OA(おーえー)情報システム用語事典

office automation / オフィスオートメーション

» 2008年03月05日 00時00分 公開

 1970年代半ばに登場した業務改善コンセプトで、オフィスにおける事務作業を各種の電子機器を用いて効率化すること。具体的には、それまで手作業で行われていた事務作業をコピー機やファクシミリ、電子卓上計算機、コンピュータなどを使って、できる限り合理化・省力化することをいう。

 日本では1970年代後半に小型低価格の電子事務機器の登場に伴って、OAブームが到来した。当時はファクシミリ、乾式複写機、オフコン(オフィスコンピュータ)が「OAの三種の神器」と呼ばれ、後にパソコンや日本語ワープロ専用機、プリンタ、LANなどがOA機器・技術の範ちゅうに含まれるようになる。

 言葉の成り立ちとしてはオートメーション(自律制御によるオペレーションの自動化)を事務所業務に当てはめたもので、当時勃興しつつあったマイクロエレクトロニクスやコンピュータ、テレコミュニケーション技術によって事務の全面機械化、ペーパーレス化を志向するものと説明される。マサチューセッツ工科大学(MIT) スローンスクール(当時)のマイケル・D・ジスマン(Michael D. Zisman)は、「従来のデータ処理技術では扱いにくい、不明確な構造を持つオフィス業務に対して、コンピュータ&通信テクノロジとシステム科学、行動科学を適用すること」と定義している。

 ただし、実際に登場したOA機器はオフィスワークの自律制御を行うものではなく、台帳記帳や伝票集計、紙による文書の作成・複製・印刷・頒布・蓄積・再利用を効率化・迅速化するための道具だった。1990年代に入ってファクシミリやコピー機などのOA機器が当たり前の存在になるとともにインターネットやWebなどが登場すると、OAという言葉は次第に、IT(情報技術)、ICT(情報通信技術)という言葉にとって代わられ※、次第に使わなくなった。2005年1月には「日本オフィスオートメーション協会」が「社団法人企業情報化協会」へ、2007年4月には「オフィス・オートメーション学会」が「日本情報経営学会」へと、それぞれ名称を変更している。

※ ITやICTは決してOAの同義語ではなく、意味範囲ははるかに広い。

参考文献

▼『オフィスオートメーションの構想』 黒川順二=著/葉出版 /1980年

▼『オフィス・オートメーション入門――OAをこなす知恵』 安田寿明=著/講談社(ブルーバックス)/1981年

▼『動き出したオフィスオートメーション』 都築公男=監修/日本経済新聞社、東芝OA関係者=著/日経事業出版社/1981年

▼『Office Automation: Revolution or Evolution』 Michael D. Zisman=著/Sloan Management Review, vol. 19, no. 3, Spring 1978


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