連載
» 2008年08月27日 00時00分 公開

仮想マシン化することのメリットVMware Infrastructure 3 徹底入門(4)(1/3 ページ)

仮想化では、本来は物理サーバにインストールされるソフトウェアを、仮想マシンとして扱う。この「仮想マシン化」自体が、カプセル化やハードウェア非依存といった、システムの展開と運用における大きなメリットをもたらす。今回は、このメリットを、具体的なシステム展開例とともに紹介する

[ヴイエムウェア株式会社,@IT]

 仮想マシンの活用方法としてサーバ統合がよく例に挙げられるが、仮想化することによるメリットは、単なる物理マシンの台数削減にとどまらない。仮想マシンは取り扱いやすく、さまざまな場面で生産性の向上に寄与する。今回は「カプセル化」「ハードウェア非依存」と呼ばれる仮想マシンの特長を紹介する。また、クローンとテンプレートの機能について紹介し、その活用方法について説明する。

カプセル化

 仮想マシンの優れた特長の1つに「カプセル化」がある。仮想マシンの情報はすべて「ファイル」として保持管理される。仮想マシンを構成するファイルには、構成情報定義ファイル、NVRAMファイル、ログファイル、ディスクイメージファイルなどがある。NVRAMファイルには仮想BIOSのイメージデータが格納される。仮想マシンもそれぞれBIOSを保有しており、そのイメージデータは単一のファイルとして取り扱われている。ログファイルは仮想マシンの状態に関するログを記録しているファイルである。ディスクイメージファイルは、仮想マシンの内蔵ディスクドライブに対応するイメージファイルである。仮想マシンでは、利用するディスクドライブさえもファイルになってしまうということに注目してほしい。OS起動時に必要となるマスターブートレコード部分も含めてファイルの一部として取り扱われるのだ。つまり、これらのファイルをまとめてひとくくりにして管理するだけで、仮想マシンを構成するすべてのデータを包括的に取り扱えることになる。

図1 仮想マシンのデータはすべてファイルという形態で保持される。該当ファイルをひとまとめにして扱うことで取り扱いが飛躍的に容易になる 図1 仮想マシンのデータはすべてファイルという形態で保持される。該当ファイルをひとまとめにして扱うことで取り扱いが飛躍的に容易になる

 具体的にはどのように見えるのかを紹介しよう。以下は、ある仮想マシンが格納されているフォルダの中身である。

#ls -l
total 4194752
-rw------- 1root root 4294967296 Jun16 15:23 vm03-flat.vmdk
-rw------- 1root root       8684 Jun16 15:23 vm03.nvram
-rw------- 1root root        395 Jun13 02:07 vm03.vmdk
-rw------- 1root root        458 Jun13 02:07 vm03.vmsd
-rwxr-xr-x 1root root       2182 Jun13 02:07 vm03.vmx
-rw------- 1root root        259 Jun13 01:52 vm03.vmxf
-rw-r--r-- 1root root      28314 Jun13 01:56 vmware-1.log
-rw-r--r-- 1root root      49712 Jun16 15:23 vmware.log
#

 詳細は別途解説するが、ここでは「仮想マシンのすべての情報はファイルになる」という部分を理解してほしい。例えば、このフォルダを丸ごとコピーすれば仮想マシンのフルバックアップを実施したことになるし、同等構成の仮想マシンを複数設置したいときは複数個のコピーを作成して適切なカスタマイズを行えばよいということになる。

 ご存じの通り、物理マシンのフルバックアップを実施するのはそれなりに工数が発生する作業である。また、バックアップ以上にリストアは複雑な作業であり、取得済みのバックアップから、OSの起動領域も含めて適切にリストアを行うには、複雑な手順と一定以上のスキルが必要とされる。仮想マシンにしてしまうと、バックアップならびにリストアの手間と時間を飛躍的に削減することができ、確実性も向上する。

ハードウェア非依存

 もう1つの重要な特長がこの「ハードウェア非依存」である。一般にフルバックアップしたデータからシステムをリストアする場合、リストア先を同一の物理マシンにしないと成功しないことが多い。例えばA社のラックマウントサーバで動作中のシステムでフルバックアップを取得し、それを別の、例えばB社のブレード型サーバにリストアしたとしても、無事にシステムを復旧できる可能性はあまり高くない。同じx86系システムといっても流通しているハードウェアのバリエーションは非常に多彩であり、その上で動作するOSの可搬性はそれほど高くないというのが実情である。

 仮想マシンを用いるとこの問題は一気に解決する。VMwareの仮想マシンは基本的にハードウェアへの依存性がない。このため、ハードウェアを新しいものに入れ替えた後でもそのまま仮想マシンを実行することができるし、遠隔地に災害対策サイトを立てるような場合でも、必ずしも本番環境と同一の機種でそろえる必要もない。物理マシン環境ではとても難しいことが仮想マシンだと非常に簡単になるいい例である。

図2 仮想マシンはハードウェアに非依存なため、異なる物理マシン上でもそのまま動作 図2 仮想マシンはハードウェアに非依存なため、異なる物理マシン上でもそのまま動作

 また、この特性は、ソフトウェアとハードウェアのライフサイクルを分離させる手法としても広く活用されている。例えばWindows NT4やWindows 2000などを引き続き使い続けたいが、ハードウェアが老朽化しており保守が受けられないといった場合にも対応できる。VMware Infrastructure 3上で動作する仮想マシン上ではWindows NT4やWindows 2000なども動作するため、最新のハードウェア上であってもこれらのOSを継続利用できるというわけだ。

       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

RSSについて

アイティメディアIDについて

メールマガジン登録

@ITのメールマガジンは、 もちろん、すべて無料です。ぜひメールマガジンをご購読ください。