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» 2005年10月05日 00時00分 公開

転職失敗・成功の分かれ道(11):新天地で活躍するには環境づくりが大切

毎日、人材紹介会社のコンサルタントは転職希望者と会う。さまざまな出会い、業務の中でこそ、見えてくる転職の成功例や失敗例。時には転職を押しとどめることもあるだろう。そんな人材コンサルタントが語る、転職の失敗・成功の分かれ道。

[加藤千尋,リーディング・エッジ社]

転職先や新しい派遣先でまず気を付けるべきこと

 転職した場合や派遣先が変われば、新しい職場で仕事をすることになります。その場合、誰でも期待と不安の両方を持つものだと思います。そこで今回は、新しい職場になじめるように、いくつかの注意点をお話ししたいと思います。

 新たな職場で仕事をスタートする場合、かなり経験を積んだベテランであっても、まずは気持ちをゼロに戻すことが必要です。当然のことですが、これはいままでの仕事におけるスキルをゼロにしろということではありません。

 社風、組織、人間関係などは、会社によって異なるものです。これはよくいわれることですが、以前の職場と新しい職場を良くも悪くも比べることなく、自分から歩み寄る気持ちが大切なのです。以前の会社と違うのは当たり前です。最初は疑問に思っても、その企業風土になじむ姿勢を見せることによって、受け入れ側も安心するものです。

基本が大事――「報告・連絡・相談」

 最初に就職したときにいわれたことがあると思いますが、「報告・連絡・相談」(いわゆるほう・れん・そう)はとても大切です。

 上司をはじめ周りの方たちは、これを待っています。報告・連絡・相談ができないために、必要以上に我慢や不満をためてしまっている人を多く見てきました。

 例えば、こんなケースがありました。入ったばかりのプロジェクトだったこともあり、断りにくかったのでしょうか、頼まれた仕事をすべて引き受けてしまったエンジニアがいました。

 当然仕事には期限があり、直前まで誰にも相談しなかったために、本人は連日残業したにもかかわらず、結局は期日に遅れ、大きな迷惑をかけてしまいました。

 別のエンジニアは、プロジェクトメンバー同士の理解が足りないままプロジェクトに参加することになりました。そしてかなり難しいシステム実装を任せられました。結局その実装はトラブル続きで、納期までに間に合いませんでした。本人は「誰も助けてくれない」「自分ばかりが忙しい」という不満ばかりがたまり、最終的にはエンジニアとしての自信をなくしてしまいました。

 もし明確な指示がなくても、問題かなと思うたびに「報告・連絡・相談」をしていれば、疑問や不満をため過ぎずに済んだのではないでしょうか。会話は相手を理解し、自分を理解してもらう最も良い手段です。そしてそれは、自分が仕事をしやすい環境をつくることにつながります。

期待される即戦力だからこそ学ぶ姿勢を大切に

 すべての人間関係において、自分に合う人、合わない人がいます。人の悪いところを探すことは簡単です。職場においては、合う人とも合わない人とも最低限のコミュニケーションを取る必要があります。特別仲良しになる必要はありませんが、合わせる努力をしなければいけないということは、忘れてはいけないと思います。

 派遣はもちろん、転職の場合でも経験者採用の場合、企業が期待しているのは即戦力です。

 「分からないことは教えます」と、どの企業もいうものですが、会社は「お金を払って」教えてもらう学校とは違います。「お金をもらって」経験させてもらうのです。分からないことを聞いてはいけないということはなく、自ら「学ぶ」気持ちを持つことが重要です。

 教えてくれて当たり前ではなく、教えてもらえてラッキーくらいの気持ちがちょうどよいのかもしれません。そして、相手の時間をもらっているという気持ちを忘れなければ、同じ質問を繰り返すこともなくなると思います。

 新たな職場に入ってすぐに、やりたい仕事をやらせてもらえたり、自分に合った仕事ができると思っている人がいますが、会社は組織で動いており、時には望まない仕事や向かないと思っている仕事を任せられることもあります。

まずは受け入れてもらう。それからでも遅くない

 望んでいない仕事に就いてしまった場合、それまでその会社に高い期待感を持っていればいるほど、短期間にでその期待感が否定されたように思う方が意外と多いように感じます。縁あって入った会社であり、就いた仕事です。極端なことを除いては、チャレンジし、せめてそのプロジェクトの最後までは責任を持って、対応することをお勧めします。

 まずは受け入れる。その中で実績を出すことにより、次にはチャンスをもらえるかもしれません。ギブ・アンド・テイクです。相手にメリットを与えてから自分の希望をいったり、不満を解消しても遅くはありません。実績を出すということが、自分を認めてもらえる一番の近道ではないでしょうか。

 普段の人間関係でも、第一印象ではあまり良くなかったと感じることは時々あります。ところが、何度も会ったり話をするうちに、相手の新たな一面を発見したり、実はとても気が合ってしまうこともあります。自分には向かないと思ったり、嫌だと思っていた仕事でも、食わず嫌いになるのではなく、一度は徹底的に向き合うことにより、頭の中で考えていたときとは何か違うものが生まれると思いますし、たとえ、やはり向かない仕事だったとしても、はっきりとした答えを得ることは次の目標につながると思います。

長期的な視点で物事を見よう

 大抵の方は、ほんの短期間仕事に就くということではなく、中・長期的に仕事をされることと思います。無駄な時間を過ごすことはお勧めしませんが、あまり簡単に答えを出してしまうのも残念なことです。良い意味でのアバウトさを持つことが意外と大切ではないでしょうか。

何かの本に書いてありましたが、相手の人には期待するのではなく、信用することだとありました。企業に対しても、同じことがいえるような気がします。自分の選んだ仕事や企業ですから、自分の目や力を信じ、新しい職場への不安を少しずつでも取り除き、新たな自分の居場所をつくっていただきたいと思います。

著者紹介

リーディング・エッジ社 加藤千尋

神奈川県横浜市出身。大学卒業後、IT系の教育専門会社に入社し、インストラクターとして勤務。その後、派遣業界に転職し、採用活動・営業活動および稼働後のアフターフォローまでの一連の業務に従事する。2000年10月にリーディング・エッジ社に参画。



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