連載
» 2009年06月26日 00時00分 公開

ネットワークの基礎を学習する CCNA対策講座(20):VLAN操作を容易にするVTPの機能 (1/2)

本連載では、シスコシステムズ(以下シスコ)が提供するシスコ技術者認定(Cisco Career Certification)から、ネットワーク技術者を認定する資格、CCNA(Cisco Certified Network Associate)を解説します。2007年12月に改訂された新試験(640-802J)に対応しています。

[齋藤理恵,グローバル ナレッジ ネットワーク]

 今回は、VTP(VLAN Trunking Protocol)の機能、使用するメリットについて解説します。第19回でご紹介した(Virtual LAN:仮想LAN)を構成すると、ネットワークのセグメント化によるトラフィックの減少や、ネットワーク構成の柔軟性を向上させることができましたが、VTPを使用するとそのVLANの設定、削除、管理を容易にすることができます。それでは、VTPについて学習していきましょう。

VTPの概要

 VTPは、VLANの設定、削除、管理などを容易にすることができるシスコ独自のレイヤ2プロトコルです。ネットワーク管理者にとって、大規模なスイッチドネットワークで複数のVLANを作成、管理することは容易ではありません。例えば50台のスイッチに同じVLANを作成する場合、1台ずつ何度も同じ作業をすることは効率的ではありません。そこで、VTPを使えばドメイン内におけるVLAN情報を一元管理することができます(図1)。

 VTPは、VLAN情報を共有したいスイッチをVTPドメインという概念を用いて区別します。あるVTPドメイン内に存在しているスイッチがVLANを作成、削除したりすると、同一ドメイン内のスイッチにこの情報が伝達されます。伝達されるVTP情報のことはVTPアドバタイズメントといいます。VTPアドバタイズメントはCatalystスイッチのトランクポート間でのみ、管理VLANあて(デフォルトではVLAN1)にマルチキャストで伝達されます。VTPアドバタイズメントを受信したスイッチは、自身が持っているVLAN情報を更新することで、同一VTPドメイン内のVLAN情報の整合性を保つことができます。

 このようにVTPを使用することで、ネットワーク管理者が手動で1つ1つ設定や削除を行わなくても、各スイッチ間でVLAN情報を一元管理することが可能です。

図1 VTPのイメージ 図1 VTPのイメージ

 なお、VLANを削除した場合は、その削除した内容が同一VTPドメイン内のすべてのスイッチに伝達され、各スイッチでそのVLANが無効になります。そのため、削除されたVLANに所属していたコンピュータはネットワークへ接続できなくなりますので、別のVLANに移動させるなど注意が必要です。

 また、VTPアドバタイズメントによって伝達される情報はVLAN情報のみで、そのVLANに関連付けられているポート番号までは伝達されません。

確認問題1

問題

 VTPの特徴について誤っているものを1つ選択しなさい。

a.VLANの設定、削除、管理を容易にする

b.トランクリンクを通してVTPアドバタイズメントが送信される

c.VLAN情報を一元管理したいスイッチは同一ドメイン内に含める必要がある

d.マルチベンダ間で利用が可能で標準化されている技術である

e.シスコ独自の技術である

正解

 d

解説

 VTPは、VLANの設定、削除、管理などを容易にすることができるシスコ独自のレイヤ2プロトコルです。情報を一元管理したいスイッチを同一ドメイン内に配置し、VTPアドバタイズメントはトランクリンクを通して伝達されます。従って、選択肢abceはVTPの特徴に当てはまっています。VTPは標準化されている技術ではありませんのでVTPの特徴に該当しない選択肢dが正解です。

VTPの動作モード

 VTPのモードには、サーバ、クライアント、トランスペアレント(透過)という3つの動作モードがあり、3つのうちいずれかで動作します(図2)。モードごとにVLAN情報の扱いが異なりますので、用途に応じて適切に動作モードを設定する必要があります。なお、デフォルトはサーバモードとして動作します。各モードの特徴は以下のとおりです。

VTP動作モード比較

モード

VLAN作成・変更・削除

アドバタイズメント

同期

サーバ


送信・転送


クライアント

×

転送


トランスペアレント

○(ローカルのみ)

転送

×

 サーバモードのスイッチからVLAN情報に変更がなくても、デフォルトで5分間隔でVTPアドバタイズメントが送信されます。またVLAN情報に変更があった場合には即座に送信されます。VTPアドバタイズメントを受信したそのほかのサーバモード、クライアントモードのスイッチはそのVLAN情報に対して同期を取ります。なお、トランスペアレントモードのスイッチはローカルスイッチにのみ、VLANの作成、変更、削除が可能で、その情報をほかのスイッチにはアドバタイズしません。ほかのスイッチからVTPアドバタイズメントを受信した場合も、転送は行いますが同期は取りません。そのため孤立した環境でVTPを使用する場合に用いられます。

 そして、VTPアドバタイズメントの中には、リビジョン番号が含まれています。リビジョン番号とは、VLAN情報の新しさを示す番号で、同一VTPドメイン内のVLAN情報の同期を取るために使用されます。リビジョン番号はサーバモードのスイッチでVLAN設定を変更するたびに1ずつ加算され、リビジョン番号が最大の値が最新の情報と判断されます。同一ドメイン内のスイッチは最大のリビジョン番号に合わせるため、同期していれば各スイッチのリビジョン番号は一致しています。

 なお、トランスペアレントモードのスイッチは同期を取らないため、リビジョン番号は常に「0」です。

図2 VTP動作モード 図2 VTP動作モード

確認問題2

問題

 ローカルスイッチにVLANの作成や削除ができ、同期を取らないVTPモードのスイッチを選択しなさい。

a.クライアント

b.サーバ

c.トランスペアレント

d.サーバとクライアント

e.トランスペアレントとクライアント

正解

 c

解説

 ローカルスイッチにのみVLAN作成・変更・削除ができ同期を取らないモードはトランスペアレントです。従って選択肢cが正解です。サーバモードは、VLAN作成・変更・削除、アドバタイズメントの送信・転送、同期も取ります。クライアントモードはVLAN設定ができず、サーバモードからきたアドバタイズメントに対して同期を取ります。従ってそのほかの選択肢は不正解です。

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