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» 2009年02月27日 00時00分 公開

そのトラブル、あなた1人のせいではない心の健康を保つために(10)(1/2 ページ)

ITエンジニアの周りにはストレスがいっぱい。そんな環境から心身を守るためのヒントを、IT業界出身のカウンセラーが分かりやすく伝えます。

[石川賀奈美,ピースマインド]

電話が怖い!

 苦手なものは、誰にでもあります。しかし、苦手に思う気持ちが強くなりすぎると、ついには不安や恐怖の対象となってしまい、日常生活や仕事に支障を来すことになります。

 C美さんは、PCメーカーの営業所で営業事務を担当する27歳の女性です。勤務している営業所では、昼間はほとんどの営業担当者が外出し、C美さんは1人で電話の応対などをしています。ところが、その電話が怖くなり、まったく取れなくなってしまったということで相談に見えたのです。

 きっかけは、お客さまからのクレームでした。

 あるときC美さんは、怒鳴り散らすお客さまからの電話を受けました。クレームは技術的な内容で、C美さんには対応できないものでした。話を丁寧に聞いた後、まず謝罪をして、「担当の営業から折り返し電話させます」と伝えたのですが、相手の怒りは収まりません。あまりの剣幕に、C美さんは最後は泣き出しそうになってしまいました。

 数時間後、C美さんは帰ってきた営業担当者にこのことを話しました。営業担当者は「気にしないように」となぐさめてくれました。しかしC美さんは、まだ耳の中に怒鳴り声が聞こえているような気がしました。

 C美さんはそれ以来、電話の音がするとびくっとしてしまうようになったそうです。内線の呼び出し音ならいいのですが、外線の呼び出し音が鳴って電話に出ようとすると、冷や汗が出たり、心臓がどきどきしたりするようになりました。これでは仕事にならないと困りきっていたのです。

C美さんの恐怖と無力感

 面接では、まず、そのときの怖かった思いをじっくり聞きました。

 「心臓が縮むような感じがした」

 「1人で心細かった」「自分の応対でさらに怒らせてしまったらどうしようと思った」

 「みじめな気持ちになった」「自分はだめだと感じた」

 クレームの電話を受けたときのC美さんの心の中には、怒鳴られる恐怖だけでなく無力感もあったようです。

 なにかのきっかけで、電話を取るのが怖くなることはよくあることです。そのほか、同僚が大声で怒鳴っていると、自分が怒鳴られているわけではないのに強く反応してしまう場合もあります。

 これはある事柄への一時的な反応で、同様の事柄が起きなければ、次第に恐怖感は薄れていくものです。しかし、あまりに大きなショックを受けた場合、時間がたっても感じ方が変わらないことがあります。

 家庭であれば、相手の番号を確認してから出たり、留守番電話にしておいて相手の声を聞いてから出たりという対処法もあるでしょう。しかし、こうした回避の方法では、根本的な解決には至りません。

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