連載
» 2004年05月26日 00時00分 公開

にわか管理者奮闘記(6):ネットワークの私的利用をやめさせよう (1/2)

[根津研介, 園田道夫, 宮本久仁男,@IT]

前回までの中村君

  • 無許可無線LANの締め出し
  • 夜間の怪しい通信に関する調査
  • 再びメールが使えない(ワームの発生)

 そもそも中村君の最初の課題は「むちゃくちゃなネットワークの整理」だった。しかも、その根っことなるファイアウォールでさえ、どこにあるのかすら分かっていなかったのだ。次々と起きるトラブルに対応しているうちに時間ばかりが過ぎてしまった。ようやく手を付けられるようになったのだが、本当にちゃんとカタを付けられるのだろうか?

援軍現る

 中村君はどちらかといえばドキュメントをまとめるのが苦手だ。しかし、むちゃくちゃなものを整理していくには、ドキュメントの作成が欠かせない。メモや走り書きをかき集めて会議室にこもり、溜息をつきながら手を付けようとする中村君だったが、思いもかけないところから強力な援軍が現れた。

中村君 「あーあ、仕方がないなあ。やるかードキュメント作成」

平山さん 「中村君、またちょっと教えてほしいんだけど……」

中村君 「何ですか?」

 平山さんの目に中村君が作りかけているドキュメントが映った。

平山さん 「このドキュメント見にくいわねー。もうちょっと見やすくならないの?」

中村君 「ドキュメント作るのあんまり得意じゃなくて……」

平山さん 「私、こういうのまとめるの得意だから、手伝うわ」

 またしても平山さんが天使に見えた瞬間だった。しかし、中村君が説明し始めると、その天使は途端にイライラし始めてしまう。

平山さん 「もっと分かるように説明してくれない? 専門用語いきなりいわれても私分かんないし、だいたいどういうドキュメントが必要なのか、それもよく分からないっていうか」

 平山さんがいら立つのは、用語の分かりにくさ以上に、実際のところどういうドキュメントを作ればいいのかイメージできないからだ。実は中村君も、どういうドキュメントを作ればいいのかはっきり分かっているわけではなかった。そういう状態で手伝ってもらうこと自体無理がある。中村君はせっかくの強力な援軍を生かせない自分が情けなくなってしまった。

ドキュメント体系、ドキュメントの作り方

 さて、どういうドキュメントが必要なのだろうか? まずは「これまでに調べたりして分かっていること」と「必要だと思われるのに分かっていないこと」を整理する必要がありそうだ。「整理するときはとにかく列挙してみる。レベルをそろえようとしなくてもよい。ただ並べてみるだけで何となく見えてくるものだ」と、勉強会語録にもあった。まったくあの勉強会は宝の山だ。

済んでいること

  • コンピュータのアドレス体系と構成の調査
  • コンピュータの「最低限」のセキュリティ対策の実施
  • セキュリティポリシー策定と運用

済んでいないこと

  • 調査結果の「正式な」ドキュメント化(さすがに手書きのメモでは管理も不安だし、ほかに作業を引き継ぐにも難がある。「これまでに収集された情報の整理」というのもこの中に入る)
  • インターネット利用ポリシーの策定(セキュリティポリシーは決めたが、インターネット利用におけるルールは作っていない)
  • ネットワーク管理作業やトラブル発生時の対応ドキュメント作成(これまでやってきたことを手順化すればいいはず)

 とにかく並べてみると、案の定いろいろ見えてきたので並べ替えてみる。するとそれだけでもう立派なタスクリストに見えてくるから不思議だった。

平山さん 「なるほど。まだこれだけ仕事があるってことね。この中でどれだけドキュメントが出来ているの?」

中村君 「それが、さっきお見せしたのが全部で、ほとんど出来てないんですよ……」

平山さん 「ほとんど出来てないって、あきれた。あんたほんとに仕事してたの?」

中村君 「す、すいません……」

平山さん 「まあ、あれだけいろいろ騒ぎがあったんだから、仕方ないんだけどさー」

 口は悪いがけっこう優しい平山さんだった。それどころか、それこそ腕まくりしそうな勢いでやる気満々だ。こうして、大量のメモや走り書きを片っ端から片付けていくことになった。

残された課題

 平山さんはとにかく強力な援軍だった。中村君は、平山さんに分かるように必死に平易ないい方を探って説明する。すると平山さんはそれを見事な腕前でがんがんドキュメントにしていってくれるのだ。そのうちお互いにコツをつかみだすと、ドキュメント作成作業は驚異的にはかどった。

平山さん 「利用ポリシーだけど、人事で作った社員規則改定案があるから、これと突き合わせて作れば作りやすいよ」

中村君 「そうですね。どちらも同じルールですからね」

平山さん 「調査結果をまとめるなら、図がたくさんあった方がよさそうねえ。文章だけじゃ用語が分かっても何について説明しているのか分からないし」

 平山さんはがんがんアイデアを出してくれる。中村君はそのアイデアに反応しながらばんばんネタを作っていく。平山さんも機関銃のような速度でキーボードをたたき、ドキュメントはどんどん出来ていった。

平山さん 「このワームっていうのが出たときって、結局あんた1人で全部チェックしたわけ?」

中村君 「そうです」

平山さん 「そんなの各自にやらせりゃいいのに。メモに書いてあるとおりの手順で自分のコンピュータをチェックすればいいだけでしょ?」

中村君 「確かにそうなんですが、でも……」

平山さん 「でも、じゃなくってさあ。コンピュータの画面の絵とか入れてとにかく配っちゃえばいいじゃない。あとはページ数を指定してやらせるだけよ。どうせ手順とかは一緒なんでしょ?」

中村君 「場合によって違うところもあるんですが……」

平山さん 「配るときは違うところだけ印刷して配って回ればいいじゃない。そういうのを配る連絡網を作っておけば早いわよ」

中村君 「あ、そうですねえ」

平山さん 「しっかりしなさいよ。あんたしか居ないんだから、責任者って」

 いつの間にか話題は、おかしな通信の話になった。

平山さん 「おかしな通信って具体的にどういうものなの?」

中村君 「ファイル交換っていうヤツとか、私的利用っていわれてるヤツですね」

平山さん 「ファイル交換?」

中村君 「もともとは大きなファイルをみんなで共有しようという仕組みなんですが、その仕組みを使って映画とかソフトウェアとかの違法コピーをしまくっているんですよ」

平山さん 「会社でそんなことやってる馬鹿が居るの?! そんなのとっとと取り締まらないとダメじゃないの!」

 曲がったことが超大嫌いな平山さんは「違法コピー」と聞くと猛烈に怒り始めた。中村君はぐうの音も出ない。

平山さん 「だれが通信してるのか分かってるの?」

中村君 「あ、はい、それは記録を取れば分かりますけど……」

平山さん 「じゃあその記録をさっさと取りなさいよ。それをまとめて貼り出せばいいだけじゃないの。チェックされてることが分かると、それだけでそんな通信なんてなくなるわよ」

中村君 「そういうもんでしょうか……」

平山さん 「ルール違反なんてそんなもんよ」

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