連載
» 2008年07月30日 00時00分 公開

仮想サーバのバックアップをどうするか(1):サーバ仮想化におけるバックアップの課題 (2/2)

[浅野百絵果,株式会社シマンテック]
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 ここで注目してほしいのは、バックアップは、一時的に多くのリソースを消費する処理であるということだ。1台のサーバ・ハードウェアにひとつしかOSが動作していない環境では、リソースが十分にあるため、あまり問題になることはない。企業では、重要なサービスが動作している時間を避けて、夜間などにバックアップ時間(バックアップウィンドウ)を決め、その時間内にバックアップ処理を実行するルールになっていることが多いだろう。

図3 バックアップ処理時のリソース使用状況。バックアップ実行中はサーバに大きな負荷が掛かる 図3 バックアップ処理時のリソース使用状況。バックアップ実行中はサーバに大きな負荷が掛かる

 従って、サーバ仮想化により高い負荷がキープされた環境では、バックアップウィンドウをどこに設定してもリソース不足に陥ってしまうことになる。

負荷の集中に注意が必要

 また、バックアップウィンドウを特定の時間に設定した場合、その時間にバックアップジョブが集中することも考慮しなくてはならない。仮想化されたサーバをソフトウェア面から見たときには、複数のサーバが同時に動いていることになるが、ハードウェア面で見ると実際には1台しかない。

 物理サーバにギガビット・イーサネットやファイバチャネルのような高速なインターフェイスを搭載し、バックアップを行う仕様になっていたとする。バックアップウィンドウは、必要なバックアップデータ量の転送に掛かる時間を考慮し、設定することになる。サーバ仮想化環境で動作するゲストOS上はこれらのインターフェイスは十分なスピードを達成する仕様になっている。ただし、限られたバックアップウィンドウ内で同時にバックアップジョブが実行されると、ひとつのインターフェイスに負荷が集中することになり、パフォーマンスが劣化してしまう。そのため、データ転送が遅延し、設計通りの時間にバックアップが終了しない事態につながってしまう。

 負荷が集中するのは、ネットワークストレージにとっても同じことだ。ストレージにとっては複数のサーバが接続されているのと同じことになる。サーバ側と同様に、集中的にインターフェイスに負荷が掛かるのと同時に、ストレージのI/O負荷も高くなり、全体としてバックアップ処理のパフォーマンスが劣化することになる。

仮想化環境ならではのバックアップ手法

 こうした問題を解決する手段として、いくつかの方法が考えられている。それぞれのサーバでバックアップ・エージェントを動かすのも1つだが、さらに仮想化プラットフォームでバックアップ作業の効率化を実現する手段が提供されている場合がある。また、バックアップによる負荷を仮想化ホストから取り除いてやることにより、バックアップウィンドウによる制限を回避する手法も考えられている。

 今後の連載では、従来通りのバックアップ手法を適用した場合に発生するサーバ仮想化環境での問題点と、それを解決するための手法を、順を追って解説する。第2回ではゲストOSを従来通りのOSと見立ててバックアップおよびリストアする場合のメリットとデメリットを、第3回では仮想マシンそのものを対象にバックアップおよびリストアする場合、第4回ではサーバ仮想化環境のために特別に考えられたバックアップ手法を、第5回ではそれでも残る問題についての解決法を紹介する予定だ。

著者紹介

株式会社シマンテック

ソリューション&プロダクトマーケティング部

データセンターマネージメントグループ

浅野 百絵果



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