デジタルオーディオ用光ケーブル/コネクタ(光角型/光ミニ)ケーブル&コネクタ図鑑

デジタルオーディオ用光コネクタには、「光角型」と「光ミニ」の2種類がある。その仕様はS/PDIF(IEC 60958、CP-1201)で決まっている。

» 2001年12月07日 05時00分 公開
[島田広道デジタルアドバンテージ]
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 オーディオ信号をデジタルで伝送するインタフェースのうち、PCで標準となっているのは「S/PDIF(Sony/Philips Digital Interface Format)」と呼ばれる仕様だ。

 S/PDIFとは、業務用規格であるAES/EBUのデジタルオーディオ伝送規格を民生用にしたもので、その名の通りソニーとPhilipsにより考案・開発された。標準規格としては国際的にはIEC 60958、また日本国内では旧EIAJ(現在はJEITAに統合)のCP-1201で規定されている。民生用AV機器でも標準的なデジタルオーディオインタフェースとして用いられている。

 S/PDIFでは同軸ケーブル(電線)または光ファイバーを用いる2種類の伝送方式が規定されており、どちらかといえばPCやAV機器では光ファイバー方式が実装されていることが多い。本稿の「デジタルオーディオ用光ケーブル/コネクタ」とは、このS/PDIFの光ファイバー方式で用いられているケーブルとコネクタのことだ。

 電線に比べると光ファイバーには、外からケーブルにノイズが混入したり逆にノイズをまき散らしたりしない、というメリットがある。また電線では、ケーブルでつないだ機器の一方で生じた電気的ノイズがもう一方の機器に伝わってしまい、アナログ電気回路に悪影響を及ぼすことがある。

 しかし、光ファイバーでは物理的に電気を伝えないため、こうした問題は生じない。このような「電気的ノイズに強い」光ファイバーの特性がオーディオの録音・再生に適していたことから、現在のように多くのAV機器やPCにまでS/PDIFの光ファイバー方式が実装されるようになった。

2種類のデジタルオーディオ用光コネクタ

 デジタルオーディオ用光コネクタ(「光端子」とも呼ばれる)は、「光角型」と「光ミニ」の2種類が普及している。一般的に光角型は「光角形」、光ミニは「光丸形」「光円形」といった名称でも呼ばれている。

光角型プラグ
そのジャック 光角型プラグ(上)とそのジャック(下)
PCに実装されているのは、この光角型コネクタの方だ。S/PDIFでは入力と出力でそれぞれ別のケーブルを必要とするため、下写真のように入力と出力の両方とも可能な機器では出力用(上)と入力用(下)それぞれのコネクタが実装されている。

光ミニプラグ
ジャック 光ミニプラグ(上)とそのジャック(下)
こちらのコネクタは、ポータブルCDプレーヤーなど小型のAV機器でよく利用されている。下写真のジャックは、光ミニプラグだけではなくアナログのミニプラグも装着して利用できるよう設計されている。つまり専用ジャックを2つ実装せずに済むため、実装面積が限られる携帯機器に適しているわけだ。

 光ミニジャックがアナログのミニジャックとしても兼用できる点を除けば、光角型と光ミニに機能的な違いはない。そのため、変換アダプターや変換ケーブルを用いれば、両者は相互に接続可能だ。

ジャック側の取り扱い:傷やホコリ・汚れの付着を防ぐことが重要

 ジャック側の取り扱い上の注意としては、使わないときは保護カバーをかぶせておくことだ。

 光コネクタはその名が示すように、光を介して情報を伝達するため、コネクタ部分が傷ついたり、発光素子の部分にホコリや汚れが付着したりすると光をさえぎって通信の障害となるからだ。

 光コネクタを装備したPCやサウンドカード、AV機器は、出荷時にこの保護カバーを光コネクタに装着しているはずなので、光ケーブルを接続した後もなくさないで保存しておくべきだ。

光コネクタの保護カバー 光コネクタの保護カバー
光コネクタを装備した機器には、大抵この保護カバーが付属しているし、またオーディオ機器店でも販売されている。光コネクタを使わないときは、損傷や汚れ防止、防塵のためにこの保護カバーを装着しておこう。

 S/PDIFでは1本のケーブルが送信または受信のどちらか専用であることはすでに触れたが、送信用と受信用との間で、コネクタの形状はプラグもジャックも全く同じである。よって、送信用コネクタ同士あるいは受信用コネクタ同士をケーブルで接続する、というミスをしがちなので注意したい。

ケーブル側の取り扱い:ジャック側より繊細な注意が必要

 取り扱いに神経を使うのは、ジャック側よりむしろプラグ側、すなわち光ケーブルの方だ。光ケーブルの中には、光を伝達するための光ファイバーが通っているが、同程度の太さの電線に比べると物理的強度が低い。つまり、ケーブルとして比較的「もろい」のだ。

 デジタルオーディオに使われる光ケーブルには、プラスチックファイバーと石英ファイバーがある。ほとんどの製品には前者が使われており、後者は一部の高価な高性能品に限られているのが現状だ。特に物理的強度が低いのは後者の方で、ひねってしまうとファイバーが折れたり、折れないまでも内部に応力が加わることで屈折率が変化したりして使い物にならなくなる。

 また、ケーブルを巻くときも許容曲げ半径が規定されており、それ以上小さく曲げたり巻いたりすると、ファイバーにダメージを与え、光が通るときの損失が大きくなるなどして通信できなくなる。許容曲げ半径はケーブルの取扱説明書に記載されているが、石英ファイバーの場合、断面構造にもよるがおおよそ100〜550mmと大きいので注意したい。もちろん、ケーブルを踏んだり強い力で挟んだりするのも禁物だ。

 一方、プラスチックファイバーは石英ファイバーほど弱くはなく、許容曲げ半径は20〜50mmと石英ファイバーに比べれば小さい。それでも、やはりねじりには弱いし、電線のような剛性もないので、大きな力を加えないように注意が必要だ。光ファイバーそのものが傷ついていなくても、曲げたりひねったりしてケーブルが変形すると、光が伝わっていくときの損失が大きくなって通信エラーが生じたりすることは覚えておきたい。

 ケーブル両端のコネクタ部分に出ているファイバーの先端部分をきれいに保つことも、光伝送時の損失を抑えるという点で重要なことだ。光ケーブルを購入するときには、使わないときにファイバー先端部を保護するためのキャップが付いている製品の方がよい。

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