情報システムユーザースキル標準(じょうほうしすてむゆーざーすきるひょうじゅん)  情報システム用語辞典

UISS / Users' Information Systems Skill Standards

» 2007年07月09日 00時00分 公開
[@IT情報マネジメント編集部,@IT]

 一般の企業などが、日々の経営・業務にITを活用するに当たって、組織として備えるべき情報システム(IS)機能※と、それを遂行する人材の対応関係を体系的に整理したリファレンスモデル。経済産業省の委託を受けた日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)が中心となって策定し、2006年6月にVer.1が公表された。2007年6月にはVer1.1が公表されている。

※ UISSでは、ISを「組織の活動に必要な情報の収集、蓄積、処理、伝達、利用に関わる仕組み」と定義し、コンピュータシステム以外のものを含む。

 先行して作られたITSSがITサービスを提供する側を念頭に置いて作られたスキル標準であるのに対し、UISSはITサービスを調達・評価・活用してISを企画・構築する側であるユーザー企業における組織的機能と具体的役割、およびその役割を遂行するうえで必要となる人材のスキルやレベルを取りまとめた、タスクとスキルの標準モデルである。その目的として「企業自ら有するIS機能の全体像の可視化を実現する」「IS活用部門を含むISに携わる人材の最適配置及び育成が実現すること」の2つが挙げられている。

 UISSは、以下のドキュメントから構成される。

タスクフレームワーク

 企業の組織レベルにおける各種業務機能(タスク)と、IS機能(タスク)の関係を示した図。各社は、自社の実情に応じて必要なIS機能を設定する。

タスク概要

 タスクフレームワークに登場する各タスクの概要をまとめた一覧表。各タスクの目的や主な機能を示す。

機能・役割定義

 タスクを細分化して具体的な業務に落とし込み、それを遂行するために必要な専門スキルを定義、関連する知識項目を示した一覧表。

研修ロードマップ

 機能・役割定義で示された専門スキル・知識を、実行者である人材が身に付けるための研修コースを体系化したもの。Ver1.1から登場したもので、詳細は策定中である。一部のタスクについては、ITSS研修ロードマップを参照するように定義されている。

人材像とタスクの関連

 各人材像がどのタスクを担うかを分かりやすく示した図表。

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UISSにおける人材像とタスクの関係(出所:経済産業省資料)

人材像定義

 UISSで設定する各人材像のミッション、活動内容、レベル範囲を定義した一覧。キャリアレベル概念図

キャリアフレームワーク

 設定された人材像とキャリアレベルの対応関係をまとめ、人材像ごとのレベルをモデル化した表。キャリアパスを描く際の参照フレームワークとして利用する。


 UISSの特徴は、まず「タスクフレームワーク」を参照して、自社に必要なIS機能を設定することにある。自社で保持すべき機能とアウトソーシングを利用しても良い機能を分けたうえで、社内機能に求められる人材像を定義して、カスタムキャリアフレームワークを構築、これに基づいて採用や研修などを計画的に実施するという流れになる。

参考文献

▼『UISSガイドブック――情報システムユーザスキル標準』 高橋秀典、沼田克彦、引地信寛=著/ソフト・リサーチ・センター/2007年12月


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