ヴイエムウェア、2009年に向けた新戦略を国内で説明企業データセンターのOSへの進化を目指す

» 2008年10月07日 00時00分 公開
[三木泉,@IT]

 ヴイエムウェアは10月6日、米国本社が「VMworld 2008」(9月中旬にラスベガスで開催)で発表した新戦略の骨子を国内で説明した。

 ヴイエムウェアは企業データセンターの仮想化、外部クラウドコンピューティング・サービスとの連携、仮想化を活用したクライアント環境の向上を3つの重点分野とし、2009年中に新たな製品や技術を投入する。

ヴイエムウェア代表取締役社長の三木泰雄氏

 ヴイエムウェア代表取締役社長の三木泰雄氏は、「クラウドコンピューティングの中核技術は仮想化」と話し、企業ITのクラウド化から外部クラウドサービスの活用につながるように同社が取り組んでいくことを説明。クライアントについては、サーバ上で起動する仮想マシンを画面転送で使うだけでなく、クライアント機の仮想化を活用してオフラインでのPC利用に対応するのが同社の特徴だという。

 テクニカルアライアンスマネージャの名倉丈雄氏は、「OSの定義がハードウェアの管理とアプリケーションやユーザーインターフェイスの提供だとすると、仮想化は企業データセンターのOSになることができる」とし、VMware Virtual Infrastructureをこの点で強化する新機能の1つとして、ある物理サーバ上の仮想マシンの状態をほかの物理サーバに同期しておき、障害発生時にダウンタイムなしで処理を引き継げる「VMware FT」を投入予定だと説明した。

 ヴイエムウェアは、複数の仮想マシンを1まとまりにして、これに仮想マシン間の相互連携やSLAなどの定義情報を付与した「vApp」を推進していくことも明らかにしている。vAppでは、例えば3層システムに対し、全体としてのサービスレベル要件を定義し、これに従った運用方法をアプリケーションの構築者や利用者がリクエストできるようになる。

AppSpeedでは、SLAに対してアプリケーション群がどのような稼働状況にあるかを検知し、対策を指示できる。これは「サーバを2台以上増やせ」と指示している例(模式図)

 実際のSLA確保におけるカギとなる製品を、同社はすでに持っている。米Beehiveの買収で獲得した「AppSpeed」だ。この管理ツールは、稼働中のアプリケーションとその相互依存関係、パフォーマンスなどを自動的に検出し、適切な対処方法をサーバ仮想化プラットフォームなどに伝えることができる。

 この「適切な対処方法」の1つとして、外部データセンター業者のリソースの一時的な利用も将来は考えられる。そこでヴイエムウェアでは、現在VMware Virtual Infrastructureを活用したユーティリティコンピューティング・サービスを提供している米サヴィス・コミュニケーションズなどのデータセンター事業者と連携し、vAppをサービスレベル情報とともに短時間で外部データセンターにコピーし、社内データセンターの一部として利用できる環境を実現するための仕組み作りを進めていく。

 クライアント関連では、デスクトップPCやノートPC用に、今後新たにVMware ESXiのようなハイパーバイザ型の仮想化ソフトウェアを提供する。これをベースとして、社内では画面転送によるデスクトップ仮想化を使い、外出時にはそれまで利用していた仮想マシンをダウンロードしてオフラインで使えるようにすると名倉氏は話した。

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