連載
» 2007年12月25日 00時00分 公開

メンバーに贈るプロマネ基礎講座(2):プロセスに着目し、統合マネジメントをイメージする (1/3)

本連載は、これからプロジェクトマネージャへの転身を考えている方、現在PMBOKベースでマネジメントされているプロジェクトに参加しているメンバーの方などを対象にしています。『プロジェクトマネジメント知識体系ガイド第3版(日本語版)』(以下、PMBOKガイド)の解説を行いながら、プロジェクトマネジメントの基本を解説していきます。なお、各小見出しの横には、対応するPMBOKガイドの章を記載していますので、PMBOKガイドを学習する際の参考にご利用ください。記事の最後には演習問題を用意しました。復習にご利用ください。

[田中亮,グローバル ナレッジ ネットワーク]

 今回からいよいよ44個のプロジェクトマネジメント・プロセスの説明に入ります。その1回目は、プロジェクト統合マネジメントの知識エリアです。連載第1回の記事「PMBOKガイドを開いてみよう」で述べましたように、プロセスには、インプット、ツールと技法、アウトプットが定義されているのですが、この連載では、細かい定義はさておき、個々のプロセスにどのような役割があるのかを中心に解説をしていきたいと思います。

プロジェクト統合マネジメント、学習のポイント

 PMBOKは、9つの知識エリアで構成されています(表1)。

PMBOK9つの知識エリア
1.プロジェクト統合マネジメント
2.プロジェクト・スコープ・マネジメント
3.プロジェクト・タイム・マネジメント
4.プロジェクト・コスト・マネジメント
5.プロジェクト品質マネジメント
6.プロジェクト人的資源マネジメント
7.プロジェクト・コミュニケーション・マネジメント
8.プロジェクト・リスク・マネジメント
9.プロジェクト調達マネジメント
表1 PMBOK 9つの知識エリア

 今回の「プロジェクト統合マネジメント」の知識エリアは、ほかの知識エリアに比べ、ちょっと特殊です。

 プロジェクト統合マネジメントを除く8つの知識エリアは、プロジェクトの異なる8つの領域をそれぞれマネジメントするプロセスを含みます。例えば、「プロジェクト・タイム・マネジメント」の知識エリアでは、プロジェクトマネジメント活動のうち、スケジュールに関する部分しか触れません。

 しかし、プロジェクト統合マネジメントの知識エリアは、名前からも想像できるように、プロジェクトマネジメント活動全体を対象にします。そして、ほかの8つの個別の知識エリアの内容を1つに統合し、調整を行うことを目的とします。

 この知識エリアの内容が一番抽象的であり、イメージしづらい部分があるかもしれません。ぜひ、プロジェクトの全体を俯瞰(ふかん)して理解するようにしてください。この連載が終わったとき(つまり、残りの8つの知識エリアを学習し終えたとき)、あらためてプロジェクト統合マネジメントを振り返ってみると、今回は見えなかったものも見えてくるのではないかと思います。

立ち上げプロセス群

 プロジェクト憲章作成

 プロジェクト・スコープ記述書暫定版作成

計画プロセス群

 プロジェクトマネジメント計画書作成

実行プロセス群

 プロジェクト実行の指揮・マネジメント

監視コントロールプロセス群

 プロジェクト作業の監視コントロール

 統合変更管理

終結プロセス群

 プロジェクト終結


表2 プロジェクト統合マネジメントのプロセス

プロジェクトの開始〜「プロジェクト憲章作成」プロセス(第4章1項)

 企業でプロジェクトを立ち上げる際、ビジネス上のニーズや顧客のニーズなどさまざまな理由が存在します。それらのニーズに基づきプロジェクトを立ち上げるのは、役員や上級マネジメントなど、プロジェクトの予算執行に責任と権限を持つ人です。これらの人がイニシエーター(立ち上げをする人)やプロジェクト・スポンサー(お金を出す人)となります。

 イニシエーターやプロジェクト・スポンサーは、プロジェクトの立ち上げに伴い、

  • プロジェクトを何のために立ち上げるのか(プロジェクトの目的)
  • プロジェクトに対するニーズ
  • プロジェクトの概算のスケジュール
  • プロジェクトの概算予算
  • プロジェクト実施に関する前提条件
  • プロジェクト実施に対する制約条件

などを明確にし、文書化します。この文書を「プロジェクト憲章」といいます。

 この段階でプロジェクトマネージャが指名され、プロジェクトマネージャが持つ権限もプロジェクト憲章に記述されます。

 つまり、プロジェクト憲章は、プロジェクトの立ち上げの意味に正当性を与え、公式に開始を認可する文書ということになります。

 一般に、プロジェクト憲章は、イニシエーターやスポンサーが作成しますが、現実には、プロジェクトマネージャ自身が作成し、その内容について役員などから承認を得ることが多いのではないかと思います。

プロジェクトの内容のヒアリング〜「プロジェクト・スコープ記述書暫定版作成」プロセス(第4章2項)

 プロジェクト憲章を発行することで、プロジェクトが正式に立ち上がりました。プロジェクトマネージャもこの段階で任命されています。そこで、プロジェクトマネージャは最初に何をすべきでしょうか?

 プロジェクトはプロジェクトマネージャが自分で企画し、立ち上げたわけではありません。プロジェクトを成功裏に進めるためには、プロジェクトマネージャ自身にプロジェクトの目標などに関する理解が必要になります。

 そのために、スポンサーやイニシエーターにヒアリングを行い、

  • プロジェクトおよび成果物の目的
  • 成果物の受け入れ基準
  • プロジェクト作業の境界線
  • プロジェクトの前提条件
  • プロジェクトの制約条件

などをまとめ、文書化していきます。この文書を「プロジェクト・スコープ記述書」といいます。プロジェクト・スコープ記述書は、計画の段階でより詳細化されていくもので、この段階で作成されたものは、抽象度が高く「プロジェクト・スコープ記述書暫定版」と呼ばれます。立ち上げプロセス群の2つ目のプロセスである「プロジェクト・スコープ記述書暫定版作成」プロセスで、プロジェクト・スコープ記述書を作成し、この後、計画のプロセスへと移行していきます。

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