第2回 Windows Server 2008 R2の概要(2) − システム要件と機能Windows Server 2008 R2の真価(1/2 ページ)

次期サーバOS「Windows Server 2008 R2」のシステム要件と主な機能を整理する。R2で強化・追加された機能とは?

» 2009年09月02日 00時00分 公開
[高添修(エバンジェリスト)マイクロソフト株式会社]
  Windows Server 2008 R2の真価 ―― 実質新世代サーバOSの真の実力を知る ―― 
Windows Server Insider

 

「  Windows Server 2008 R2の真価 ―― 実質新世代サーバOSの真の実力を知る ―― 」のインデックス

連載目次

「Windows Server 2008の真価」は、2009年10月に出荷が予定されている、Windows Server 2008の後継OSである、Windows Server 2008 R2の注目機能について解説するコーナーです。


 第1回では、Windows Server 2008 R2のコンセプトやベース部分の強化点について解説した。今回は、システム要件や主な機能を整理しておく。

システム要件と64bit対応

 まずはシステム要件から見ていこう。

コンポーネント 要件
プロセッサ 最小:x64プロセッサ(1.4GHz)
推奨:x64プロセッサ(2GHz以上)
メモリ 最小:512Mbytes
推奨:2Gbytes以上
最大:32Gbytes(Standard)、2Tbytes(Enterprise、Datacenter)
空きディスク領域 最小:32Gbytes
推奨:40Gbytes以上
ドライブ DVD-ROMドライブ
ディスプレイと周辺機器 ・SVGA(800×600ドット)以上の解像度のモニタ
・キーボード
・Microsoftマウスまたは互換性のあるポインティング・デバイス
Windows Server 2008 R2のシステム要件

 第1回で解説したとおり、Windows Server 2008 R2はモジュラー・アーキテクチャの採用により、小さなフットプリント(占有サイズ)を実現しており、これまでになく軽いOSとなっている。よって、最低限必要とされているプロセッサやメモリ容量は、現在、市場で出荷されている平均的なハードウェアと比べても高くないことが分かる。一方で最大メモリ容量は、2Tbytesとなっているなど、現時点で一般的に入手できるハードウェアをはるかに凌駕するスペックをサポートしている。これによって、小規模なシステムから大規模データセンター用のサーバ、高いスペックが求められるデータウェアハウス用サーバなど、Windows Server 2008 R2は、いままで以上に幅広い層に利用可能なものとなっている。

64bit版のみの提供となったWindows Server 2008 R2
 このシステム要件を見ると、64bitプロセッサ(x64)が必須となっていることが分かる。Windows Server 2008では、Windows Server 2003と同様、32bit版(x86版)と64bit版(x64版)が提供されていた。しかしWindows Server 2008 R2は、サーバOSとして初めて32bit版(x86版)のサポートをやめ、64bit版のみの提供となった。

 理由はいろいろと挙げられる。1つには、32bit OSのメモリの限界が4Gbytesであることだ。いままでも4Gbytes以上のメモリ空間を利用するための迂回策を提供してきたが、すでにノートPCでも4Gbytesを超えるメモリが搭載される時代になるなど、32bit OSではハードウェアの性能を十分に発揮できなくなりつつある。ハードウェアの性能を最大限利用する、これもOSの目指すところである。Windows OS市場の64bit化を本格化させるために、マイクロソフトにも決断の時が来たわけだ。

 もちろん、ユーザーの資産でもある32bitアプリケーションをどうするかという課題は残っている。これについては、64bit OS上で32bitアプリケーションを動かすためのWoW64の継続提供や、64bitアプリケーション開発のための情報発信により、特に特殊なデバイス・アクセスなどを伴わないサーバ・アプリケーションでは互換性がそれほど大きな問題になることはなくなっている。また、64bit OSベースの仮想化技術「Hyper-V」上で、仮想マシンとして32bit OSとアプリケーションを動作させるという選択肢もある。

Windows Server 2008 R2のエディションによる機能の違い

 Windows Server 2008 R2では、Windows Server 2008と同等のエディションが提供される。それぞれの機能の違いは下表のとおりだ。

機能一覧 Std Ent DC Web Foundation Itanium
最大メモリ量 32Gbytes 2Tbytes 2Tbytes 32Gbytes 8Gbytes 2Tbytes
最大ソケット数 4 8 64 4 1 64
ホット・アド・メモリ/プロセッサ
ホット・リプレース・メモリ/プロセッサ
Hyper-V
仮想OSの使用権 ホスト+1VM ホスト+4VM 制限なし 制限なし
フェイルオーバー・クラスタとノード数 16 16 8
リモート・デスクトップ・サービス
リモート・デスクトップ・サービス接続制限 250 制限なし 制限なし 50
Active Directoryドメイン・サービス
Active Directoryフェデレーション・サービス
ファイル・サービス ○(DFSルート1つ) ○(DFSルート1つ)
印刷サービス
Webサーバ(IIS)
ネットワーク・ポリシーとアクセス・サービス
Active Directory証明書サービス
(Standardは一部機能に制限あり)
Active Directoryライトウェイト・ディレクトリ・サービス
Active Directory Rights Managementサービス
アプリケーション・サーバ
BranchCache Hosted Server
Cross-File Replication(DFS-R)
DHCPサーバ
DNSサーバ
Faxサーバ
Media Services
インターネット認証サービス(IAS)と制限 50 制限なし 制限なし 10 2
ルーティングとリモート・アクセス・サービス(RRAS)と制限 250 制限なし 制限なし 50
Windows展開サービス
Windows Server Update Services(WSUS)
エディションと機能の違い
* Std = Standard、Ent = Enterprise、DC = Datacenter


       1|2 次のページへ

Copyright© Digital Advantage Corp. All Rights Reserved.

RSSについて

アイティメディアIDについて

メールマガジン登録

@ITのメールマガジンは、 もちろん、すべて無料です。ぜひメールマガジンをご購読ください。