VAN(ぶいえいえぬ)情報システム用語事典

value added network / バン / ヴァン / 付加価値通信網

» 2006年07月26日 00時00分 公開

 データ通信サービスの1種で、単なる信号伝送だけではなく、パケット交換や電子メール、コード変換、プロトコル変換、EDI(注1)データのフォーマット変換などの付加機能を併せて提供する回線ネットワーク・サービスのこと。

 1970年代に米国で登場したVANは、初期は電話回線を利用したデータ通信(パケット変換)が中心で、ほかに電子メールなどの通信処理機能、データベースサービスなどの情報処理機能などが提供された。これはTSS(コンピュータの遠隔共同利用サービス)の発展形、ないしネットワークサービスへ衣替えしたものと見ることもできよう。

 日本ではそれまで電気通信事業は電電公社の独占とされ、一般の電話回線をデータ通信に使うことは禁じられていたが、1971/1982年の公衆電気通信法の改正を経て通信回線の開放が順次進められ、届出業者によるVANサービスが行われるようになった。

 1985年になると電電公社の民営化に伴って公衆電気通信法が廃止され、電気通信事業法が制定された。同法では伝送路設備を保有する事業を第一種電気通信事業とし、その回線を借り受けてデータ変換などの機能を付加した通信役務を再販する事業を第二種電気通信事業として許可しており、これに基づいて多彩なVAN事業者が登場するようになった(第一種電気通信事業者にもVAN提供は許可されていた)。

 データ変換による異機種接続サービスとしてのVANは、世の中のすべてのコード/プロトコル/フォーマットに対応することは不可能であるため、大企業の本支店間や系列企業間、あるいは業界・地域など範囲を限定したものとして発展した。また、国際的な拠点間通信を提供する国際VANなどもある。利用をエンドユーザーに開放したパソコン通信もVANの一種である。

 近年はデータ通信にインターネットを利用することも多く、2003年の電気通信事業法改正(2004年4月1日施行)で電気通信事業に第一種/第二種の区分がなくなったこともあり、あまり使われない言葉になっている。

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