連載
» 2001年12月11日 00時00分 公開

実用qmailサーバ運用・管理術(4):メーリングリストの構築と運用(前編) (2/4)

[鶴長鎮一,@IT]

小規模MLの構築:.qmailによる拡張アドレスの利用

 MLサーバを構築するには、

などのツールを利用するのが一般的ですが、qmailにはもともとMLを見据えた実装が施されています。さらに、スーパーユーザーだけでなく一般ユーザーでも開設できます。まずは、qmailだけでMLを構築する方法を見ていきましょう。

スーパーユーザーによるMLの作成

 最初に、スーパーユーザーでMLを開設してみます。ここでは、次のような規模を想定しています。

目的: 社内の連絡用(登録は管理者任せ)
参加人数: 50人以下
参加者の変動具合: 雇用計画に応じて登録・削除(年に数回)
配信頻度: 20通以下/日

 これらの条件はこれから紹介する構築方法での限界というわけではなく、小規模とくくられる一般的なMLの一例として想定したものです。

 ここで紹介する方法では、前回のSPAMメール徹底対策の「エイリアスの見直し」で少し触れた/var/qmail/alias/下のエイリアスファイルを活用します。

# cd /var/qmail/alias/
# ls -a
./                     .qmail-default         .qmail-root
../                    .qmail-mailer-daemon
.qmail                 .qmail-postmaster

 自ドメインが「example.jp」なら.qmail-postmasterはpostmaster@example.jpあて、.qmail-rootはroot@example.jpあての受取先を指定し、ほかのファイルも同様に.qmail-○○なら○○@example.jpに対する受取先を指定しています。

 それぞれのファイルには、実際にメールを受け取るユーザーのアドレスを「&」に続けて記入します。例えば、test@example.jpというアドレスを用意して、実際の送信先をuser1@example.jpとしたい場合は、「.qmail-test」ファイルを作成して次のように記述します。

# vi .qmail-test
&user1

 これで、test@example.jpあてのメールはuser1@example.jpに送信されます。 ここまでが前回紹介した内容でしたが、実は転送先は複数記述することができます。「&」+「転送先アドレス」という行を、転送先アドレスの分だけ列挙します。

# vi .qmail-test
&user1
&user2
&user3@example.jp
.....

 これだけでMLは完成です。上記の例の場合、test@examle.jpあてに出されたメールは.qmail-testに記述された全アドレスに配信されるというわけです。

一般ユーザーによるMLの作成

 簡単なMLを構築しましたが、これだけではsendmailのエイリアス機能と同じで、とりわけqmail特有ということはありません。強いていえば、.qmailファイルの編集後に「newaliases」のようなコマンドを実行する必要がないという点でqmailに一日の長があります。しかし、qmailがMLに向いているといわれる大きな要因は、スーパーユーザーだけでなく一般ユーザーでもMLを開設できるという点です。これから紹介する方法なら、一般ユーザーでも手軽にMLの運用管理ができます。

 一般ユーザー(以降user1とします)のホームディレクトリに.qmailファイルを用意します。ユーザーホームディレクトリ下の.qmailファイルについてもSPAMメール徹底対策の「iftoccを利用したフィルタリング」で触れていますが、ここでは単純な.qmailファイルではなく、「拡張アドレス」と呼ばれる機能を実現できるようにファイルを作成します。

 拡張アドレスは、ユーザーに対してメールアドレスの汎用性を高めます。一般に、メールアドレスの作成はメールサーバにユーザーを作る作業であり、メールアドレスを複数持つにはサーバに複数のアカウントを登録する必要があります。ML用にアドレスが1つ欲しいとか、仕事とプライベートなメールアドレスを分けたいという個人の要望に、スーパーユーザーはいちいち対応できません。このような要望に、qmailは拡張アドレスという解を用意しています。

 user1@example.jpというアドレスを持つユーザーが、qmailで運用されているサーバではuser1-○○@example.jpという拡張アドレスを使用することが「一般ユーザーの作業でも」可能です。ここでは、メールアドレスuser1@example.jpを持っているユーザーが新しくuser1-work@example.jpをビジネスメール用に用意したいとします。user1は自身のホームディレクトリの直下に「.qmail-work」ファイルを用意し、次のような内容で保存します。

$ vi .qmail-work
./Maildir/

 これで、user1-work@example.jpあてのメールをuser1@example.jpのメールボックスで受け取ることができます。このように、user1-○○@example.jpに対してuser1のホームディレクトリに.qmail-○○ファイルを用意し、あて先などの指定を行います。個人で持っている別のメールアドレスに転送する場合は次のようになります。

$ vi .qmail-work
&転送先メールアドレス

 SPAMなどの対策を施したい場合も、.qmailと同様に記述します。

 この.qmail-○○ファイルに複数のアドレスを記述することで、一般ユーザーでもMLを立ち上げることができるようになります。

$ vi .qmail-ML
&送信アドレス1
&送信アドレス2
&送信アドレス3
...

 見てのとおり、記述方法はスーパーユーザーの場合と同じです。

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