連載
» 2008年03月31日 00時00分 公開

メンバーに贈るプロマネ基礎講座(5):結構ややこしいぞ! アーンド・バリュー計算と分析 (1/3)

本連載は、これからプロジェクトマネージャへの転身を考えている方、現在PMBOKベースでマネジメントされているプロジェクトに参加しているメンバーの方などを対象にしています。『プロジェクトマネジメント知識体系ガイド第3版(日本語版)』(以下、PMBOKガイド)の解説を行いながら、プロジェクトマネジメントの基本を解説していきます。なお、各小見出しの横には、対応するPMBOKガイドの章を記載していますので、PMBOKガイドを学習する際の参考にご利用ください。記事の最後には演習問題を用意しました。復習にご利用ください。

[田中亮,グローバル ナレッジ ネットワーク]

 連載第2回「プロセスに着目し、統合マネジメントをイメージする」から、PMBOKの9つの知識エリアの学習が始まりました。前回のタイム・マネジメントの知識エリアに続き、今回は「プロジェクト・コスト・マネジメント」の知識エリアを学習しましょう。前半はプロジェクト・コスト・マネジメントのプロセスに着目して解説します。後半では、最近日本でも注目されつつあるアーンド・バリュー法について紹介します。アーンド・バリュー法は、時間や成果をお金で換算してプロジェクトを管理する手法です。計算式が中心なので、ちょっとややこしいかもしれませんが頑張ってください。

はじめに

  今回は、「プロジェクト・コスト・マネジメント」の知識エリアです。この知識エリアもよく耳慣れたコスト(予算)がテーマですので、どのような活動をするのかはイメージがしやすいと思います。この知識エリアのプロセスをまとめると表のようになります。プロジェクト・コスト・マネジメントのプロセス数は3つですので、理解は難しくないと思います。

立ち上げプロセス群

 なし

計画プロセス群

 コスト見積もり

 コストの予算化

実行プロセス群

 なし

監視コントロールプロセス群

 コスト・コントロール

終結プロセス群

 なし


表 プロジェクト・コスト・マネジメントのプロセス

 個々のプロセスの特徴を見ていきたいと思います。

スケジュール・アクティビティごとの費用を見積もる 〜「コスト見積もり」プロセス (第7章1項)

 統合マネジメントを除くとこれまで、スコープ、タイムの2つの知識エリアを学習してきました。この2つの流れをまとめるとこうなります。スコープ・マネジメントの知識エリアで、プロジェクトで行うべき作業(=スコープ)を明確にし、WBS(Work Breakdown Structure)のワークパッケージレベルまで詳細化した後、タイム・マネジメントの知識エリアで、スケジュール管理のために「スケジュール・アクティビティ」を定義しました。そして、スケジュールを作成するために順序関係を定義し、所要期間や必要な資源を見積もりました。

 今度は、コスト・マネジメントの知識エリアで、それぞれのアクティビティを完了させるために必要なコストの見積もりを行います。結果として、各アクティビティに対し必要なコストが見積もられ「アクティビティ・コスト見積もり」が作成されます。

見積もったコストを時間軸で集約する 〜「コストの予算化」プロセス (第7章2項)

 先ほどのコスト見積もりプロセスでは、アクティビティ単位でのコストの見積もりを行いましたが、今度は時間軸で必要なコストを集約していきます。この作業は多少分かりにくい部分があると思いますので。具体的な例でご紹介しましょう(図1)。

コスト見積もりの結果
週単位で展開した予算=予算化
アクティビティ
予算
アクティビティA
10万円
アクティビティB
20万円
アクティビティC
20万円
アクティビティD
40万円
1週
2週
3週
4週
5万円
5万円
10万円
10万円
10万円
5万円
5万円
5万円
10万円
15万円
10万円
合計
90万円
10万円
35万円
30万円
15万円
予算の累計
=コスト・ベースライン
90万円
10万円
45万円
75万円
90万円
図1 コストの予算化

 
(1)
 
(2)
 
(3)
 
(4)
図1の色枠の説明

(1)図1では、アクティビティA〜Dの4つが定義され、それぞれコスト見積もりが完了しています。ただし、これらのコストがいつ発生するかは明確ではありません。
(2)そこで、時間軸を考え、週単位での予算コストを見積もります。
(3)次に、今度は週単位で各アクティビティの予算コストを合計し、プロジェクト全体における週単位での予算コストを作成します。
(4)最後に、週単位での予算コストを累計します。これを「コスト・ベースライン」といいます。

 コストの予算化のプロセスが終了すると、時間軸に展開された予算が作成され、コスト・ベースラインが定義されます。コスト・ベースラインは、この後コスト・コントロールのプロセスで予算管理をする際の基準となります。

コストの変更管理 〜「コスト・コントロール」プロセス(第7章3項)

 これまで、スコープ・コントロール、スケジュール・コントロールという似た内容のプロセスを紹介しましたが、コスト・コントロールもまったく同様の働きをします。つまり、コスト・ベースラインに基づいて、実際のコストの状況を監視し、必要に応じ是正処置などを行います。また、統合変更管理プロセスにより、コスト・ベースライン(つまりは、プロジェクトの予算)の変更が承認された場合には、適切に変更されたかを監視します。

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