software engineering body of knowledge / ソフトウェアエンジニアリング知識体系
ソフトウェアエンジニアリング(注1)に関する理論や方法論、ノウハウ、そのほかの各種知識を体系的にまとめたもの。ソフトウェア専門職業人(ソフトウェアエンジニア)に要求される知識の集合体で、特にIEEE(米国電気電子技術者協会)とACM(米国計算機学会)が共同でまとめたSWEBOKガイドを指す。
ソフトウェアエンジニアリングの実践に必要となる知識は、過去のソフトウェアエンジニアリング活動における経験や研究などから抽出・蓄積されてきた。この知識が体系的構造を持つと見做したものがSWEBOK=ソフトウェアエンジニアリング知識体系である。
SWEBOKを構成する個別具体的な知識は、過去に発表・出版されてきた文献や書籍の中にある。それら相互の関係は、経験あるエンジニアであれば頭の中で整理されていると推定されるが、未経験者や学習者にとっては体系的な存在であるとはいえない。未経験者や学習者が効率的にソフトウェアエンジニアリングを学ぶには、体系的に整理された手引きがあると便利だ。
そこでソフトウェアエンジニアリングの専門職業人が持つべき知識に関する共通認識を確立するために、IEEEとACMが策定した概説書が『Guide to Software Engineering Body of Knowledge』(ソフトウェアエンジニアリング基礎知識体系ガイド=SWEBOKガイド)である。これはソフトウェアエンジニアリング知識体系そのものではなく、知識体系の概要を示すガイドである。
SWEBOKガイドはソフトウェアエンジニアリングの全体像と範囲、特徴を確立して隣接領域(コンピュータサイエンス、プロジェクトマネジメント、コンピュータエンジニアリングなど)との境界を明確にするとともに、知識体系を構成する文献・資料へのアクセス手段と、教育カリキュラムや職業資格・免許などの基礎を提供するために作られた。ソフトウェアエンジアリング分野に関連する題材を10の知識領域に大分類し、さらに階層的に体系化している。
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SWEBOKガイドでは“一般に認められた”知識という基準を適用しており、先進的・研究的知識は含まれていない。これは、エンジニア教育・訓練の基礎となることを想定して作られているためで、参考文献も学部卒業プラス社会経験4年程度の技術者が習得するのに適切なものに限定されている。
(注1)ソフトウェアエンジニアリング
▼『ソフトウェアエンジニアリング基礎知識体系――SWEBOK 2004』 松本吉弘=訳/オーム社/2005年6月(『Guide to Software Engineering Body of Knowledge, 2004version』の翻訳)
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