連載
» 2006年05月11日 00時00分 公開

Windows Server 2003 R2レビュー:第3回 強化された分散ファイル・システムDFS (1/5)

R2のDFS機能では複製機能が強化され、ファイルの確実な複製や通信量の削減、トラフィックのきめ細かな制御などが可能になった。

[打越浩幸,デジタルアドバンテージ]
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 Windows Server 2003 R2では、以前からある分散ファイル・システム(Distributed File System:以下DFS)の機能が強化された。DFSは、1つの仮想的な共有フォルダのツリーを用意し、その下にさまざまな場所に設置しているサーバなどを統合して、1つのサーバであるかのように見せるための技術である。Active Directoryネットワークを構築していれば、1つのドメイン・ベースの1つの共有フォルダ名を使うだけで(例:\\example.co.jp\Shareroot)、その下に複数のサーバを統合できる。ユーザーはどのサーバが物理的にどこに設置されているかを意識することなく、単一のUNCを使うだけで必要なサーバにアクセスすることができる。

 またファイル複製サービス(File Replication Service:FRS)を利用することにより、DFSのリンク先のサーバの内容を複製することも可能であった。この機能を利用すれば、物理的に離れた場所にあるサーバの内容の同期(複製)や、障害対策としても利用することができた。だが、複製のためのリンク(通信方法)の設定や複製スケジュールの制御などの自由度がほとんどないし(いつ複製されるかが正確に制御できない)、複数のサーバ間で更新が競合したときの扱いや障害時のリカバリなどにも問題が少なくなかった(過負荷時や巨大なファイルなどの場合には複製処理が著しく滞ったり、無視されたりすることがある)。FRSは、Active Directoryのデータベースやログオン・スクリプトの配布など、どちらかというとひんぱんに更新されない、数もそう多くないデータの複製などに向いたサービスである。

 これに比べるとWindows Server 2003 R2のDFSでは、FRSの後継として、ファイル・サーバの内容をDFSのサービスとして複製(レプリケート)する機能が追加/強化されている。DFSサーバ間で、複製のためのリンク・トポロジを柔軟に設定/管理できるし、複製のスケジュール(複製の時間帯)やネットワーク帯域(複製のために占有するネットワークの最大帯域)も細かく設定することができる。また、複製方法も改良され、ファイル全体をコピーするのではなく、変更があった部分の差分データだけを送信して帯域を節約するし、ファイル更新の競合時の動作も細かく制御され、最後にファイルに書き込んだデータが常に最優先されるようになっている。

 このような機能の向上と複製効率の改善により、WAN回線経由のような、離れた場所に置かれているサーバとの同期処理の効率が向上している。これにより、Windows Server 2003 R2のDFSでは、例えば本社に置いたファイル・サーバの内容をWAN回線を経由して全国の支社のサーバと同期するとか、逆に、支社に置いたサーバのデータを本社側のサーバへ複製させ、そこでバックアップを取る、といった用途にも向くとしている。リモート・オフィス側での管理者の負担を減少させる機能として活用できるであろう。

 Windows Server 2003 R2における、DFS関連の主な改良点をまとめると次のようになる。

項目 内容
ターゲットの優先順位 クライアントが名前空間にアクセスした場合に、どのターゲットを優先するかを設定できる
クライアントのフェイルバック DFSサーバが障害を起こしてその後復旧した場合、フェイルバックして元の(優先度の高い)ターゲットへ自動的に接続回復する機能
委任機能 名前空間内のフォルダやターゲットの管理を委任する機能
名前空間の再構築 名前空間内のフォルダの名前変更や移動が可能
マルチマスタ複製 あるメンバ・サーバ上で生じた変更は、ほかのサーバへ確実に複製される
ファイルの確実な複製 ファイルの複製は、ファイルが閉じられてから実行される(オープン中のファイルは複製されない)
部分的な複製 ファイルの複製はファイル単位ではなく、ブロック単位で行われるので複製トラフィックが抑制される
ファイル競合の解消 複数のターゲット・サーバ上で同時に変更された場合は、内容の競合なら最後の更新データが優先され、名前の競合なら最初の更新が優先される
ステージング・フォルダ 削除されたファイルや競合で不採用になった更新、更新待ちのデータなどはステージング・フォルダに一時的に保存され、処理される
障害からの自動回復 障害からの回復後、自動的に回復処理(再試行)が行われる
Windows Server 2003 R2におけるDFS関連の新機能

 今回は、DFS機能のうち、DFSレプリケーション(DFS複製)機能について見ていく。

変更されたDFS用語

 DFSレプリケーションの機能解説の前に、Windows Server 2003 R2のDFSに関する用語について確認しておこう。DFSの機能向上に伴い、従来のDFSと、Windows Server 2003 R2のDFSではいくつか関連する用語が変更されている。機能を整理し、より分かりやすくするために変更されたようである。以下にその用語を挙げておく。

以前のDFS用語 新しいDFS用語 内容
リンク フォルダ 「\\サーバ名\\ルート名」もしくは「\\ドメイン名\ルート名」に続く、フォルダの名前。DFSでアクセスする先のフォルダのこと
リンク・ターゲット フォルダ・ターゲット DFSでアクセスする先のフォルダの場所を表す、共有フォルダ名もしくはUNCパス
(未定義) 名前空間のルート
(ルート名)
名前空間の最上位のフォルダのこと。「\\サーバ名\\ルート名」もしくは「\\ドメイン名\ルート名」における「ルート名」のこと
ルート 名前空間 「\\サーバ名\\ルート名」もしくは「\\ドメイン名\ルート名」で始まる仮想的なフォルダのツリー
ルート・サーバ 名前空間サーバ 名前空間をホストするサーバのこと
変更されたDFS名前空間関連の用語

 DFSの構成を図にすると次のようになる。

Windows Server 2003 R2のDFS
Windows Server 2003 R2のDFSでは用語が整理され、簡素化された。DFSによって作られた共有フォルダのツリー構造を名前空間といい、この下にターゲットを持つフォルダとそうでないフォルダが配置される。ターゲットを持つフォルダは、実際にはほかのサーバの共有リソースへのリンクとなっており、クライアントがこれをアクセスすると、実際にはターゲットのサーバへのアクセスに切り替えられる。


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