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» 2006年11月09日 00時00分 公開

転職失敗・成功の分かれ道(24):転職できる企業情報の集め方

毎日、人材紹介会社のコンサルタントは転職希望者と会う。さまざまな出会い、業務の中でこそ、見えてくる転職の成功例や失敗例。時には転職を押しとどめることもあるだろう。そんな人材コンサルタントが語る、転職の失敗・成功の分かれ道。

[細梅宣慶,マンパワー・ジャパン]

 転職に当たって、本当にその企業を選んでよいのかどうかを見極めるため、応募する企業情報をいかに収集するかについてお話しさせていただきたいと思います。

情報収集は早めに行う

 転職希望者と話をさせていただくと、「気になる求人はあるのですが、いまひとつ企業の内容や社風が分からないので、応募にちゅうちょしています」という言葉をよく耳にします。

 求人票という限られたスペース、情報だけでは、このように思うことは多いものと思います。しかしその企業が、ひょっとすると自分にとっての「理想の1社」かもしれません。

 人材紹介会社のキャリアコンサルタントは、求人票には掲載されていないような情報、例えば実際に企業を訪れた際の印象や、人事担当者が語っていた企業風土、転職した人の感想などを、転職希望者にお伝えするようにしています。

 このように、キャリアコンサルタントはさまざまな企業の情報をお伝えするように努めているのです。とはいえ、ちゅうちょして応募のチャンスを逃す人が多くいるのは事実です。

 そうならないためにはどうしたらいいのでしょうか。それは当たり前のことですが、少しでも気になる求人を見つけたら、それ以上の情報を集めるよう努力することです。それも迅速に進めることが重要で、求人はいつまであるかは分かりません。いかに早く、効率的に情報収集を行うかがポイントとなってくるのです。

 「良さそう」、あるいは「悪くはない」と思ったら、取りあえず応募に進むというのも1つのやり方だと思います。モタモタしているとその求人が締め切られてしまうこともあるからです。

情報収集の目的を間違えないように

 企業の情報収集を、「面接のときに困ってしまうから」など、面接対策のために行うものだという転職希望者がいらっしゃいます。確かに面接時には志望理由や自己PR、企業をどれだけ勉強してきたかなどが問われます。ですからその企業の基本的なデータを頭に入れておくことは、面接を受ける者として最低限のマナーであるし、情報収集しないと面接には通りにくいのも確かでしょう。

 しかし情報収集の本当の目的は、自分がこの企業を選んで本当によいのかどうかを見極めるための作業です。「この会社では、自分のやりたいことができるのか」「いままでの経験を生かせるのか」「会社内の雰囲気が自分に合っているのか」などの観点から、より具体的にその会社について調べることが必要です。

企業情報はどこにある?

 では、企業情報はどのように集めればよいのでしょうか。

(1)人材紹介会社からの情報

 人材紹介会社は求人企業を訪問し、求人内容をヒアリングしています。その際、求人内容、会社の特徴、売上推移、人員構成、給与水準、待遇などあらゆる情報を収集しているのです。求人票で気になる企業があったら、すぐにキャリアコンサルタントに疑問点、知りたい情報を確認しましょう。求人内容をそのまま鵜呑(うの)みにする、また受け身の姿勢ではなく、積極的に人材紹介会社を利用しようという意識が重要です。

 求人票を転職希望者に渡すと、人材紹介会社の役割は終わったといって、徐々にフェードアウトしてしまうところもあるのは事実でしょう。実際、「御社はそうではないですよね?」と聞いてくる転職希望者がいます。一般にはそんなことはないでしょうし、多くのキャリアコンサルタントは全力で転職希望者のサポートをしているはずです。

 キャリアコンサルタントが全力でサポートし、人材紹介会社も積極的に転職希望者にかかわってくれるというのは、転職希望者が人材紹介会社に頼りきってしまっている証しかもしれません。

(2)インターネット上の情報

 求人企業のWebサイトをチェックしてください。採用関連のWebページでは、企業によっては実際に入社した社員の声を聞くことができることもあります(もちろん、音声ではなく、文字情報でしょうけど)。Webサイトは企業の顔ともいえるので、今後の事業展開や、力を入れていること、企業の売り上げや業績推移なども確認することができるはずです。企業のWebサイトの充実振りで企業の実情が見えてくることもあります。

 さらに検索エンジンを使って企業名や商品名などで情報を検索してみてください。多くの検索結果が表示されるはずです。そのほか、さまざまな掲示板サイトなどでその企業の評価やイメージなどが書き込まれているはずです。ただし、これらの情報は、参考程度に見ておくのがいいでしょう。

(3)新聞記事、雑誌の情報

 企業関連記事が豊富にある新聞を読むことをお勧めします。また、最近では新聞社のWebサイトで記事検索ができる場合も多いので、企業に関連する新聞記事や雑誌記事をチェックすることもお勧めします。

(4)会社案内、社内報の情報

 パンフレットや製品紹介のカタログ、新卒者向けの「入社案内」などを用意している企業は多くあります。電話して送ってもらうか、企業の受付近くにパンフレットや入社案内が用意されている場合があるので、取りに行くなど積極的に情報収集に努めてください。企業も転職の情報収集のために訪れるような人に冷たい態度を取ることはまずないからです。

(5)『会社四季報』や『日経会社情報』

 日本国内で株式を公開している企業の情報を掲載しています。企業の特徴、従業員数(平均年齢、平均年収、残業手当情報なども)、財務状況、株価指数、採用枠、業績の推移など、企業の成績表ともいえる情報が事細かく記載されています。

(6)人と会う

 それでも企業情報がなかなか手に入らない場合があれば、その業界で働く知人などを頼ってみましょう。また、取引先や協力会社などで働く人からも有益な情報を得られる場合があります。その企業の内情を知りたい場合は、直接人と会うのが一番の方法です。ある方は希望企業の前に立ち、そこから出てくる従業員を待ち構えて、会社の話を聞かせてくださいと直接お願いをしたそうです。そこまでやれとはいいませんが、それぐらいの意気込みで情報を集めるという姿勢が必要なのです。

面接時も利用する

 転職は一般的にはなってきましたが、それでも人生の大イベントであることに変わりはありません。まさに人生のターニングポイントです。だからこそ、妥協しないで情報収集に努める必要があるのです。

 といって、やみくもに時間をかけても意味はありません。効率良く情報を集めることが転職成功の第一歩です。例えば、面接時に企業内を案内してもらうのも効率の良い情報収集の1つの方法です。社内の雰囲気などもそれで分かることもあります。

 面接時は、会社情報を得る絶好の機会だと思ってください。情報の数だけ、転職の成功に近づくといっても過言ではないのですから。

著者紹介

マンパワー・ジャパン 細梅宣慶

大学卒業後、大手電気メーカーに入社。基幹系からオープン系、ネットワーク系までSEとして幅広く経験。主に官公庁を担当し、大規模システムに従事。その後、IT業界の経験を生かしマンパワーへ転職。ITエンジニアの心理を突いた「最も効果的なキャリア方法と志向性」についてコンサルティングを行っているという。



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