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» 2009年02月12日 00時00分 公開

HPがリモートクライアント・ソリューションで新展開ブレードPCの主力機種を一新

[三木泉,@IT]

 ヒューレット・パッカード(HP)は2月11日、全世界で同社のリモートクライアント・ソリューションの拡充を発表した。HPアジアパシフィックは香港にパートナーや顧客、アナリスト、報道関係者を集め、同ソリューションの有効性を訴えた。

 リモートクライアント・ソリューションとは、ターミナルサービス型のシンクライアント(狭義のシンクライアント)、仮想PC型のシンクライアント(クライアント仮想化)、ブレードPC/ブレードワークステーションの総称。広義のシンクライアント・ソリューションと言い換えることもできる。同市場は、今後ブレードPCと、これを大きく上回る仮想PC型シンクライアントの牽引による成長が期待されている。HPはアジアパシフィック地域で同市場の17%強のシェアを獲得、日本ではそれ以上のシェアだという。

 しかし「(リモートクライアント・ソリューションは)1つですべてのニーズを満たせるわけではない。単一の管理レイヤを複数のソリューションにわたって適用できることが重要だ」とHPアジアパシフィックのパーソナルシステムズグループ コマーシャルシステムズユニット バイスプレジデント&ジェネラルマネージャーであるデニス・マーク(Dennis Mark)氏は話した。

HPアジアパシフィックのデニス・マーク氏

 HPは2008年10月以降、シンクライアント端末、関連ソフトウェア、ブレードワークステーションと、リモートクライアント・ソリューション関連製品を集中的に発表してきた。今回同社はブレードPCの新機種を発表、これにより同社の一連のリモートクライアント・ソリューションは全般的に新たな世代に移行したといえる。

 HPが発表したのはブレードPCの主力機種である「HP bc2000 Blade PC」および「HP bc2500 Blade PC」の後継製品である「HP bc2200 Blade PC」および「HP bc2800 Blade PC」(日本では3月頃に発表の予定)。前世代製品より消費電力を抑え、パフォーマンスを向上し、価格を下げるというのが設計ポイントだ。

 一般オフィスユーザー向けのブレードPCという位置付けのbc2200は、CPUにbc2000と同じくAMD Athlon 64ファミリを搭載。最大メモリ搭載量は4Gbyteから8Gbytesに向上した。80Gbytesのハードディスクドライブを搭載するが、回転数は5400rpmから7200rpmに改善している。消費電力は25Wでbc2000に比べ10%低減。しかしパフォーマンスは7%アップしたという。

 一方、bc2800はマルチメディア性能重視のパワーユーザー向け製品。CPUはAthlon 64 X2デュアルコアからTurion 64 X2デュアルコアに変更。bc2200と同様に最大メモリ搭載量を8Gbytesに強化し、回転数7200rpmのハードディスクドライブを採用した。

HP Blade PC bc2800

 新製品2機種はいずれもWindows Vista Business Editionを搭載している。

 同社はブレードPC用の新たなエンクロージャも発表した。このエンクロージャは電力効率が90%の電源装置を二重化して搭載、一方の電源装置に障害が発生した場合はそれぞれのブレードPCのパフォーマンスを落として電力消費を減らし、単一の電源装置で支えられるようにする機能を備えているという。

 リモートクライアント市場では今後、クライアント仮想化が大きく伸びると予測されているが、HPではブレードPCやブレードワークステーションのビジネス拡大にも大きな期待を寄せる。ブレードワークステーションに比べ、ブレードPCはターゲットとする用途があいまいともいえるが、一部の金融機関でブレードワークスレーションよりも安価なソリューションとして全社的に導入されているほか、教育機関でのクラスルーム端末としての採用も広がっているという。空港で、デジタルサイネージを駆動する端末として利用されている例もあるようだ。日本HPのパーソナルシステムズ事業統括 クライアントソリューション統括本部 統括本部長 松本光吉氏によると、クライアント仮想化よりも総体的な調達コストが安いという理由から採用に至るケースもあるという。

 HPのリモートクライアント・ソリューションは、多様な接続方法を用意していることが特徴の1つだ。クライアント端末と、ブレードPCやデスクトップ仮想化サーバとの間の接続プロトコルとしてはマイクロソフトのRDP(Remote Desktop Protocol)、RDPとHPによるRDP拡張の組み合わせ、HP RGS(Remote Graphics Software)の3つの選択肢がある。これらを場面に応じて、仮想PC型新クライアント、ブレードPC/ブレードワークステーション、ターミナルサービス型新クライアントなどに共通に適用することが可能だ。

 HPではマルチメディア処理に問題のあるRDPの欠点をカバーした低コストの接続方法としてRDP拡張を無償で提供している。ただし、RDP+HPによる拡張では、シンクライアント端末側にコーデックが必要で、しかも端末側の処理負荷が高くなる。そこで端末への負荷が少ないRGSを別の選択肢として提供。RGSは転送データの暗号化や画面共有といった付加機能も備えているが、画面送出側のプラットフォームはWindows XPなどに限定され、負荷も大きい。これらを場面に応じて使い分けることになる。

 リモートクライアント・ソリューションではユーザーの認証とサーバ側のリソース(すなわちブレードPCやデスクトップ仮想マシン)の割り当てを行うコネクションブローカーという機能も必要になる。これについてはHPのSAM(Session Allocation Manager)が基本だが、シトリックスのXenDesktopを導入する場合にはDDC(Desktop Delivery Controller)が利用できる。ヴイエムウェアのVMware View(VMware Virtual Desktop Infrastructureの新製品名)環境を導入する場合には、ヴイエムウェアのコネクションブローカーも利用できる。

 今回HPは、bc2200とbc2800にXenDesktop 3のカスタム版のライセンスなどをバンドルしたパッケージも提供すると発表した。これはすなわち、バンドルパッケージを買えばHPのブレードPC新製品が追加コストなしにシトリックスの接続プロトコルであるHDX(ICAの新バージョン)を話すようになるということ。シトリックスのシンクライアント・ソリューションをすでに利用している顧客で、同一の接続環境をブレードPC接続にも適用したい顧客にとって、バンドルパッケージは安価なソリューションになる。

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