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» 2005年04月27日 00時00分 公開

転職失敗・成功の分かれ道(6):エンジニアのキャリアチェンジは可能か

毎日、人材紹介会社のコンサルタントは転職希望者と会う。さまざまな出会い、業務の中でこそ、見えてくる転職の成功例や失敗例。時には転職を押しとどめることもあるだろう。そんな人材コンサルタントが語る、転職の失敗・成功の分かれ道。

[長谷川美希,毎日コミュニケーションズ]

エンジニアもキャリアチェンジができる?

 エンジニアの皆さんにとって、成功といえる転職とはどのようなものでしょうか。

 2次請けのプログラマから元請けのシステムインテグレータ(SIer)のプロジェクトリーダーへの転職でしょうか。それとも、SIerのプロジェクトリーダーから企業の情報システム部のマネージャなど、SIerからユーザーサイドへの転職でしょうか。

 このようにエンジニアとしてキャリアを構築していくのならば、エンジニアとしてのスキルを最大限に生かした転職をすることになります。しかし、それだけがその人にとって良い転職であるとは限りません。

 エンジニアという職業は専門職とされ、エンジニアはエンジニアとしてキャリアアップをしていった方がよいのでは、と考えられがちです。しかしエンジニアの中には、自身のキャリアについて棚卸しをし、もっと自分に合った仕事を探してキャリアチェンジをしたいという方も数多くいます。

 今回は、エンジニアからのキャリアチェンジは実際に可能なのか、という不安を持っている方々のために、その実例をご紹介したいと思います。

どの職種にも必須なスキル

 エンジニアとして活躍している方とお話をしていて感じるのは、技術的なスキルだけではなく、ほかの職種にも必要不可欠な能力が備わっているということです。

 代表的な2つの能力を挙げてみましょう。

(1)コミュニケーション能力

 企業が、どの職種にも共通の必須条件として挙げる能力がコミュニケーション能力です。エンジニアはシステムを作り上げるため、日々顧客やベンダとコミュニケーションを取っていると思います。特に多いのが見積もりや仕様の話などの折衝事ではないでしょうか。

 システムに落とし込むために相手の要望をくみ取る能力は、営業などに必要な交渉スキルにも通じるところがあると考えられます。

(2)論理的思考能力

 論理的な思考は、エンジニアの特徴の1つだと思います。

 顧客のニーズを設計に落とし込み、システム化する際、おのずとロジカルな考え方が身に付きます。論理的思考能力はさまざまなビジネスの局面で重要とされ、エンジニア以外の仕事にも必須だと考えられます。

キャリアチェンジの実例

 それでは、弊社のキャリアバンクを通じてエンジニアからキャリアチェンジした方の実例をご紹介しましょう。

実例1 社内エンジニアからベンチャー企業の営業に

 あるSIerで社内システムの標準化対応業務を行っていたAさん。弊社を訪ねてきた目的は、自分にキャリアチェンジが可能なのか、将来は起業することを目的としているので自分にそのための何が足りないのか、を確認することでした。私はキャリアカウンセリングでいう「自己の再評価」のフェイズから真剣に相談に乗りました。

 話をするうちにAさんは、将来の起業のために自分に最も必要なのは「営業力」だということに気付きました。その結果営業へのキャリアチェンジを決意したのです。

 Aさんの「自己の再評価」ができ、キャリアチェンジが決まった後は、営業未経験という状態で営業の仕事を紹介しました。未経験での転職は難しいと思いましたが、Aさんの熱意と度胸に賭け、企業に彼の優れたコミュニケーション能力、論理的思考能力を強くアピールしました。

 その結果、Aさんが強く志望した企業の内定を勝ち取り、見事に入社することができました。

実例2 エンジニアから人材紹介会社のキャリアコンサルタントに

 Bさんは大手SIerのエンジニア。特に顧客のニーズをくみ取ることにやりがいを感じていました。しかし、自分はプログラミングに向いていないのではという思いがあり、そのような気持ちのまま仕事をすることが自分の将来にとって良いことなのかと悩み、弊社を訪ねてきました。

 そこでBさんに提案したのが「人材紹介会社のキャリアコンサルタント職」だったのです。もちろんBさんにとってまったく未経験な職種です。

 初めはBさんも無理だと感じていたようです。しかし、エンジニアの転職支援をするキャリアコンサルタント職は、自分のいままでの知識を十分に生かし、かつ顧客のニーズをくみ取ることのできる仕事だと考え、キャリアチェンジを決めました。結果として、応募したすべての企業から内定を得ることができたのです。

「思い」が障壁を崩す

 このように、エンジニアの中にも、営業職やキャリアコンサルタント職などまったくの未経験職種にキャリアチェンジをしている方がいるのです。

 キャリアチェンジに当たっては、本人の覚悟と度胸がポイントになります。また、その職種への「思い」が未経験という壁を崩してくれます。

 皆さんにも、エンジニア以外にいろいろな可能性があると思います。ご自身の可能性を広げるためにも、ぜひ一度弊社にお越しいただき、何かを持ち帰っていただければと思います。

著者紹介

毎日コミュニケーションズ

長谷川美希

東北大学工学部卒業後、大手シンクタンクに入社。システムエンジニア、人事部採用担当、ソリューション営業と多岐にわたる業務を経験。その後、毎日コミュニケーションズに転職し、エンジニアを中心としたコンサルティングに従事。求人企業担当とキャリアコンサルタントの両方を務め、市場動向と求職者のビジョンを融合させたキャリアコンサルティングを得意とするという。現在、@ITジョブエージェントのパートナーとしても活躍中。



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