前回の「サブネットマスクの計算をマスターする」では、2進数と10進数の相互変換やサブネットマスクの計算を学習しました。それを踏まえ今回は、クラス単位でIPアドレスを割り当てるクラスフルと、ホスト部のビットの一部をネットワーク部にするクラスレスについて習得しましょう。
ネットワーク部とホスト部の境界をオクテットごとに分解したものを「クラスフル」と呼び、クラスA〜Cが用意されています。どのクラスに該当するかは、第1オクテットの先頭のビットパターンで表現します。
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図1 クラスフル |
クラスAは、先頭の1ビットを「0」、クラスBは、先頭2ビットを「10」、クラスCは先頭3ビットを「110」にセットします。第1オクテットの8けたのビットを10進数の値で表現するために「128、64、32、16、8、4、2、1」という数字に対応させてみると、クラスAは0〜127までの値(64+32+16+8+4+2+1=127)、クラスBは128〜191(128+32+16+8+4+2+1=191)、クラスCは192〜223(128+64+16+8+4+2+1=223)が該当します。ただし、クラスAの範囲である「0.0.0.0」と「127.0.0.0」は使用されません。「0.0.0.0」は、「すべてのネットワーク」を表す特別なアドレスとされています。特に「127.0.0.1」は、「ループバックアドレス」と呼ばれ、各コンピュータが最初から保持しているIPアドレスです。コンピュータでTCP/IPが正しく動作するかどうかを検証するときなどに使用されます。
結果として、各クラスのネットワークアドレス範囲とホスト数は次のようになります。
クラス | ネットワーク アドレス範囲 |
ネットワーク数 | ホスト数 | ネットマスク |
---|---|---|---|---|
A | 1.0.0.0 〜126.0.0.0 |
126個 | 16777214(1677216−2) | 255.0.0.0 |
B | 128.0.0.0 〜191.255.0.0 |
16384個 | 65534(65536−2) | 255.255.0.0 |
C | 192.0.0.0 〜223.255.255.0 |
2097152個 | 254(256−2) | 255.255.255.0 |
D | 224.0.0.0 〜239.0.0.0 |
マルチキャスト用に予約されたアドレス | ||
クラスDに定義された「マルチキャスト」とは、1つの送信元から特定のグループをあて先とした送信方式で使用されるアドレスです。1つの送信元から1つのあて先に送信するのが「ユニキャスト」、すべてのあて先に一斉に送信するのが「ブロードキャスト」です。
各クラスで扱えるホスト数が「−2」とされているのには理由があります。ホスト部のビットをすべて「0」にしたアドレスは「ネットワークアドレス」として、そのホストが所属するネットワークを識別するために使用されます。すべて「1」にしたアドレスは「ブロードキャストアドレス」として使用されます。
表現できるホスト数には限界があるため、世界中のコンピュータすべてに異なるIPアドレスを割り当てることができません。そのため、通常は、社内などのローカルLANだけで使用される「プライベートアドレス」という範囲でIPアドレスを割り当て、インターネットなどの外部に接続するときは別のグローバルIPアドレスに変換するなどの手法が取られます。プライベートアドレスは、IETF(Internet Engineering Task Force)で定義され、インターネットでは使用できないアドレスとして、次のクラスA〜Cを使用します。
クラス | プライベートアドレス範囲 | サブネットマス |
---|---|---|
クラスA | 10.0.0.0〜10.255.255.255 | 255.0.0.0 |
クラスB | 172.16.0.0〜172.31.255.255 | 255.255.0.0 |
クラスC | 192.168.0.0〜192.168.255.255 | 255.255.255.0 |
クラスBで使用可能なホスト数を選択しなさい。
a.256
b.254
c.65536
d.65534
d
クラスBは、第3オクテットと第4オクテットがホスト部になります。16ビットで表現できる値は65536個ですが、ホスト部をすべて「0」にしたアドレスと、すべて「1」にしたアドレスは、ネットワークアドレスとブロードキャストアドレスになるため、ホストに割り当てることはできません。従って、選択肢dの65534個が正解です。選択肢bは、クラスCで使用できるホスト数です。クラスCは第4オクテットのみがホスト部となり、256−2=254個のホスト数を扱うことができます。
ホストに割り当てることのできるプライベートアドレスに該当するIPアドレスを3つ選択しなさい。
a.192.167.0.3/24
b.172.18.10.25/255.255.0.0
c.172.31.0.0/16
d.10.192.12.5/255.0.0.0
e.192.168.20.3/255.255.255.0
b、d、e
プライベートアドレスの範囲は、クラスAが「10.0.0.0〜10.255.255.255」、クラスBが「172.16.0.0〜172.31.255.255」、クラスCが「192.168.0.0〜192.168.255.255」になります。それぞれのホスト部がすべて「0」と「1」のアドレスは、ネットワークアドレスとブロードキャストアドレスになるため、ホストに割り当てることはできないアドレスです。選択肢aは、第2オクテットがプライベートクラスの範囲外になっているため誤りです。選択肢cは、ホスト部がすべて0のため、ホストに割り当てることのできないアドレスになります。
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