シックスシグマ(しっくすしぐま)情報システム用語事典

six sigma / 6 sigma

» 2007年08月21日 00時00分 公開
[@IT情報マネジメント編集部,@IT]

 各種の統計分析や品質管理手法を体系的に使用して、製品製造やサービス提供に関連するプロセス上の欠陥を識別・除去することにより、業務オペレーションのパフォーマンスを測定・改善する厳格で規律ある経営改善方法論。

 シックスシグマは、もともとは1980年代初頭に米国モトローラ(Motorola, Inc.)が生産プロセスを改善するために開発した手法で、当時圧倒的な競争力を誇っていた日本の製造メーカーなどで実施されていたQCTQCを研究して生み出された。1990年代半ばに、GE(ゼネラル・エレックトリック)が製造プロセスだけではなく、経営活動中に存在するプロセス全般を対象に、顧客視点をベースに経営改革を実現する手段として導入、成果を上げたとされたことから、経営改革手法として一躍有名になった。

 シックスシグマで使われる手法の多くは日本型QC/TQCに由来するが、米国企業の風土に合わせてトップダウンで進めるように設計されている。日本型TQCは現場作業者がQCサークルを作って現場の問題を現場で解決するという日常活動として展開されるが、シックスシグマではトップマネジメントが改善したいポイントと要件を定義し、ブラックベルトと呼ばれるシックスシグマのエキスパートの下に現場作業者のチームが編成され、数カ月間の有期的プロジェクトとして改善活動が実施される。

 活動の内容は、「COPQ(cost of poor quality:製品やサービスの品質不良のために生じる無駄なコスト)」と「CTQ(critical to quality:経営品質に決定的な影響を与える数少ない要因)」を2つの指導原理として、特定の要因やプロセスなどをフローチャート化し、「MAIC」「DMAIC」のサイクルをまわすことで各プロセスをチェックし、欠陥が起こる部分を改善する作業を継続的に行うというもの。

 シックスシグマの名は、統計用語に由来する。品質管理のためには“ばらつき”をコントロールすることが欠かせないが、その方法であるSQCなどの一般的な管理図では3シグマ法が使われている。シグマ(σ)とは、統計用語で標準偏差(分散の平方根)を意味し、分布の「ばらつき」を示す。3シグマ法は、品質のばらつきを標準偏差で測定し、正規分布の中心に平均からプラスマイナス3シグマを上限・下限管理限界として、管理限界の外に出た場合に対応を行うことで品質を維持しようというものだ。シックスシグマは、上限・下限管理限界に6シグマを使用することから、このように呼ばれるようになった。

 シックスシグマは日本的経営から生まれてきたものながら、米国式トップダウンになっているため、日本では日本企業の特質を踏まえた「日本版シックスシグマ」を提唱する向きもある。一方、米国ではリーン生産方式と組み合わせたリーン・シックスシグマ、設計工程における品質改善を対象とするDFSS(design for six sigma)が登場している。

 なお、「Six Sigma」は米国モトローラの登録商標である。

参考文献

▼『シックスシグマ・ウエイ――全社的経営革新の全ノウハウ』 ピーター・S・パンディ、ロバート・P・ノイマン、ローランド・R・カバナー=著/高井紳二=監訳/大川修二=訳/日本経済新聞社/2000年12月(『The Six Sigma Way: How GE, Motorola, and Other Top Companies are Honing Their Performance』の邦訳)

▼『シックスシグマ』 シビル・チョウドリ=著/丸山聡美=訳/翔泳社/2001年8月(『The Power of Six Sigma : An Inspiring Tale of How Six Sigma Is Transforming the Way We Work』の邦訳)

▼『シックスシグマ』 フォレスト・W・ブレイフォーグル・3世=著/三田昌弘、小野寺清人、河合克巳、倉林陽、村上雄介=訳/エコノミスト社/2007年1月(『Implementing Six Sigma: Smarter Solutions Using Statistical Methods』の邦訳)


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