ベンダーシステム(べんだーしすてむ)情報システム用語辞典

vendor system

» 2010年01月18日 00時00分 公開
[@IT情報マネジメント編集部,@IT]

 セブン−イレブン・ジャパン(本部)と加盟店、納入業者の間で形成されている協働体制のこと。

 セブン−イレブン・ジャパンは創業以来、商品開発や商品配送に関して納入業者のリソース(経営資源)を最大限活用してきた。商品開発では食品を中心に多数の共同開発商品を店頭に置き、配送は自前の物流センターを持たずに既存の卸事業者との協力関係の中で多頻度小口配送を実現している。これを実現する協働の仕組みをベンダーシステムという。

 セブン−イレブン・ジャパン本部は商品を仕入れるに当たり、納入業者が奨めてきたものをただ買うのではなく、独自の商品を作り出すべく、共同開発を行ってきた。弁当やおにぎりなどを作る地域の食品加工会社ばかりではなく、菓子や飲料を作る大手食品会社と共同開発した商品も多い。現在では同社店舗で扱う商品の半分以上がオリジナル商品となっている。工場廃棄物の共同リサイクルも行われている。

 物流では1976年の生鮮商品を皮切りに窓口問屋制度による共同配送を実施している。窓口問屋制度とは、一定の地域(ドミナント)ごとに1つの卸事業者を窓口問屋に指定し、ここに各メーカーの商品を集約、そこで店舗別に仕分けをし直して各社の商品を混載配送する仕組みである。ドミナントに適当な既存物流施設がない場合などは納入各社の共同出資によって共同配送センターを設置し、集約物流を行っている。これにより初期には1店舗当たり1日に70回前後もあった配送便が、最も効率のよい地域では9回以下にまで減少している。物流に必要な車両・燃料を共同購入する取り組みも行われている。

 セブン−イレブン・ジャパンのベンダーシステムは、ウォルマートストアーズが戦略的同盟やCPFRCFARが推進するに当たってベンチマークの対象になったといわれている。

参考文献

▼『セブン−イレブンからヒット商品が生まれ続ける理由』 緒方知行、月刊「2020AIM」編集部=編著/かんき出版/2006年2月

▼『セブン−イレブンの経営史――日本型情報企業への挑戦〈新版〉』 川辺信雄=著/有斐閣/2003年5月

▼『セブン−イレブンの魔術商法』 溝上幸伸=著/エール出版社/1998年8月

▼『ローソン、ファミリーマートがセブン−イレブンにどうしても勝てない事情』 坂口義弘=著/あっぷる出版社/1989年1月


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