連載
» 2008年11月18日 00時00分 公開

味わい深いシステムを開発するための業界知識(3):組み立て型製造業、今後の要はサービスにあり (3/3)

[山本英仁,アクセンチュア]
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トレーサビリティをベースとしたCRM

 組み立て型製造業は大きく、消費財と生産財に分けることができます。前者は、一般消費者が顧客であるのに対し、後者は、特定のビジネスユーザーが顧客です。上記のいずれかによって、CRM領域に求められる機能や業務は大きく異なりますが、製造業にとって大切なことは、顧客が購入した製品のライフサイクルを通じて最適なサービスを提供することです。日々設計変更が反映され改良されていく製品について、どのような部品やソフトウェアが顧客の使用製品に組み込まれているのか正確に履歴管理し、顧客から問い合わせがあった際に、容易にトラッキングできるようにしておく必要があります。日本の製造業は品質に自信を持っているため、サービスを軽視しがちであるといったら、いい過ぎでしょうか。今後、組み立て型製造業の有望なシステム開発分野は、サービスにあると私は考えています。

進む機械のインテリジェント化への対応

 続いて、組み込みソフトについてふれたいと思います。マザーマシンといわれる産業機械のインテリジェント化(高度な情報機器の導入)はかなり前から進んできました。実際に工程管理システムを導入する際は、工程の生産指示データとライン上の工作機械のインターフェイスとの統合テストが必要になります。

 近年は、それが一部の消費財で爆発的で行われています。電子部品産業の今後の主要ターゲットは自動車であるといわれています。携帯電話やハイクラス自動車のてんこ盛り機能や、個々の機能の複雑化によって、プログラムの規模が爆発的に増大しています。

 これから、組み込みソフトの利用が増大するにつれ、大きな課題が生じる可能性があります。1つは、組み込みソフト自体の開発をどう進めるのかという課題。もう1つは、部品と同じように組み込まれるソフトウェアのバージョン管理・メンテナンスをどう行うかという課題です。まさにITエンジニアがプロジェクトマネジメント知識を生かして活躍することが期待されているのです。

最後に

 組み立て型製造業は伝統的な企業が多く、改善を積み重ねてきた効率的な生産物流を支えるため、システムに対する要求レベルが非常に高いといえます。このため、ERP導入を行うなどの際には、十分考慮が必要です。「トップダウンで確認したはずだ」ではなく、現場のマネージャと、とことん話し合い納得してもらう必要があります。そのためには、技術的な面だけでなく、業務をしっかりと理解し、論理的にコミュニケーションできる必要があります。

 また、グローバルにビジネスを展開している企業は多いですが、システムのグローバル統合が実現できている企業は多くありません。多くの企業では、ビジネスの拡大に伴って継ぎ足しでシステムが導入されてきています。そのため、海外の情報が十分把握できていなかったり、運用コストが高留まりしているケースが多く見られます。これらの課題を解決すべく、ぜひグローバルをまたにかけたITエンジニアとして活躍していただきたいと思います。

 次回は「プロセス型製造業」について説明する予定です。

筆者プロフィール

山本英仁(やまもとひでひと)

山本英仁(やまもとひでひと)

システムインテグレーション&テクノロジー本部 製造業グループ パートナー。東京大学大学院工学系研究科を卒業後、アクセンチュアに入社。主に輸送機器・ハイテク製品のサプライチェーン業務改革、システム構築に携わり現在に至る



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