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» 2009年04月20日 00時00分 公開

あすなろBLOGカンファレンス レポート:渡辺千賀氏「インターネットはこれからが収穫期」

[綿貫竜太,@IT]

 パソナテックが運営する「あすなろBLOG」は4月18日、「あすなろBLOGカンファレンス『未来×チェンジ×ブログ』」を開催した。

 同カンファレンスは「あすなろBLOG」の開設3周年イベント。ブログの未来、ブログによって変化したこと、ブログとコミュニティをテーマにした3つのセッションが行われた。その第1部、渡辺千賀氏のセッションをレポートする。

渡辺千賀氏 渡辺千賀氏

始まりつつある未来

 渡辺氏はシリコンバレーに拠点を置くコンサルティング会社、ブルーシフト・グローバル・パートナーズの社長を務める。また、シリコンバレーで働く日本人プロフェッショナルをサポートするNPO、ジャパニーズ・テクノロジー・プロフェッショナルズ・アソシエーションの共同代表も務めている。渡辺氏は、「収穫期を迎えるインターネット」と「個人の時代」という2つのキーワードで「アメリカでのインターネットビジネス」と「働き方の変化」について述べた。

インターネットは収穫期

 インターネットはこれまで、「あると楽しいおまけ要素=追加的機能の提供(種まき期)」→「物販や通信など、リアルなビジネスを置き換える(成長期)」→「インターネットありきの、社会や人間の構造の変化(収穫期)」という形で変遷してきた。

 現在は成長期から収穫期に向かっている最中であり、同氏はその具体的な例を、

  1. リアルビジネスの置換・圧倒的変化・高付加価値化
  2. ネットワーク型コンシューマデバイスの普及
  3. デジタルエンターテイメントの本格普及

に分けて解説した。

 「リアルビジネスの置換・圧倒的変化・高付加価値化」については、レストランのリアルタイム予約サービス「OpenTable」を例に挙げ、「人間のやってきたことが、完全にシステムに置き換えられた」と語った。また、オンライン靴販売サイト「Zappos」では、「郵送料や返品が無料」「コールセンターの質の高さ」などを例に挙げ、圧倒的変化、高付加価値化を説明した。

 また、ZapposのCEOであるトニー・シェイが24歳のときにリンク・エクスチェンジという企業を米マイクロソフトに売却していることや、現在のシリコンバレーには若くて経験豊富なファウンダーが増えていることに言及し、「皆さんもこんなところにいないで頑張ってください」と会場を沸かせた。

 「ネットワーク型コンシューマデバイスの普及」については、Eye-FiやChumby、Pure DigitalのFlip Videoなどを引き合いに出した。「家電だが、ネットワークにつながるということを売りにする」というこれらの商品は、「ハードウェアではなくソフトウェア的な発想が大事」であり、利用者の目的に沿った使い方やネットワークへの接続方法が重要であると語った。

 「デジタルエンターテイメントの本格普及」では、「Netflix」と「Hulu」というベンチャー企業が提供しているオンライン映像サービスを例に挙げた。日本と比べ、アメリカのインターネット接続環境は非常に遅いが(256Kbpsでブロードバンドと呼ばれ、3Mbpsあれば速いという状況)、それでもダウンロードビジネスは爆発的に伸び続けている。テレビの人気番組を見ることができるHuluについて、渡辺氏は「今後の伸びを考えるとテレビ局にとっては相当大きい存在になる」と語った。

個人の時代

 「収穫期」の話を踏まえ、渡辺氏はインターネットの発展で「個人の働き方が変わってきている」ことを、実際のビジネスモデルと共に説明した。

 最初の例として挙げられたのが「LiveOps」。クライアント企業が同社にコールセンター業務を委託し、同社は在宅コールセンター要員にネットワークを介して仕事を振り分けるという「在宅型コールセンター」業務を行っている。また、声優を探している依頼者と声優をマッチングさせる「Voice123」も、新しい個人の働き方の例として提示。依頼者が仕事について声質や内容などを掲載すると、登録している声優側が自分の音声データとともに応募し、依頼者がそれらの情報を元に声優を選ぶことができるという。

 これらのサービスは、企業側がネットワークを通じて仕事を割り振り、個人は家から一歩も出ないで仕事をするという新しい働き方である。渡辺氏は「実際に仕事や信用を得る過程が、すべてオンライン化されている」という点を強調した。

 次に挙がった「LinkedIn」はビジネスパーソン向けSNS。登録者は自分の職務経歴などのプロフィールをアップロードすることで、自らに関係したビジネスのオファーを受けることができる。「グローバルにビジネスをするインフラが整ってきている」と渡辺氏は述べた。

 さらに、三行広告のポータルサイト「Craigslist」や、「Twitter」「iTunes App Store」などを例に挙げ、現在は個人でも巨額の利益が上げられる「ゴールドラッシュ状態」と話した。

 「個人の時代であればあるほど、誰かに自分がやっていることを知ってもらわなければならない」という渡辺氏は、ブログがその方法であると語った。ブログをうまく活用すれば、オンラインを通じてグローバルに活躍していくことができる。「今すぐ築こうオンラインのネットワーク」とし、自分の情報を世界に発信できる場があるのだから、どんどん自分の専門情報を収集し、発信していくことを推奨した。

「怖い」のは、「知らない」から

 「日本には、変わりたいけれど、その方法や内容が漠然としている人や、リスクを恐れ過ぎて変われない人が多い」と語る渡辺氏は、「チェンジ」と題し、その考えに対する意見を述べた。

「3年以上先のことを心配するな」 「3年以上先のことを心配するな」

 「3年後のことは誰にも分からないから、心配するだけ無駄である。どんな状況になったとしても、自分の力が伸びればその後はなんとかなるもの。そのように成長できる場所を探すことは自分の力、責任なのである。さまざまな場所に行き、さまざまなことを見聞きして自分がやりたいことを見つける。そして『やりたい』と思ったことを具体的にビジュアライズして、やりたいことを膨らませていく。そうすれば、『怖い』と思っていることがやりたいことに押しのけられていく」(渡辺氏)

 渡辺氏は、「具体感を持ってビジュアライズすれば、人はそれに伴うリスクを忘れていく」と強調した。

 また、目標ができたら「そのためには何をやらなければならないか」ということを逆算して考えていくようにするといい、とアドバイスをした。例えば、留学がしたいなら「○○大学の○○学部に入りたい。だから必要な英語のスキルは○点」というように、具体的な目標を立てて全体を俯瞰(ふかん)し、そのために必要な行動を順に行っていく。「『とりあえずやる』前に、ちょっとは考えてみよう」と、渡辺氏は無闇に動こうとせず、考えて行動することが大事だと結論付けた。

 「新しい住処に来た猫は、外に一歩も出たがらない。まずは部屋の中を探検して、自分の陣地を知ったあと、外を探検し始める」と、渡辺氏は自宅で飼っている猫の例をあげ、「知っている内側と知らない外側の差が激しいだけ」であり、知らないものでも一歩踏み出してしまえば、「なんだ、こんなものか」という気分になる、と恐怖に対する対処法を述べた。

 質疑応答では、「留学は何歳くらいまで可能か」という質問に対し、「見た目が若ければいつまででもできる。アメリカでは転職の際に(若く見せるために)整形手術をしたりもする」と豆知識を語った。饒舌(じょうぜつ)に語る渡辺氏の、時折はさむ冗談に、会場は笑い声に包まれながらも、非常に多くの質問の手が挙がり、来場者は真剣にその内容に聞き入っていた。

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