VSSでも増分バックアップを実現、ネットジャパン稼働中のWindowsを丸ごとスナップショット

» 2008年11月21日 00時00分 公開
[西村賢,@IT]

 ネットジャパンは11月21日、Windows向けバックアップツール「ActiveImage Protector 2.5」を1月末から出荷すると発表した。製品はエンタープライズ市場向けで、個人/SOHOユーザー向けも春にリリース予定。

ネットジャパン 代表取締役社長 蒋冠成氏

 同社はシステム全体を丸ごとバックアップできるスナップショット機能を持つバックアップソリューションとして、これまで、2003年に「V2i Protector」を発売して以来、「LiveState Recovery」「SHADOW PROTECT」とリリースしてきており、「Active Protector」は同社バックアップソリューションの第4弾ともいえる。同日会見を開いた同社代表取締役社長の蒋冠成氏は「これまで蓄積してきた経験を生かして、なおかつ海外のエキスパートと密接に連携し、新たな業界スタンダードとなる製品を自ら世の中に出していく」と新製品にかけた意気込みを語る。

 ActiveImage Protectorはホットイメージ、コールドイメージに対応したバックアップソリューション。基本機能としてバックアップファイルをマウントする「アクティブイメージファイル」機能、圧縮・暗号化対応、バックアップファイルの分割機能、復元時にネットワークストレージの利用ができる「ネットワーク構成ツール」の機能、ネットワーク上のサーバをリモートで管理する機能などを備える。

VSSで増分バックアップを実現

 最大の特徴は、Windows標準のスナップショットドライバであるVSS(Volume Shadow copy Service)を使いつつ、増分バックアップに対応したこと。これは「世界初」(同社)という。標準ドライバを使うことによる安定性、設定の容易さ、ドライバコンフリクトの問題を回避できるといった特徴を持ちつつ、フルバックアップや差分バックアップよりも毎回のデータ量が少なくI/O負荷やシステム負荷、ストレージ容量が少なくて済むという増分バックアップのメリットが生かせる。

 従来は増分バックアップのために独自のスナップショットドライバを使っていたが、今回は新たにVSSとOSの間で稼働する“フィルタドライバ”を作成することでVSSによる増分バックアップを実現した。VSSに対応するデータベースやメッセージサーバなど既存アプリケーションがそのまま使えることがメリットだ。基本となる技術は、10年来ネットジャパンと協業してきた米リープフロッグ・ソフトウェア(LSI)が開発したもので、同社はスナップショットを使ったセクタ/クラスタ単位のイメージングや差分/増分のイメージング、変更されたセクタのダイナミックなトラッキングなどの技術を持っている。

ActiveImage Protectorの動作イメージ概念図。今回、赤い色のフィルタドライバを作成したのが鍵という
ベータ版の画面例。ウィザードに加え、操作メニューやツールなどが左ペインにまとめられているので、従来製品やバックアップツールを使ったことのあるユーザーなら迷わないという

マニュアルを読まなくても使える簡単さ

 ActiveImage Protectorの特徴を同社法人営業部の佐藤尚吾氏は、スナップショット、Windows PEをベースとしたリカバリ用のブータブルCD、使いやすいユーザーインターフェイスの3つだと要約する。

 製品シリーズは異なっているものの同社がこれまで培ってきたバックアップツールとしての使い勝手や、インターフェイスについてのノウハウはActiveImage Protectorに生かされているという。佐藤氏は「これまでの製品と使い方が一気に変わるわけではない」と説明する。画面構成やウィザードなどは、これまでの製品と似ており「バックアップ製品をお使いの方、特に弊社のこれまでのものをお使いの方ならマニュアルを読まなくても使える」(同氏)という。

 バックアップ関連ツールとして、パーティション操作ツールや仮想化環境をサポートするためのコンバータも用意する。既存の物理サーバのイメージを変換して、VMware向けの仮想イメージを生成。障害のあった物理サーバの復旧や修理を待つ間、仮想環境でサーバを運用するといった用途で使えるという。また、コマンドラインツールを用意しているのもActiveImage Protectorの特徴で、バッチファイル処理が容易なほか、IBMのTivoli、日立製作所のJP1、富士通のSystemwalkerといった運用管理ソリューションとの連携も容易に実現できるという。

 今後同社ではリアルタイムの増分バックアップや、企業内の冗長なイメージデータの統合などの機能強化を予定しているという。

 価格はサーバ版が1ライセンス当たり16万6200円(税別)、デスクトップ版で8400円(税別)など。ボリュームディスカウントや発売記念キャンペーンの特別定価があるほか、安価なアカデミックライセンスや、1人の技術者が不特定のPCで利用できるITプロフェッショナル向けのライセンスも用意する。

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