X Window System の仕組みと設定実践でも役立つLPICドリル(4)(2/4 ページ)

» 2008年07月31日 00時00分 公開
[大竹龍史ナレッジデザイン]

今回のディストリビューション: CentOS4.4、Fedora8

問題を解く鍵 【3】〜【5】

【3】Xサーバの設定方法を把握しておく

 Xサーバの設定ファイルはxorg.confです。一般的なパスは/etc/X11/xorg.confです。このファイルに、キーボード、マウス、ビデオカード(ビデオチップ)、モニタなどのハードウェア情報とそれを制御するデバイスの情報、使用するフォントファイルやフォントサーバの情報、動的にXサーバにロードするモジュールの情報などを、それぞれのセクションに記述します。

 今回はフォントの指定の記述について説明します。フォントの指定は、Section "Files" で行います。

(例1) ローカルホスト上のフォントサーバのUNIXソケットを指定


     Section "Files"
       FontPath "unix/:7100"
     EndSection


 Linux標準のフォントサーバxfsのUNIXソケット/tmp/.font-unix/fs7100に接続します。

(例2)リモートホスト上のフォントサーバのTCPポート7100番を指定

     Section "Files"
      FontPath "tcp/フォントサーバ名:7100"
     EndSection


 xfsのTCP待機ポート番号は7100番です。xfsの設定ファイルの記述でTCP接続を許可する必要があります。

(例3)ローカルホストのフォントを指定    

     Section "Files"
       FontPath "/usr/share/X11/fonts/TTF"
       FontPath "/usr/share/fonts/default/Type1”
      ......................................................................................
       (利用できるフォントをすべて指定します)
     EndSection


(例4) FontPathを指定しない

 FontPathを指定しない場合は、Xサーバのデフォルトのフォントディレクトリが参照されます。

 CentOS4.4では/usr/X11R6/lib/X11/fonts/以下の各フォントディレクトリ、Fedora8では/etc/X11/fontpath.dとなります。

【4】X Window Systemのカスタマイズ方法を把握しておく

ディスプレイマネージャの選択

CentOS 4.4、Fedora 8の場合はディスプレイマネージャの指定は/etc/sysconfig/desktopファイルで行います。

    gdmを指定する場合:
      DISPLAYMANAGER="GNOME"

    kdmを指定する場合:
      DISPLAYMANAGER="KDE"

    xdmを指定する場合:
      DISPLAYMANAGER="XDM"

ディスプレイマネージャのカスタマイズ

 ディスプレイマネージャの表示画面や表示メッセージを、各ディスプレイマネージャの設定ファイルを編集することによりカスタマイズできます。

(例1)CentOS 4.4、Fedora 8でgdmの表示画面を変更する例

 CentOS 4.4では/etc/X11/gdm/gdm.confを次のように変更。

         #Greeter=/usr/bin/gdmgreeter
         Greeter=/usr/bin/gdmlogin


 Fedora 8では/usr/share/gdm/defaultsを次のように変更。

         #Greeter=/usr/libexec/gdmgreeter
         Greeter=/usr/libexec/gdmlogin


(例2)CentOS 4.4、Fedora 8でkdmのグリーティングメッセージを変更する例

    CentOS 4.4では/etc/X11/xdm/kdmrcを、Fedora 8では/etc/kde/kdm/kdmrcを次のように変更。

         GreetString= "Hello! Welcome to my %n"


(注)%nはホスト名に置き換わります。


(例3)CentOS 4.4、Fedora 8でxdmのグリーティングメッセージを変更する例

 /etc/X11/xdm/Xresourcesを次のように変更。

         xlogin*greeting: Hello! Welcome to my CLIENTHOST


(注)CLIENTHOST はホスト名に置き換わります。


統合デスクトップ環境の選択

 CentOS 4.4、Fedora 8の場合は統合デスクトップ環境の指定は/etc/sysconfig/desktopファイルで行います。

    GNOMEを指定する場合:

      DESKTOP="GNOME"


    KDEを指定する場合:

      DESKTOP="KDE"


【5】クライアント/サーバ型の分散処理の方法を把握しておく

 X Window SystemはクライアントとサーバがXプロトコルで通信するネットワーク型のウィンドウシステムであり、この特徴を生かしてクライアントプログラムをリモートホストで実行し、ローカルホスト上のXサーバで表示や操作をすることができます。

 ローカルホストになくリモートホスト上にあるアプリケーションをローカルホストで表示/操作したり、高速なリモートホスト上で演算主体のアプリケーションを走らせて表示/操作をローカルホストで行うことができます。

図8 Xサーバ側での作業(左)、Xクライアント側での作業(右) 図8 Xサーバ側での作業(左)、Xクライアント側での作業(右)

・Xサーバ側での作業(図8・左)

1. XサーバへのTCP接続を許可する

 ディスプレイマネージャがXサーバを起動するとき、“-nolisten tcp” のオプションを付ける設定になっている場合はXサーバがTCPポートを作らないので、そのときはディスプレイマネージャの設定ファイルを変更します。

(例)CentOS 4.4のgdmの場合は、/etc/X11/gdm/gdm.confを、Fedora 8のgdmの場合は、

/usr/share/gdm/defaults.confを、次のように編集してgdmを再起動します。
         DisallowTCP=false

2. xhostコマンドを実行して、クライアントからのアクセスを許可

  ・すべてのクライアントからのアクセスを許可:xhost +

  ・特定クライアントからのアクセスを許可:xhost クライアントホスト名

・Xクライアント側での作業(図8・右)

1. Xサーバを指定してクライアントを起動 

   export DISPLAY=Xサーバ名:0.0xclock

 または、

   xclock -display Xサーバ名:0.0

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