機会費用(きかいひよう)情報システム用語事典

opportunity cost / オポチュニティコスト

» 2010年02月17日 00時00分 公開
[@IT情報マネジメント編集部,@IT]

 経済学用語で、ある経済価値を得るために失われた別の経済価値のこと。失われた収益機会が複数ある場合は、そのうちで価値が最大のものをいう。

 ある目的で資源(金銭、時間などを含む)を使った場合、通常はそれを別の目的に用いることはできない。すなわち、特定の行動を選択することで別の行動は断念することになり、代替案がもたらしたであろう収益は失われる。このような「ある行動を選択したことにより諦めることになった別の行動から得られたはずの効用」を活動の代償=費用ととらえる考え方が機会費用である。

 例えば「大学に行く」という意思決定を考えると、金銭的な費用であれば進学で得られる効用に対して学費が高いか安いかを考察することになるが、機会費用の考え方に依れば「就職をする」「起業する」「プロスポーツ選手になる」「世界旅行をする」……といったほかの行動を選択した場合の効用と比較することになる。

 機会費用はウィーン学派に始まるコスト概念で、金額的に測定できる費用だけではなく主観的な効用を重視している。機会費用を客観的に測定することは困難だが、企業行動/消費者行動や意思決定を論じるうえで重要となる概念である。

参考文献

▼『マンキュー経済学(1) ミクロ編〈第2版〉』 N・グレゴリー・マンキュー=著/足立英之、石川城太、小川英治、地主敏樹、中馬宏之、柳川隆=訳/東洋経済新報社/2005年10月(『Principles of economics - 3rd ed.』の邦訳)

▼『クルーグマン ミクロ経済学』 ポール・クルーグマン、ロビン・ウェルス=著/大山道広、石橋孝次、塩澤修平、白井義昌、大東一郎、玉田康成、蓬田守弘=訳/東洋経済新報社/2007年10月(『Microeconomics』の部分訳)


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