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» 2008年10月03日 00時00分 公開

30代前半、これだけは身に付けたいスキル:30代前半、これだけは身に付けたいスキル (1/3)

[岑康貴,@IT]

上級ITプロフェッショナルのスキルとキャリア上級ITプロフェッショナルのスキルとキャリア

 @IT自分戦略研究所は2008年9月27日、「@IT自分戦略研究所カンファレンス 〜上級ITプロフェッショナルのスキルとキャリア〜」を開催した。

 午前の部では「市場価値の高いエンジニアであり続けるための12のポイント」と題してパネルディスカッションが行われた。テクノブレーン 能勢賢太郎氏、ケペル 小林学氏、イーシー・ワン 鈴木智弘氏、3Di 鎌田卓氏、ベリングポイント 平野寛之氏、情報セキュリティ大学院大学 内田勝也氏が登壇し、「市場価値とは何か」「年齢別に求められる能力は何か」などについて話した。午後の部は、パネルディスカッションでの問題提起を受けた形のセッションが6つ行われた。

 本記事では、1ページ目でパネルディスカッションの模様をレポートし、2ページ目3ページ目で、上級ITプロフェッショナルに関する各セッションの内容をお伝えする。

市場価値とは、企業から必要とされるということ

 はじめに、能勢氏は「市場価値とは、すなわち『転職できる能力』があるかということだ」と述べた。実際に転職をするかどうかではなく、もしも転職をするとしたら、企業から必要とされることが「市場価値」であるという。

 市場価値は「需要と供給によって決まる」と能勢氏は語った。どれだけマーケットに需要があるかを見極め、自身のキャリアを冷静に見つめる必要があるという。能勢氏は組み込みソフトウェア開発を例に挙げ、「1年前に比べて、人材需要は若干クールダウンしている。個人の能力が変わっていなくとも、市場価値は下がってしまっている」と話した。

 また、近年の傾向として、「昔は30代後半くらいに求められていたような能力が、30代前半や20代後半など、若い人に求められるようになっている」(能勢氏)とし、求める年齢レベルが下がっていることを指摘。また、20代から30代にかけて市場価値の平均を超える評価を受けていても、40代になって平均よりも下がってしまうケースが多いと強調した。一方で、「若いうちに修業しておいて、40代以降に高い市場価値を持つようなケースは、少ないが存在する」(能勢氏)と述べた。

年代別、必要な能力

 次に、各企業の人事担当者が、年代別で必要とされる能力について語った。ケペルの小林氏は20代後半で身に付けておきたい能力として「目的と手段を見極める力」「学習を習慣付ける力」「責任を全うしようとする力」の3つを挙げた。20代後半では、仕事へのモチベーションを上げるために、自身の仕事が企業の業績にどうつながっているかを意識することが重要であり、プロジェクトごとに必要とされる専門知識を学んでおく必要があるという。また、自分を変えるためには気付きが必要であり、そのためには「主体的に仕事をすること」が肝要であると小林氏は強調。それがすなわち「責任を全うすること」であるとした。

30代前半で身に付けておきたい能力は 30代前半で身に付けておきたい能力は

 イーシー・ワンの鈴木氏は30代前半で身に付けておきたい能力として「マネジメント能力(プロジェクト管理能力など)「コミュニケーション能力」「プロジェクトの中核を担う技術スキル」の3つを挙げた。この年代は会社の中核になり始める時期であり、社外の顧客に「価値を提供する」ことを意識することになるため、そのためのマネジメント能力と、社外の人間との折衝におけるコミュニケーション能力が必要とされるという。一方で、「一番コアな部分」(鈴木氏)である技術スキルを学ぶべき時期でもあると強調した。

 鎌田氏は30代後半で身に付けておきたい能力として「ビジネスマナー」「危機管理能力」「バランス感覚」の3つを指摘。この年代は中間管理職になる時期だが、経験を重ねたことで「自信がつき、ともすれば横柄になりがち」(鎌田氏)な時期でもあるという。そのため、あらためてビジネスパーソンとしてどう見られているかを省みるのが大切であると鎌田氏は述べた。また、ビジネスを進めるうえで、「何かがおかしい」という違和感を見逃さないこと、相手方の立場を考えて場の空気を読むことも求められるとした。

 最後に、平野氏が40代以降で身に付けておきたい能力について述べた。40代以降は「もうスキルではない」という。今後、経営に軸足を置くのか、専門性に軸足を置くのかを考え、実行に移すべき時期であると平野氏は語った。そのうえで、「人生で一番優先すべきことは何か」「ライフプランと仕事のバランスをどう取るか」「何歳まで働きたいか」「何をプラスすればこれまでの経験・実績の付加価値が上がるのか」といったことを考えるのが重要であるとした。

重要なのは「物事の本質を理解すること」

 こうしたスキルを身に付けるにはどうしたらよいか。内田氏は「物事の本質を理解することが大切」と述べた。そのうえで目的を達成する道筋への思考ができるようになっているかが重要であり、日々の継続的な学習がそれを支えると主張した。

 さらに、「とにかく1つの物事に対して造詣を深める」ことは重要だが、1つのことだけを極めた「I型人間」ではなく、そこから物事のとらえ方を自身で確立し、横に広げる努力をすべきであると内田氏は語った。「Π型人間が最も望ましいが、せめてT型人間を目指してほしい。興味を持つことが重要である」(内田氏)。

 内田氏は例として、「SQL Slammer事件」や「Blasterワーム事件」「個人情報漏えい問題」「モバイルSuicaの不正利用事件」などを挙げ、「これらのことから、どんなことが考えられるか。何も思い描けないようでは駄目だ」と断言した。個人情報漏えい問題については、「大変だな」と思うだけではなく、「自社のシステムでも同じ問題が発生しないだろうか」「同じような脆弱(ぜいじゃく)性を持ったものはほかに何があるだろうか」「自社で発生した場合、どの程度の損害があるだろうか」というように、自分のこととしてとらえ、イメージを広げられるようにしなければならないと述べた。

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