連載
» 2009年08月14日 00時00分 公開

ネットワークの基礎を学習する CCNA対策講座(22):ルータの経路学習とスタティックルートの設定 (1/2)

本連載では、シスコシステムズ(以下シスコ)が提供するシスコ技術者認定(Cisco Career Certification)から、ネットワーク技術者を認定する資格、CCNA(Cisco Certified Network Associate)を解説します。2007年12月に改訂された新試験(640-802J)に対応しています。

[齋藤理恵,グローバル ナレッジ ネットワーク]

 今回は、ルーティングの概要について解説します。送信元からあて先まで、パケットを転送する間には複数のネットワークが存在します。パケットはあて先ホストまでどのように転送されるのか、またどのような方法でルータが複数のネットワークを学習するのかを中心に解説していきます。

ルーティング概要

 ルーティングとは、パケットをあて先ホストまで届けるための経路制御のことです。ルータやレイヤ3スイッチは受信したパケットのあて先アドレス(TCP/IP環境であればIPアドレス)を使用して、そのパケットを転送する経路を選択・決定します。例えば、インターネットは複数のネットワークを経由して、遠く離れたあて先ホストと通信を行うことができます。複数のネットワークはルータなどによって相互接続されています。送信元とあて先が直接接続されていなくてもルーティングによって別のネットワークを経由することで、あて先ホストまでパケットを送り届けることができます。また、あて先ホストにパケットを到達させるために複数の経路があった場合、最適な経路を選択してパケットが送信されます。

 ルータはルーティングを行う際にルーティングテーブルを参照します(1)。ルーティングテーブルとは、ネットワークの経路情報の一覧です。ルータはこのルーティングテーブルに従い、パケットの転送を行います。なお、ルーティングテーブルに経路が存在しない場合にはパケットは転送されずに破棄されます。

図1 ルーティング 図1 ルーティング

 ルーティングテーブルに含まれる主な内容は以下の通りです。

あて先ネットワーク、サブネットマスク あて先ネットワークの情報とサブネットマスク
ネクストホップ あて先ネットワークにパケットを届けるために、次の中継先となるルータのIPアドレス
インターフェイス(I/F) パケット出力インターフェイス
メトリック あて先ネットワークまでに複数の経路があった場合、最適な経路を判断するための基準となる値で、小さいほど優先される(ルーティングプロトコルによって使用するメトリックは異なる)
アドミニストレーティブディスタンス 経路情報源の信頼性で値が小さいほど優先される
(直接接続:0 スタティックルート:1 EIGRP:90
OSPF:110 RIP:120)
経路の情報源 経路の情報源となる情報
(C⇒直接接続 S⇒スタティック R⇒RIP O⇒OSPF D⇒EIGRP)

 ルーティングテーブルの確認

#show ip route

確認問題1

問題

 ルータが経路選択を行う際に使用する主要な情報はどれですか? 2つ選択してください。

a.ルーティングテーブル

b.あて先IPアドレス

c.送信元IPアドレス

d.MACアドレステーブル

e.あて先MACアドレス

正解

 a、b

解説

 ルータは受信パケット内のあて先IPアドレスとルーティングテーブルを照合して経路選択を行います。従って選択肢aが正解です。経路選択を行う際に送信元IPアドレスは確認しません。MACアドレステーブル、あて先MACアドレスはスイッチがフレームを転送する際に参照します。ルーティングには使用されません。

ルータの経路学習

 IPアドレスとサブネットマスクが設定され、さらにインターフェイスに適切なケーブルが接続されてそのインターフェイスが有効な状態になると、ルータは自身に直接接続されているネットワークの情報を自動的にルーティングテーブルへ登録します。しかし、直接接続されているネットワーク以外にはルーティングできません。そのため、ルータに直接接続されていないリモートネットワークの経路情報を何らかの方法で学習する必要があります。その方法は大きく分けて2つあります。ネットワーク管理者が手動で経路情報を設定する方法と、ルーティングプロトコルを設定して、ルータ同士で自動的に学習させる方法があります。特徴は以下のとおりです。

スタティックルート

 ネットワーク管理者がルータに手動で学習させたルートです。手動で設定することによりネットワーク情報を詳細に制御できますが、トポロジが変更されて更新が必要な場合には、自動的には変更されないため再設定が必要です。

ダイナミックルート

 ルーティングプロトコルを動作させて、ルータにダイナミックに学習させたルートです。トポロジが変更されて更新が必要な場合には、自動的に更新されます。しかし、経路情報がネットワーク上を流れるという特徴もあります。

 ルーティングプロトコルは複数あり、利用される環境に応じて2種類に分類されます。

IGP AS内でルーティング情報を交換するために使用される(RIP・OSPF・EIGRPなど)
EGP AS間で経路情報を交換するために使用される(BGP・EGP)

※ASとは、サービスプロバイダのような1つの組織などによって管理されているネットワークの集合です。

また、IGPのルーティングプロトコルは、使用するアルゴリズムにより、3つに分類されます。

アルゴリズム プロトコル 特徴
ディスタンスベクタ RIP・IGRP 距離と方向を表す情報を交換し、それらを基に経路選択を行う
リンクステート OSPF・IS―IS 各ルータが持つリンクの情報を表す情報を交換し、それらを基に全体のトポロジ図を作成する
拡張ディスタンスベクタ EIGRP ディスタンスベクターとリンクステートの長所を併せ持つ

確認問題2

問題

 IGPに分類されるルーティングプロトコルを3つ選択してください。

a.RIP

b.BGP

c.OSPF

d.EIGRP

e.EGP

正解

 a、c、d

解説

 AS内で使用されるルーティングプロトコルには、RIP・OSPF・EIGRPなどがあります。従って、選択肢acdが正解です。選択肢beのBGPとEGPはAS間で使用されるプロトコルですので、EGPに分類されます。

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