連載
» 2008年02月05日 00時00分 公開

システム開発プロジェクトの現場から(11):オフショアなんて、怖くない (1/2)

開発現場は日々の仕事の場であるとともに、学びの場でもある。先輩エンジニアが過去に直面した困難の数々、そこから学んだスキルや考え方を紹介する。

[新楽清高,アクセンチュア・テクノロジー・ソリューションズ]

初めてのオフショア

 こんにちは。アクセンチュア・テクノロジー・ソリューションズ(ATS)の新楽です。

 私は2003年11月に、現在所属するATSに転職しました。それまでの経験が大規模プロジェクトでも、そしてアクセンチュアグループでも通用するのかを確かめるのが目的でした。転職理由の詳細は、この連載の第6回「専門用語で『カッコよく』話すのは簡単だけど」に記載していますので、ぜひご覧いただければと思います。

 転職して最初に配属されたのは、Javaによる大規模な基幹システムの構築プロジェクトであり、私は基本設計の途中からの参画となりました。

 テーブル数は1000を超え、画面数も数百、帳票数も数百ありました。業務もかなり複雑でした。しかも開発の大部分はオフショア(ATSの中国・大連デリバリーセンター)での開発と決まっていました。人数は最大で70人以上も!

 当時、私はオフショア開発にあまり良いイメージを持っていませんでした。世間一般であまり良いうわさを聞いたことがなかったからです。なので「開発も日本でやった方がいい」「こんな複雑な業務とシステム、同じ日本人に理解してもらうのさえ大変だ」と感じていました。

なぜオフショアなのか?

 日本で開発した方がやりやすいのは当たり前のことです。同じ言葉で、同じサイトで開発する方がやりやすいに決まっています。でも、そんな思いのままでいては前へ進めません。そこで私は、「なぜオフショア開発をするのか?」を真剣に考えてみました。前職ではプロジェクトメンバーは多くても10人程度で、オフショア開発について真剣に考えたことはありませんでした。

 なぜ? コストを減らし、利益を最大限に得られるようにするため? 「自前主義」を掲げるアクセンチュアだが、日本のATSだけで大量の人材を確保するのが困難? 協力会社にお願いしてしまえばお金が外に流出する……だから?

 ほかにもいろいろと理由はあると思いますし、そのときに考えたことが100%正しいとは限りません。けれどもそのように考えることで「押し付けられる」という感覚から抜け出し、前向きに「どうやったらうまくやれるか」を考えられるようになりました。

 人間なんて意外と単純なものですね。物事の裏側にあることをきちんと理解して(もしくは理解しようと努力して)考えることで、前向きになれるものです。そうすればモチベーションを自分でコントロールできるようになるのだと、私はこの経験を通して気付きました。モチベーションって人に上げてもらう部分も多少はあるにせよ、最終的には自分で上げるすべを身に付けないとダメだと強く感じています。人から「上げてもらった」ものは、ちょっとした負の要因ですぐに下がってしまうので。

 もう1点、オフショア開発をするに当たって気になっていることがありました。少し大げさな表現かもしれませんが、日本の技術力の低下です。今後オフショア開発がさかんに行われるようになり、日本でプログラミングをする機会が失われてしまうのではないかと思ったのです。例えば新卒でATSに入社しても、プログラミングを経験しないまま数年が過ぎて……ということが起こらないのか? という不安がありました。

 いまでも「オフショア開発」というと、「じゃあ日本では開発しないということですか?」と質問されることがありますので、当時の私と同じように考える人も少なからずいるのではないかと思います。

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