連載
» 2008年09月02日 00時00分 公開

システム開発プロジェクトの現場から(18):1人チームで悩む新人。「この作業って意味あるの?」 (3/3)

[檜山亜紗美,アクセンチュア・テクノロジー・ソリューションズ]
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自分の作業から、美しいS字曲線が!

 それは、とある日のこと。マネジャーにいわれるがまま、データをExcelにただ書き出す私。どう見ても、(私にとっては)ただの数字の山、あるいは日々のデータのかき集めです。

 「この軸とこの軸でグラフにして」

とマネジャーからの指示。いわれたとおりにやってみると、なんと! 美しいS字曲線(信頼度成長曲線。テストの進ちょくを評価できる。このときは、ツールに仕込んだシナリオ数やテスト実行回数とバグ検出数の関係)が表れたのです。

 テキストにも書いてある基本的なことだけれど、それをただ読むのと、現場で実感するのでは大きく違うもの(というよりも、実務でテキストの内容を実践するという考え自体、当時はありませんでした)。

 きれいだなー! 本当にできるんだ! すごい発見だ! と純粋に感動したのを覚えています。

 同時に、自分のやっている作業って、見せ方次第ではこんな美しい規則性を描くんだ! ということに気付きました。

 自分の仕事が形として見える素晴らしさに、気付けば悩みから抜け出していました。プロジェクトへの貢献度が実感できたからというよりも、自身の仕事に楽しみが見いだせたからです。

仕事で悩んでしまったら

 仕事で悩むことは、誰しも一度はあると思います。

 私のこの体験が、そんな経験の一コマだったとするなら、「悩みを打開するのは直接的原因の解決とは限らない。別の角度からの突破もあり得るのだ」と読み解けるかもしれません。

 もちろん、直接的原因の解決が必要な問題もありますが、この場合のように、

 「仕事できてるんですかね、私。いまの作業って意味あるんですかね」

先輩 「ちっちぇえよ!」

というような、会話一往復レベルの悩みのときには、この「別の角度からの突破を試みる」考え方は有効だと思います。

 では、この別角度がどうしたらお目見えするのか、ということなのですが、それはやはり「手を止めないこと」です。

 今回お話しした品質管理チームでの仕事の場合、私がグルグルと悩んで手を止めていたら、誰も品質管理をしていないことになるので止められなかったという事情もありました。

 しかし、小学生時代の書き初めでは、毎年「継続は力なり」という言葉を選んでいたような私ですので、不安だけど、しばらくはやってみよう、という姿勢だったことも確かです。そして実際やっているうちに、悩みが飛んでいったのも確かです。

 というわけで、

 「ちっちゃいとは分かっているけど、悩んでるなぁ、いま」。そんなときは、手を動かしたらいいと思います。

 文章が長い割には平凡な結論持ってきたなぁ、と思われるかもしれません。でも、新人のころは、先輩から見れば当たり前なことにも気付くことができない、冷静に見ることができない。そんな非日常感が頭の大半を占めていたように思います。

 もちろん、新人を卒業してからも、手を動かしていたおかげで遭遇した面白いことがたくさんありました。

 手を動かした分、状況は変わっていくわけですし、その中で、思いがけない「きっかけ」もつかむことができました(その一部を、今後の連載で紹介していきます)。

 さて、ここまででおよそ新人1年間が経過。まだまだIT業界っぽいやりがい(お客さんからありがとうといわれた、世の中のためになるシステムを作れたなど)には程遠いところで悩んだり喜んだりしていたわけですが、言語の壁がある中で仕事ができたこと(←テストチーム)、プロジェクトでの孤独感や自分の作業成果を実感できたこと(←品質管理チーム)、すべてが私にとって初めての貴重な体験でした。

 この後、アーキテクチャチームへと転属になり、「忘れられない出会い」をすることとなりますが、そのお話は次回。

筆者紹介

アクセンチュア・テクノロジー・ソリューションズ

檜山亜紗美

1982年生まれ。東京理科大学理工学部経営工学科を卒業後、アクセンチュア・テクノロジー・ソリューションズに入社。Javaの大規模プロジェクトで開発から運用までを経験、現在はStrategic Delivery Office(社内組織)にて方法論の展開・定着化に取り組む。趣味は幹事(ノンジャンル)。主催から出欠係まで幅広くたしなむ。



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