるえむ)情報マネジメント用語辞典

information lifecycle management / 情報ライフサイクル管理 / インフォメーションライフサイクル・マネジメント

» 2004年11月16日 00時00分 公開
[@IT情報マネジメント編集部,@IT]

 情報(電子データ)の重要度や利用目的・頻度などの変化に応じて、それを格納するのに適したストレージへ適宜、移動・配置することにより、効果的な情報活用と効率的なストレージ投資を実現するという考え方。これに従ったデータとストレージの管理(手法)、あるいはその管理をサポートするソリューションをいう場合もある。

 企業内で利用・蓄積されている情報はそれぞれ性質が異なり、「更新・閲覧ともに頻繁に行われるもの」「更新は少ないが閲覧は多いもの」「ほとんど参照されないが、保存が法的に義務付けられているもの」などさまざまだ。さらにこうした情報の価値や用途は、時間経過や環境変化などによって常に変わる。

 他方、ストレージデバイスも「HDD」「ネットワークストレージ」「リムーバブルディスクメディア」「テープ」など多種多様で、容量、データ転送速度、価格、信頼性、長期保管適性などの面でさまざまな特性がある。

 そこで、情報のライフサイクル(作成・生成、公開、閲覧・配布、保存・アーカイブ、廃棄・削除)に応じて、コストやサービスレベルの面で適切なストレージデバイスに、データを移動・配置することで情報活用とストレージ投資の双方を最適化するという考え方が生まれた。

 管理プロセスの具体例としては、極めて重要で利用頻度も高い情報は高信頼性・高性能なハイエンドのストレージ(ディスクアレイなど)で管理し、一般的なオフィス業務で利用するような情報は中小規模ストレージ(HDDなど)を使用、あまり更新することはなく保管することが重要なデータは低コストのストレージ(テープなど)に保存し、不要になった情報は破棄するといったものになる。

 ILMという言葉は、2002年ごろから米大手ストレージメーカーのストレージ・テクノロジーやEMCなどが自社戦略の一環として提唱したもので、次世代ストレージソリューションのコンセプトとして登場したが、各種法規制によるデータの保存、保護、廃棄などの義務化の動きなどもあり、近年はコンプライアンスソリューションとしても注目を集めている。

 各ベンダが提供するILMソリューションは、ストレージの集中管理といった単純なものから、データの利用法に従ってルールとポリシーを作成し、これに基づいてデータの格納、コピー、バックアップ、アーカイブなどを自動的に行うとともに、データやファイルに対するインデキシングや検索、データの取り出しといったコンテンツ管理などを統合した方向に向かっている。

 さらにデータやストレージの利用状況のモニタリング、学習(インテリジェント化)、ストレージ構成の判断、サービスレベル保証などへの取り組みが行われている。

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