連載
» 2008年10月22日 00時00分 公開

味わい深いシステムを開発するための業界知識(2):通信業界は売上高に占めるITコストが高い (1/3)

ITエンジニアの日々の業務は、一見業界によって特異性がないようだ。だが、実際は顧客先の業界のITデマンドや動向などが、システム開発のヒントとなることもある。本連載では、各業界で活躍するITコンサルタントが、毎回リレー形式で「システム開発をするうえで知っておいて損はない業務知識」を解説する。ITエンジニアは、ITをとおして各業界を盛り上げている一員だ。これから新たな顧客先の業界で業務を遂行するITエンジニアの皆さんに、システム開発と業界知識との関連について理解していただきたい。

[秋下浩,アクセンチュア]

はじめに

 前回(「保険大国日本で保険のシステムを作るコツ」)から、アクセンチュアのコンサルタントによる他業界解説(リレー連載)を開始しました。今回は、通信業界のITエンジニアとしてこれから業務を遂行する方に向け、通信業界の業界動向、ITとのかかわりについて、私の経験を基にお伝えしたいと思います。

通信業界を取り巻く現状

 通信事業とは、ネットワーク網、交換機、ルータなどの伝送路設備・伝送交換設備・付帯設備を保有し、サービスを提供する事業のことです。この通信事業は、(1)固定通信事業(固定電話、FTTH、IP−VPNなど)、(2)携帯通信事業(携帯電話、無線LANなど)、(3)ISP事業(インターネット接続サービス)の3つに大別できます。

 今後はNGN(次世代ネットワーク)やWiMAX(無線通信規格IEEE 802.16規格)、FMC( Fixed Mobile Convergence)などのサービス開始によって、携帯と固定の垣根は取り払われ、これらに放送を加えたユビキタスネットワーク社会への動きが加速していくと思います。

 こうした状況下、低価格競争など競争環境の激化で、通信事業各社ともユーザー数は頭打ち状態。そのうえ、ARPU(average revenue per user:加入者1人当たりの月間収入)が減少しており、トータルコストのさらなる圧縮、新たな収益源確保を目指す利益体質の強化が必須となっています。

 他通信事業者との連携はユビキタスネットワークだけの話ではありません。端末やネットワーク、課金や認証といったアプリケーション機能を自前で提供してきた携帯通信事業者は、通信事業者以外の事業者に対してインフラを開放したり、連携したりする必要が出てきています。その原因には、MVNO(Mobile Virtual Network Operator:仮想移動体通信事業者)に代表されるネットワーク基盤や業務・IT基盤の他事業者への貸与・連携、アップルのiPhone、グーグルのAndroidなどメジャープレーヤーの参入があります。

 他事業者へのインフラ開放・連携は、総務省が推し進めている部分もありますが、収益確保の観点でも対応が必要であり、ビジネスモデル自体が垂直統合型から水平分業型へと変化しつつあるといえます。

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