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» 2009年03月11日 00時00分 公開

転職活動、本当にあったこんなこと(27):「自分を過大評価しない」が転職成功の道 (1/2)

多くのITエンジニアにとって「転職」とは非日常のもので、そこには思いがけない事例の数々がある。転職活動におけるさまざまな危険を紹介し、回避方法を考える。

[横山光紀,アデコ]

 転職においては、転職市場の現状を見極め、かつ自分自身を客観視することが必要です。そのことによって、市場における自分の価値を把握することができるのです。

 しかしこのことは、口でいうほど簡単なものではありません。

 今回は、自分のスキルを過大評価してしまったあるITエンジニアの事例を紹介します。

営業からネットワークエンジニアへ。そして再びの転職を決意

 北海道の地方都市で、ネットワークエンジニアとして活躍していた38歳のSさん。大学の経済学部を卒業後、営業として東京で社会人のスタートを切りましたが、「これからの時代は、コンピュータにかかわる仕事だ」と思い立ったのです。それと同時に、「どうせ転職するのなら地元で」と考え、Uターン転職を決意。少々苦労しましたが、出身地である地方都市の大手エネルギー系企業のシステム子会社に、ITエンジニアとして転職することができました。

 Sさんは、順調にキャリアを構築していくかのように見えました。親会社のシステム整備を中心に数々のプロジェクトに参加し、それ以外にも関連企業から次々と舞い込む仕事を担当しました。その都市はネットワークインフラ整備が遅れていて、今後活躍できるフィールドは十分ありそうな気配でした。それどころか「IT」という言葉が出てきたら、取りあえずSさんの会社に頼めば何とかなるという状況が出来上がり、Sさんは毎日忙しい日々を送っていました。

 ただし、仕事の中にはマシンの単なる設置など、簡単なものも多くありました。忙しく働いているからといって、技術を深めることにはならないと、Sさんはうすうす気が付いていました。そして再びの転職を意識するようになったのです。

 そんなSさんが、あらためて転職を決意することになった出来事が起こりました。

 親会社の経営不振により、Sさんの会社も連鎖的に業績が悪化。別の会社に買収されたのです。さらにそこからグループ会社への転籍を余儀なくされ、待遇も大幅にダウンしてしまいました。

「この求人案件は待遇が悪すぎる……」

 Sさんは再度、転職活動を開始することになりました。

 奥さんが地元で働いているため、「スキルアップができるならIターンでどこでも行く。単身赴任もやむなし」という覚悟で転職活動を開始したSさん。

 転職サイトに登録をすると、誰もが知る大手ソフトウェアメーカーから、Sさんをスカウトする内容のメールが届きました。ですがこの会社からは内定を得ることができず、しばらくして私の在籍する人材紹介会社に相談に来たのです。

 わたしはさっそく、Sさんに合うと思われる求人案件をいくつか紹介しました。しかしながら、1つとして興味を示してもらえません。

 理由を聞いてみると、待遇が悪すぎるからとのこと。ですが紹介した求人の内容は、Sさんの現職の待遇と比べて、十分に向上しています。地域的にも業務内容からも、それほど待遇の悪い求人ではないのです。どうしてSさんがそのように感じるのか疑問に思い、あらためてインタビューをしてみました。

 インタビューでは、これまでの転職活動の内容、どのような企業にアプローチしてきたかを確認しました。

 Sさんが受けているのは一流企業ばかり。何社かに応募して、面接につながった会社もあるのですが、まだ内定は取れていません。

 どうやらSさんは、最初にスカウトされた会社の面接官にいわれたことをうのみにし、自分のスキルを過大評価してしまったようです。面接官の言葉を再現するとこのような感じです。

 「え? その程度しかもらっていないんですか? うちでは最低でも○○万円くらいは出していますよ」

 いかがでしょうか。面接でこのようにいわれたら、自分にもそれだけの価値があると思うのは当然ですね。ただ実際は、この会社からは、不採用の通知が届いています。それでもSさんは、面接であれだけのことをいわれたのだから、自分のスキル不足が不採用の原因ではない、たまたま自分より優秀な人が採用されただけだと理解していたようです。

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